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特集 レベルモノグラム

BOEING 727 GERMANIA (AIRLINE) (レベル 1/144)

by 五六式(TYPE-56)


<レベルについて>

 ・・・今を遡ること,50年あまり,1964年(昭和39年),郡是産業「物資部」は,アメリカ合衆国のプラスチックモデル製造大手レベル社と業務提携し(それ以前は,マルサン商会がレベル社と提携していた。),同社製キットの輸入発売や金型を借用したライセンス生産を行った・・・。

これが,多くの日本の模型少年達とレベル社のキットとの出会いのきっかけとなりました。なんせ,レベルの1/72ファイターシリーズが,同サイズの国産キットと同じ100円で,地方都市の模型店でも買えるようになったのですから・・・。飛行機といえば,零戦と隼とB-29とグラマン(ワイルドキャットとヘルキャットがあることも知らなかった。)しか知らなかった少年達の視野を広げた功績は,計り知れません。

日本レベル,メキシコレベル,ブラジルレベル,イギリスレベル,ドイツレベル,と世界中に勢力を伸ばしていったレベル社ですが,その後,日本やイタリアのメーカーの成長に圧されてか,業績は低迷,1986年にモノグラム社と合併,そして,とうとう2018年にアメリカ本国のレベル社は倒産,所有していた金型はすべてドイツレベルへ移譲されることとなりました。

長い歴史の中でレベル社は,飛ぶ以外は何でもできるといわれた1/40 A-1 スカイレイダー,幻に終わったボーイングのSSTの,唯一のインジェクションキット1/200 ボーイング 2707,可変翼可動,脚の収容,コクピットカプセルの着脱,A型/B型のコンバーチブルと欲張って(実機と同様に)収拾がつかなくなった1/72 F-111A/B,ハセガワが自衛隊機のデカールを追加して日本のモデラーを大いに喜ばせた1/48 F-86Dなど,数多くの伝説のキットをリリースしています。

1965年初版(1997年に再版)の1/72”U.S. Navy PB4Y-1 Patrol Bomber”の箱絵(https://www.scalemates.com/kits/revell-h-205-200-pb4y-1-patrol-bomber--138056)は,全く素晴らしいの一言に尽きます・・・作るのは大変ですが・・・。



<実機について>

ボーイング社初のジェット旅客機707のコンポーネントを使った,やや小型の中距離路線用の三発機として開発されたのがボーイング727である。初飛行は,Tu-134と同じく1963年で,尾部に3基のジェットエンジンを装備するT字型尾翼の機体としては,HSトライデント(初飛行1962年)の後発機であるが,商業的に成功したのは,本機の方であった。

日本では,日本航空,全日本空輸,日本国内航空の3社が導入,当時の自衛隊の主力戦闘機F-86F(1947年初飛行)と速度は,ほぼ同等,上昇力では勝るという高性能機であった。

翼の下にエンジンポッドを配置したボーイング737の方が発展の余裕があり(エンジンの換装が容易),727のニッチは,次第に737に奪われて行った。727は,2019年に,民間航空から全機が引退したが,今なお,数十機が,貨物機やプライベートジェットとして現役に留まっている。


<キットについて>

 初版は,1964年(アメリカン航空)。当時の最新鋭機を,リベ ットびっしり,エンジンのファンも再現と,気合いを入れて再現しています。今回製作したのは,ドイツレベルが2016年に再版したものでドイツのLCC,ゲルマニア航空(2019年に航空燃料高騰の煽りで破綻)のデカールが付いています。

当時(56年前だ!!)のキットとしては,部品の合いは良好だと思います。古いキットなので丁寧に作ろうとか,現代の水準に引き上げてやろうとかそういう欲望にとらわれずに製作することをおすすめします。また,具合の悪いところは,下面に集中しているので下から眺めないというのも有効な手段です。

もしくは,1/144の飛行機キットのラインアップを何気に充実させつつあるアオシマさんが気まぐれに新キットをリリースして,それがなかなかのものだったので感激したサードパーティーがパンナム機とか,日航よど号とか,トランプさんの所有機とか,カーペンターズの所有機とか,自衛隊が採用というif設定の機体とか,次々に別売りデカールを発売,おおっとぉ,ここに来て,エデュアルドからエッチングパーツやらレジンのエンジンポッドやらが続々と登場・・・なんてことが起こるのを待つとか・・・ニッチ,空いてますよ。

<製作>

 びっしりと並んだリベットをどうしようかと思ったのですが,押し出しピンの跡を処理したり塗装のミスをリタッチしたりしているうちに目立たなくなっていきました・・・汗・・・。



●中央の第2エンジンのインテーク内は,まる見えになります。ダクトを作ろうかとか詰めものをしようかとか考えたのですが,内部を黒く塗っただけでなんとかなりました。

●コクピット周りは窓枠だけです。窓はエポキシパテで埋めてデカールで表現しました。

主翼は,上下二分割で継ぎ目に段差ができました。信用してたのに・・・涙・・・。これから作る方は,段差の修正をした上で隙間のできる部分にパテを挟んでから接着することをおすすめします。なお,胴体との接合部は思いの他きっちりしています。不用意に接合部を削って調節したりせずに,ありのままでぴったくっつくところを探すことをおすすめします。下手にいじると修正のために泥沼にはまります。♪あっりっのっまっまぁにぃ〜♪



●尾翼と第2エンジンのエグゾーストの間に不自然な隙間があるので埋めました。

●胴体にヒケが何カ所もあります。リベットやパネルラインのすぐそばなので処理が大変。



●格好よく飛んでいる姿を再現するためにギアアップの状態を再現しようとしたら,さぁ,大変。隙間があちこちにできて作業時間の大半は脚庫周辺の処理に費やされました。

塗装の都合を考えて胴体と主翼は,塗装後接着し,その後,デカールを貼る作業に移ることにしました。デカールは,やや硬めで糊が弱い感じです。また,ストライプが途中で切れて難儀しました。また,窓のピッチはキットのモールドと微妙にずれています。マークセッターと水性ボンドは必携です。

組み立て説明書の順に組むと左右リアエンジンが邪魔でストライプが貼れなくなります。ストライプのデカールを貼った後,十分糊を乾燥させてからエンジン取り付け部分の穴を切り欠き,マークソフターで余分なデカールを穴の内側に折り込んでからエンジンを取り付けます。取り付けがきついと思ったら無理をせずに接合部を削り合わせてから取り付けます。

 <完成>



ボーイング727が現役の頃,高松空港は,現在のサンメッセや香川県立図書館のあるあたりにあって,その滑走路は,1200mしかありませんでした(戦中,うちの母親が,女学生のときに整備に駆り出されました。)。従ってそこにジェット機がやって来ることはなく,当時、小学生だった五六式は,上空を飛ぶ727を指をくわえて見ることしかできなかったのでした・・・。

それが,なんと手許にあって見下ろせるとは・・・。眼福、眼福。



B-29の直系の子孫なんであまり喜んでもいられませんが。



727なのに三発機、737なのに双発機,747は,四発機なのでいいんだけれど,707は・・・?・・・グライダーか?



737は生き残った(737Xでちょっと危ない)のに,727は,絶滅寸前です。


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