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ニューキット

  ヘンシェル Hs 129 B-2/RⅢ(造形村 1/32)

by口博通 Hiromichi Taguchi



  造形村から2019年末に発売となった1/32 Hs-129です。
発売中の「月刊航空情報」2020年4月号の ニューキットレビューに掲載していますので、ご興味のある方は書店で航空情報を是非お買い求めの上ご覧いただければ幸いです。
 Hs129は「空飛ぶ缶切り」と連合軍兵士達から恐れられた重装甲双発のコンパクトなタンクバスターです。造形村からHs129シリーズ第一弾としてリリースされた B2/R3は主翼下面に30発入りドラム式マガジン搭載のMk101/30mm機関砲を装備したタイプです。
 キットはこの機関砲の他、ノーム・ローン「14M」エンジン、胴体内の隔壁と装備品、主翼桁構造や燃料タンクまで再現された部品点数320点余りの手の込んだキットです。
 デカールはカルトグラフ製が付属しており、51ページの詳細な組立説明書が付属しています。
コンパクトな小型双発機とはいえ、1/32ですから、かなりの大きさになり、お値段13,000円也という高価なキットです。
作るのにはそれなりの覚悟が必要で、完成まで結構苦労しますが、組み立てを十二分に楽しむことができます。


組み立て

 まるで本のような組立説明書が非常に親切で、部品の取り付け位置が把握しやすいのがまず、嬉しい。 
また、「実機におけるパーツ名」も記載されていて、実機への理解が深まり教育的。他メーカーにもぜひ真似をして欲しい点です。



 双発の2基のエンジンはシリンダーの他、プッシュロッド、インテークマニホールド、排気管、補機類が詳細に再現されていて、部品点数が非常に多いが、組み立て説明書通りに組んでいけば、なんとか出来上がります。排気管の組みつけが煩雑で細心の注意が必要です。
小さい部品が非常に多いので、接着強度も考えると塗装は部品ごとに行うのではなく、エンジンを完成させてから、筆塗で行うのが確実でしょう。 
 完成したエンジンだけで飾っておくことも可能なように簡易のエンジン台が付属しています。ただ、キットではエンジンは双発2基分だけの部品しかなく、機体に接着すればせっかくのエンジンを飾ることはできません。13000円という高価なキットなので、もうエンジン1基分のランナーを余分に入れておいてもらうだけで、エンジンだけで飾って見せることができるので、メーカーさんには是非サービスを検討して欲しいですね。



 実機のコクピットは厚さ12mm以上の装甲板で囲まれており、それが見事に再現されています。計器盤と左右コンソールも精密な彫刻ですが、計器盤はデカール併用で作りました。
この頑丈な装甲コクピットは機関砲を搭載する胴体中央部の前部に接合するようになっています。





 胴体内には隔壁を複数取り付けるようになっています。無線機倉なども再現されています。下の写真ではまるで恐竜の骨格のようですが、内臓物が多いと胴体左右がなかなか合いませんので、隔壁は充分な仮組と削り合わせをしっかりと行う必要があります。それでも筆者は主翼付近の胴体上部に隙間ができてしまい、結局、パテ埋めで修正しました。 
また、尾部隔壁から尾輪支柱の周辺の構造がトリッキーで組みにくく、慎重な組み立てが必要です。





 主翼は主翼桁を先に組み、燃料タンクと主脚を組み込んだ後で、主翼上下外板を接着するようになっています。部品分割が多いので、隙間があちこちにできますから、仮組みを繰り返す必要があります。 それでも、結局、主翼上面側で隙間が生じたので、パテで埋めてつじつま合わせをしました。 



 胴体内20mm機銃と主翼付け根7.92mm機銃も、再現されていて 整備カバーを開けると見ることができる設計になっているのは嬉しいです。問題点は、エンジンカウリング接着前に主脚を取り付ける必要がある構造です。塗装時のマスキングが大変でした。もう少し、設計の工夫があればと感じます。 主翼エルロンとフラップは固定です。水平尾翼のエレベーターと垂直尾翼のラダーは可動状態も選べます。




胴体下面に搭載する30mm機関砲は砲口やドラムマガジンの再現は素晴らしいです。 これも下部カバーを取り外して 完成後に見ることができます。



ちなみにプロペラの回転方向は左右どちらも外方向へなのでご注意。


塗装

 デカールは箱絵のリビアで活躍した第2攻撃航空団のサンドイエローRML79にオリーブグレーRLM71の斑点迷彩の1種のみが付属。カルトグラフ製の印刷も鮮明で、貼りやすいデカールでした。 下面はMrカラーのNo.20 ライトブルー、上面はNo.19サンディブラウンの上にNo.17 RLM71 ダークグリーンを使い、エアブラシで斑点迷彩としました。ホワイトのバンドはNo.62艶消し白です。デカールを貼る前にごく軽くウエザリングを行っています。





 ピトー管は金属パイプに置き換えてあります。コンパクトな重装甲機首周辺が特徴的です。両翼に爆弾を装備すると、強そうです。 小型双発機とはいえ、1/32なので完成するとかなりのボリューム感です。部品点数が多いですが落ち着いて組み立て、完成さえすれば、素晴らしいプロポーションのHs129「空飛ぶ缶切り」が出現です。






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