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特集 フジミ

 中島月光23型 210航空隊「夜鴉一家」 (フジミ1/72)

  by 寿



 フジミの月光23型であります。
 ん、23型??
 最初は何の疑念も無かったけれど「アレっ」って思ったのはしばらく時間が経ってから。確かに箱には堂々と印刷してあるけれどそんな型式あったかなぁ。咄嗟に昔のプラモにはよくあった思い込みや勘違いに違いないと思ったのだけれど、フジミ独自の調査から判明した幻の型式かもしんないな。
迂闊には断言しない方が良いね。「違う」と豪語した後に「実は」なんてことになったらタイヘンだ。フジミに土下座する羽目になっちゃうよ。まぁまず有り得ないだろうけどそうなったらなったでむしろ逆に痛快かもしんない。世の中何が起きるか分からんでのう。



 と、それは兎も角。
 ホントは「特集レッドスター」に参戦したかったんですけれど間に合わなかったので以前作った機体をリペアしての投稿と相成りました。お茶を濁すとは正にこのことで全くもって情けないです、ハイ。
なんかだ最近そーゆーのが多いよ。集中力が無くなったというか持続しなくなったというか以前ほどのペースで作れなくなったのが悲しい今日この頃。



 さてワタクシめがへなちょこなのはさておいてフジミの月光は中々どうしての素敵キット。ヒコーキプラモマーケットのニッチを突いた各種商品展開に発売当時は驚くと同時に随分と喜んだものであります。
確かにバリエーション展開の為に胴体後部の分割されたパーツの歪みと合いの悪さはありますが、キチンと修正してやれば日本機特有のすらりとしたスマートな双発機が出来上がるという素晴らしさです。



 今の目のから見れば細部ディティールこそあっさりしておりますがスケールを考えればこれで必要充分。何と言ってもプロポーションの美しさは白眉で当時は珍しかった自重変形タイヤが入っていたのもポイント高し。 わたしなんざそのタイヤ見た途端キット持ってレジに走っちゃいましたからね。(でも世の中には自重変形タイヤがキライな人も多かったらしく発売当時ネガティブな意見もちらほらと。なんでだ?)



 二式陸偵に至ってはボーナスパーツで月光11型の前期生産型を作ることが出来たり試作機のみに装備された遠隔操作の後部連装砲塔まで再現されていたりと、
 偏執的なまでのこだわりっぷり。連装砲塔なんて完成したら見えないっていうのにねぇ。



 しかしソコがいい。まさに「ツボ」です。リキ入ってんなぁフジミ、当時はヒコーキに命掛けとったよホント。 こちらも次は何が発売されるのかわくわくしてたからね。(現在同社のそのポジションは艦船かなぁ、ほぼ日本の船限定だけど)



 フジミは一度生産すれば滅多におかわり出さないけれど近頃は往年の名作がちらほらと再生産されて嬉しい限りです。 ちょっと前のナナニイっぽいF15は残念だったけど挫けずにチャレンジしていただきたいですね。こだわりのフジミヒコーキを見てみたいと思うのはわたしだけでは無いと思うので。

製作の詳細

(写真1)20年近く前に作ったフジミの月光。現在においてもナナニイ月光のベストだと思います。プロポーションは文句なし。マニアックなデカール選定と相応のパーツ分割、ちまちまと散見される捻ったサービス精神はフジミの面目躍如といったところでしょうか。まぁちょびっと手間は食うけど時代を考えれば充分以上の良作キットでありましょう。でもこれはこの機体がスゴイというよりもこのスケールでこの機種が不遇なだけのような気もするけどね。
 写真では一見キレイに見えるだけれど埃がこびり付いたりデカールが割れてたりでもうへろへろ。で、今回はこれをリペアする訳であります。「日和ったな」とは言いっこ無し。リサイクルは逃れられぬ時代の趨勢なのであります。決して新作を作るのが億劫になった訳では無いのです、決して!

(写真2) エアブラシで水をぶーっと吹いて水洗い。デカールが剥がれたらその時はその時、まずは埃を取ることが先決じゃ。これくらいで剥がれるようなら運命、その程度のデカールだったというだけのこと。躊躇など無用、であります。(字面だけだと悪党の物言いじゃね)



(写真3) 水を吹いたらウェスで長年こびり付いていたもろもろをこさぎ落とします。ティッシュだとケバが貼り付くので布地がベスト。

(写真4) 当時はたぶん頑張ったであろうペラとスピナー。でも今見るとショボ過ぎるので塗り直すことに。


(写真5)スピナーのシルバーはお気に入りのスターブライトジュラルミンで。
 実は塗装図では白になっていたりしますが、まぁモノクロ写真だしホントは銀かもしんないなどとイケナイ妄想をする訳ですね。やっぱペラやスピナーはレシプロの顔なんでかっちょよくかつキャッチーにいきたいのですね。
 や、別に白が悪い訳じゃなくってね、月光の場合は白よりも銀かなぁ~っていうかなんちゅうかその、イメージと言うか押しの強さと言うか闇の中でギラリと光る金属色というかそんな感じのアレです。

(写真6) エアブラシで吹いても良かったんだけれどもちょっとした気まぐれでグロスブラックで塗った後にシルバーをドライブラシ。うーんまぁ悪くない、と思いたい。



(写真7)コーナー部分の埃が取れきってないので水を含ませた歯ブラシでごしごし。


(写真8) 当時の塗りが甘くてキャノピーの窓枠が少し透けちゃってます。シルバリング対策も含めてフラットブラックで上塗り。その後は当然機体色で上塗りですわ。


(写真9) 翼前縁はデカールを貼っていたようでこれも経年劣化で剥がれちゃってる。しょーがねぇリタッチするか、ってことでまずはホワイトをデカール全面にぺたぺた。破損部分だけでも良かったんだけれど全体的に色味を変えたかったのよ。

(写真10) 前縁の識別帯とキャノピー枠の下塗りが済んだ状態。ついでにカウリングもさっくり同色で塗っとく。目立つ部分だしね。





(写真11) 日の丸の欠損部分も同様に。ここはモンザレッドで充分じゃ。似ている色なら案外どうにかなるもんだ~

(写真12) ちょいと試しに排気汚れを筆で塗ってみる。エナメルのツヤ消し黒ならシンナーでぼかせるかも・・・・



(写真13) どうも上手くいかなかったんで結局エアブラシでぷー。まだまだ修行が足りんね。

(写真14) そんなこんなで完成であります・・・・うーん完成って言っていいのかな。むしろ再生と言うべきかもしんない。
 それからコレ見て全然代わり映えしてないぢゃん、ってのは言っちゃ駄目。え、むしろ小汚くなった?いやいやいやいや。それは違う、違うのですよ。
 完成(あるいは再生)ってのはモデラー個人個人の所見と自己満足の発露で完結しているのであります。だから本人がこれでイイっていいのならそれでいいのであります。そこを細々とツッコミ入れるのは野暮というものなのです。これは全人類共通の認識、世界のジョーシキですよ。
 ココ試験に出るから憶えておきましょうね。



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