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特集 フジミ

 九八式直協機 (フジミ 1/72)

by 松戸のタカ

~欲張ってはいけない、あわててはいけない〜



 こんにちは松戸のタカです。約2年ぶりの投稿です
今回はフジミの九八式直協機です。正式名称は九八式直接協同偵察機ですね



 フジミというのは個人的には不思議な会社です。昭和末頃に1/72で従来販売されていなかった旧帝国陸海軍機を続々と世に出していたようです(この時期はプラモ製作から遠ざかっていたのでよく知らないのです)。それはそれで素晴らしいことでしたが、しかしどう考えても当時売れそうもなかったであろう九八式直協機や九九式高等練習機まで発売しておりました。
 しかし一連の模型たちは絶版になることもなく、その後もパッケージデザインやデカールを変えたりして販売され続けております。
 この九八式直協機も未だ現役です。今回この機体に手を出したのは九八式直協機に特に興味があったわけではありません。なんといっても「迷彩デカール」付きだったからです。このヘロヘロ縞模様は魅力的ですが私の技術ではとても再現できそうになかったし、「簡単にできそう!」と思って購入したものです。

 さて箱絵を見ると10kg爆弾を装備した機体が飛行しているところです。しかしそこで考えてしまいました。この絵だとピトー管は複雑な形をしています。ところが模型のピトー管は棒状のものです。どちらが正しいのでしょう?出回っている写真を見てみると多くは複雑な形状をしているようです。ここで欲張って複雑な形状のピトー管を再現しようかと、ちらりと思いましたが「時間の無駄、簡単にはできないだろう」とあっさり諦めることにしました。
 さらに箱絵を見ていると翼前縁に敵味方識別の黄色いラインが引かれています。一方、箱の側面にあるイラスト、それと添付されている説明書には識別帯は描かれていません。


問題のピトー管と識別帯


箱の側面にある図では識別帯は描かれていません。
右には付属する迷彩デカールが写っています


 一体どちらが正しいの?元となる写真は見たことがなくわかりません。唯自分の勝手な考えで、「こんなヘロヘロ縞模様は太平洋戦争前期まで、もしくは大戦前の中国戦線ではないか?識別帯が描かれるような時期には、こんなヘロヘロ縞模様でなく濃緑色で塗りつぶされていたのではなかろうか?そう考えると識別帯は無かったのではないか?」と結論づけ、識別帯はナシということにしました(もっとも作業が増えるのがめんどくさかっただけ?)。
 そんな調子で組み立てをはじめました。いつの間にか後部座席のパーツが行方不明となったので、そのへんにあった塩ビの箱を切ってでっちあげたり、計器盤にデカールをはろうとしてマークソフターを塗ったらデカールが粉砕してしまったので知らんぷりしたり、挙句の果てに「どうせ中身はろくに見えないのだから」とコクピット内部はジャーマングレーで塗りつぶして、これで良しとしました。
 昭和末期の模型とあって適度にバリがあったり、合わせが今ひとつだったりしますがなんのその。ガシガシと削ったりして組み立てます。気がついたら筒状の射爆器を支える支柱まで削り落としていました。

編集長がレジンを使った探照灯を紹介していたので真似してみることにしました。
 正確に場所合わせなどせず、テキトーに翼前縁を切り抜きます。勢い余ってぽっこり穴が空いてしまい、穴埋め作業をするはめになりました。
 穴を埋めてからレジンを垂らします。ここで欲が出てしまいました。レジンを一度に盛ると、ちょうどいい感じに盛り上がりました。「これはいいや」と思い紫外線ライトはちょいちょいと当てておきました。そして一晩放置しました。
 翌朝、さてどうなっているか?と思い手に取ると、なんとレジンはすべて流れ去り、翼面にダマになっているではありませんか!結局ペーパーを掛け直す羽目になりました。その結果、消えてしまったモールドを掘り起こそうと、そのままカッターを当てると手が滑って傷を広げてしまいました。ああ無情!あわててはいけないのでした。その後キズを埋めてモールドは最低限に彫り直しました。だって完璧にやろうとすれば、完成が遠のくばかりなのは目に見えていたからです。
 レジンに関しては記事ある通り、少しずつ盛っていけば良かったのです。それを一度で済まそうとしたのが間違いの元でした。
 本当は翌端灯もレジンにしたかったのですが、これ以上欲張ってはいけないと思い今回は塗装で済ませました
 射爆器は丸太のようだったので手元にあった真鍮線で代用。削り落としてしまった支柱はランナーの「バリ」を利用してごまかしました。
 
 マニアがうるさそうな細かいディテールは資料もないので気にしないことにしました
 
 大嫌いなキャノピーのマスキングは幸いネットで販売されていたのでありがたく使わせていただきました。こんなマイナーな機体用に販売している方もおられるのですね感謝感謝です。

 いよいよ迷彩デカールを貼ってみることにしました。水につけると何だかよれよれで腰がなく、すぐに破れそう。案の定、少し引っ張ると裂けてしまいました。しかもサイズが合わない。大きすぎる部分は恐る恐る切り取ります。大きな一枚のまま貼ると破れるのは目に見えているので半分に切って貼り付けます。それでもところどころ裂けてしまいました。どうにかごまかしていきます。脚スパッツ部分などは絶対合わないので後でタッチアップが必要でした。


脚スパッツのデカールはこのように左右が合わさりません


 で、貼り終えて眺めてみると、まあいいんだけど何だか変?何この違和感は?と思って上から見ると、あらら左右対称なのですね。胴体、カウリング、スパッツ、翼面どれも見事に左右対称です。


迷彩パターンが左右対称です!あり得ないのでは?


 どう考えても当時の旧軍機が左右対称の迷彩であったとは考えにくいです。おそらくデカールを作成したメーカーは深く考えずに作ったのでしょう。

 まあいいや、その後裂けた部分をテキトーにタッチアップしたら、はみ出したりしてある程度対称でなくなってしまいました。怪我の功名でしょうか?
アンテナ線は張るかどうするか考えましたが欲張るのは失敗の元と思い取りやめました。次回にしよう。

 最後に、射爆器が前面キャノピーを貫通しますが、穴が大きすぎる印象だったので、試しに透明レジンを垂らして塞いでみたら、何となく良い感じがしたのは収穫でした

 どうにか完成させました。タッチアップ部分は色が合っておらずムラが出ていますが見なかったことにしましょう。キャノピー内部に指紋が残っていたり、枠は相変わらず汚いです。モールドもかなり消え去っていますが、これも「味」ということにします。


 個人的には九七〜九九式の固定脚の機体は結構好きです。実物も絶対的な性能よりも実用本位といったものが多いようで地味な割に活躍したようです。案外当時の日本の技術に見合った存在だったのかなあと思ったりもします














 フジミは最近、艦船モデルに力を注いで航空機モデルは興味がないように見えます。
 航空機の新作がでないのは少し寂しいです。1/72シリーズはかなり年季の入ったものばかりですが、そこそこの完成度で、妙に凝っておらず初心者にもとっつきやすいものだと思っております。「こういうのでいいんだよ」と言いたくなるものです。
 海外メーカーからは最近ありとあらゆる機種のモデルが販売されていますが、多くは簡易インジェクションモデルで短期間の販売であり、機会を逃すとなかなか入手しづらくなります。それに対し、フジミ製品はまだまだ入手しやすいようです。
 安価でまずまずの出来で入手しやすい。これからもフルモデルチェンジなんてしなくて良いですから、だらだらと長く販売を続けてほしいものです



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