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誌上個展

<日本航空史> SSK

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 AKB、SKE、NMB、HKT、NGT、STU、SSK ・・・SSKって、どこ? ススキノ?
私は「AKB」と聞いたときに、“あれ?どこかで聞いたな”と記憶のどこかが反応したが、そのまま過ぎてしまった。それがSSKだと気付くまでにはかなりの時間がかかった。まあ、そんなことを思う人は絶対的少数派だろう。

 SSKは「松竹少女歌劇団」の略称だ。一人で撮られた飛行帽姿のブロマイドの女性は「男装の麗人」と呼ばれたターキーさんこと水の江瀧子さんで、歌劇団の1期生(今なら神世代だね)。
 1928年の入団だそうだ。それなりの年齢の方には、50年くらい前にNHKで放送していた人気番組「ジェスチャー」の赤組キャプテンを務めたその方。Webで「松竹少女歌劇団」を検索すると、「松竹歌劇団」とか「松竹少女歌劇部」とか出てくるが、当時のブロマイドに「SHOCHIKU SHOjO KAGEKIDAN」と書いてあるからその名で存在したことは間違いない。「少女」の「j」が小文字なんて、とてもお洒落だな。




 水の江瀧子さんとオリエ津阪さんの二人が写っている私製絵葉書は日本航空輸送が製作したもので、これに寄付金付の航空機切手3枚を貼ってコンプリートする、お楽しみ台紙になっている。掲載のものは1枚も貼っていないが、切手を3枚貼ってニッポン号世界一周大飛行記念の記念印を押した官製葉書を掲載しておく。切手の飛行機はDC-2で、記念印はニッポン号というのも興味深いが、それはまた別のお話し。
 この切手は飛行場整備のための寄付金集めが目的だったそうで、切手の計15銭がまったく使われずに「お楽しみ」になるというもの。この時代の飛行場整備がいつの日かどこへと結びつくのか、だれにでも分っていたと思うが、それは当時にあっては疑問にすら思わない日常の出来事だったろう。



 女性+「団」という規模の人数+アルファベット3文字、は今日の芸能界とまったく同じ。コンサートとはいわないが、劇場で歌い踊るのも同じ。切手のコンプリートで満足感をあおる手法も同じだ。
今日ならCAのコスチュームになりそうだが、飛行帽姿の女性二人はリンドバーグの奥様のアンさんが来日したときの姿に似ていて、憧れの装いになっている。大きな違いは、今が戦争の時代ではないということ。本当に、よかった。



<蛇足>
 あまりにも普通で気づかなかったかもしれませんが、水の江瀧子さんとオリエ津阪さんの二人が写っている絵葉書の文字は、左から右へ書いてあります。現代と同じ書き方は戦前にもよくあって、掲載の葉書の文字方向は切手の数字と足し算にあわせた読み方向なのでしょう。
つまり、その場所で都合よい方向に書き・読むのです。先月号の91式戦闘機のような「愛国○号」になると、さらに「前から後ろ」(以前は商用車に書いた社名によくありました)の書き方も入り込み、垂直尾翼の機種表記も左右面があるので、飛行機全体がもうゴチャゴチャです。


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