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特集 NAVY & MARINES

DOUGLAS F-3D-2 SKYKNIGHT (SWORD 1/72)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,F-3開発決定記念。F-3つながりで,朝鮮戦争で活躍した夜間戦闘機F-3Dスカイナイトを製作しました!

 実は,他のキットを用意していたのですが,第1候補も第2候補も予想以上にポンコツなキットだったので製作を断念。ちょっとSWORDのキットでやってみるか(アメリカ海軍機のキットが結構出ています。)・・・そう言えば、通販サイトの特売でスカイナイトの資料本を買っていたし・・・。ということで今回のお題が決定しました。

<実機について>

 エド・ハイネマンが設計し,1948年に初飛行,1950年に実戦配備された全天候艦上戦闘機。パイロットとレーダー操作員がサイドバイサイドで搭乗する本機は,飛行性能は決して高くなかったが,機内容積に余裕があり,後に,EF-10B(1962年にF-3DからF-10に改称。)が電子戦機としてベトナム戦争でも使用された。

<キットについて>



 チェコのSWORDは,簡易インジェクションながら,他メーカーが手がけない航空機やバリエーション機(BACライトニングの復座型とか,T-33の海軍型とか・・・)のキットをたくさんリリースしています。アメリカ海軍機のキットも何気に多く,F-2HバンシーやF-3Hデモン,F-9Fクーガーの写真偵察型など,ありそうでなかったものが手に入るという・・・ありがたいメーカーです。

 このF-3Dスカイナイトのキットは,同じパーツでデカールが違うものが3種類発売されています。今回、製作したものは,”over Korea & Red Rippers”というタイトルの付いているものです。垂直尾翼のテールコードが”T”と記された海軍機1種、”WF”と記された海兵隊機3種のデカールが付いていますが,塗装図Bには誤り(海兵隊機なのに”NAVY”のマークがついている。)があります。

 部品の貼り合わせのガイドになるダボがないとか,主翼や尾翼がイモ付けとか,何処に部品をつけるのか分からないとか,完成しないとか,一部で言われているSWORDのキットですが,近作では,部品精度が向上してほんのちょっとですが,組み易くなっているようです。

 このキットの部品数は,約70個、オプションパーツもあるのでクリーンな状態で作るのなら,実質50数個です。今回、気になったのは,・・・・・・・・・多すぎて頭が痛い・・・。

<製作>

 組み立てに支障を来すと思われる押し出しピンの跡(等間隔に直線上に並んでいます。)を削ります。特に前脚と主脚の収納部にやっかいな押し出しピンの跡があって,それが,よりにもよってリブのモールドを潰しています。これは,地道に補修します。





 前脚の収納部は,胴体の片方に接着して位置を決めます。収納部と本体に段差があると解釈したのですが,コクピットとの位置関係を調整する段階で段差がないのが正解だと分かりました・・・涙・・・。結果、コクピットの部品が上がり気味になってしまったので前脚の収納部との接続部を削って位置を調整しました。また,胴体側の開口部が広くて隙間が出来るのでプラ板を貼って調整しました。



 20mm機関砲4門の砲口は,小径ドリルで開口しました。なんと,内側の2門は,砲身が前脚の収納部を貫通しています(部品30)。エド・ハイネマンさん,思い切ったことをやるなぁ。


 増槽を装着するためには,主翼の組み立て前に裏側からパイロンの取り付けのための穴を開けておく必要があります。でも,組み立て説明書には,このことが一言も書かれていません。東欧メーカーは,モデラーの経験や技術に依存しすぎだよ・・・。



 パイロンと増槽との接続も同様で増槽に取りつけ用の穴を開けなければなりませんが,説明書には,開口の指定も位置決めのための図もありません。実機写真と増槽のモールドから位置を割り出して穴を開けています。



 タイヤホイールは,スポーク状になっていて,穴から向こう側が見えます。ここも,小径ドリルで開口しました。また,脚柱と接続するために車軸を通すための穴も開けなければなりません。
 主脚の取り付けは、キットのままではいもづけになってしまいます。五六式は,主脚の部品をランナーから切り離すときにゲートを残し,それをダボの代わりにして,ダボを受ける穴を脚庫の方に開けました。しかし,金属線を通して接続する方が強度が高いので次回があったら後者で作業しようと思っています。



 インテーク周りに部品の隙間が出来ます。これを埋めてから吸気ダクトを後はめ出来るように工作しようと思っていたら,ダクトに問題が・・・。エンジン前面のモールドが邪魔してダクトに入ってくれません。



 そこで,写真の赤丸の部分を削り取ると・・・エンジンの先端がダクトから飛び出して不細工に。仕方が無いのでプラ板の積層でダクトを延長して・・・と,泥沼です。

 今回は,この部分を後はめ加工して組みましたが,苦労の割には効果が薄かったので次があったら,そのときには,オーソドックスにダクトを組み込んだ後、インテーク周りを処理しようと思います。



 操縦席周りは,13個もの部品で構成されています。色の指定は,ほとんどがINTERIOR BLACKとなっているのですが,実機写真では,いいとこミディアムグレーぐらいじゃないかなと思いつつ,つや消し黒で塗ってしまいました。組み立て説明図では,計器盤の左右の端をサイドコンソールに接着するよう図解していますが,そんなことをしていると一生完成しません。胴体に操縦席周りを組み込んで胴体が形になった後,キャノピーの部品の接着部を確保しつつ計器盤を,胴体に組み込んでいくのが正解だと思います。
 
 3分割されたキャノピーの組み込みは,本キット完成のための最難関の一つです。いろいろ仮組みしてみたのですが,どの部品もキャノピーの開口部より大きいようです。一番の悪手は,三つの部品を接着してから胴体に組み込むこと。組み込めないし,いじっているうちに分解してしまうでしょう。かといって,右、もしくは,左の橋から順に胴体に組み込むと最後の部品のはまる隙間が狭くなってしまいます。

 まずは,3つの部品を個別に胴体にはまるように削り合わせ,仮組みで3つの部品がきちんと接合するかどうかを確認し,中央の部品(前後に長いので,様子を見ながら少しずつ胴体と接合する部分を削り合わせていきます。削りすぎに注意!)の位置を割り出して,これを胴体にがっちり固定した後,左右の部品を組み込んでいきます。わずかにキャノピーが大きい,しかも,窓枠の塗装で更に寸法が大きくなっているという誤差を左右に少しずつ分散させていくのです。



 左右胴体を接着して継ぎ目の成形をしたら,円いモールドが消えてしまいました。そこで,手頃な大きさのランナーを薄切りにしてサンディングしたものを,凹モールドの代わりに貼って,凸モールドとして再生しました。この方法だと全く同じ大きさの円モールドをいくつでも揃えることが出来ます。名付けて必殺モノグラミング。



 胴体下のダンパーは,駐機中と離着陸時には下ろしているそうです。下ろし具合は,実機写真によってまちまちでした。垂直尾翼と水平尾翼の間のくさび形の隙間は,実機にもあります。慌てて塞がないこと。  

デカールは,フィルムが薄く,曲面によく馴染み,色透けが少ないという高品質なものですが,しわができ易く,リカバリーが難しいというリスキーなやつです。結局,コーションデータの半分以上を省略せざるを得ませんでした・・・涙・・・。

 とにかく,1つ作業を進めるたびに仮組みをし,部品を加工し,接合部を調整し,を繰り返して何とか完成させることが出来ました。

<完成>



 製作の参考にとネットで製作記事を検索すると,海外を含め3人の方が本キットを完成させていました。中には,製作時間12時間という方も・・・五六式は,デカールを貼るだけで3時間かかったんだよ・・・?



 全面つや消し黒の夜戦塗装です。時期によって全面グロスシーブルーとか,ガルグレーと白とか,バリエーションがあります。また,1953年の時点では,”NAVY”とか”MARINES”とかのマーキングは無かったようです。



 テールコードWFの機体は,朝鮮戦争のときに韓国に駐留していた海兵隊の所属機です。この部隊は,陸上基地から出撃しており,少しでも機体を軽くするために着艦フックや尾部のダンパーを外した機体もあったそうです。



 機番の横に撃墜マークと思われるものが。夜間戦闘なら,Mig-15が相手でも有利に戦闘できたのかもしれません。。



ニックネームは,鯨ですと。並列復座のコクピットの後ろには,何が入っているのかな?全部燃料タンクってことは無いよね?



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