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特集 1/72

ミコヤン・グレビッチMig21/F-13フィッシュベッドC
              (レベル 1/72)

by Windy Wing 2013



 今回ご紹介する<レベル 1/72 Mig21/F-13フィッシュベッドC>はレベル社の好きなアニバーサリー・シリーズのひとつで、いかにもドイツの製品らしく、「ドイツ人初の宇宙飛行士ジークムント・イェーンの地上搭乗機」だけで金型をおこした、ある意味では非常にゼイタクなキットです。私は寡聞にしてこの東ドイツ出身のパイロットのことをよく知らないのですが、キット付属の解説書を読む限りでは、1978年8月に当時の共産圏宗主国だったソビエト連邦のソユーズ31/29号に乗せてもらって宇宙ステーション・サリュート6号まで往復してきた「東ドイツ初の宇宙飛行士」だったのに、その後、1990年に東西ドイツが統一してしまい、戸籍上「ドイツ連邦共和国初の宇宙飛行士」になっちゃった、というお方だそうです。ウィキペディアにもあまり長くない記事が掲載されていますが、記入者も飽きてしまったらしく、2019年9月23日にお亡くなりになったことまでは更新されておりません。





 キットはドイツ・レベルが最も生き生きとしていた21世紀初頭の製品で、プラモデルの歴史を見てきた人ならば、ひとつひとつのパーツの中に脈々と息づくモノグラムの凸表現と新生レベルの凹表現の名人芸を同時に肌感覚で体験することができます。デカールもイェーン氏が飛行隊長を務めた東ドイツ空軍機の他、旧ソ連空軍機、フィンランド空軍機など、計5種を奢った極めて上質なものが付属しています。





 もっとも、スライド金型を駆使できる時代の製品ではないので、モールドはパーツの隅々まで行き届かず、キャノピーの枠線はあいまいで、それらの整合性も一世代前の精度でしかありません。また、素材が工作の難しい銀色だったり、今どきは珍しくなったバリがそこここにあったり、と、なにかしら1960年代のレベル300円箱を思い出させる懐かしさも遺しています。




 本キットは日本ではさして人気があるとも思えないMIg21の、それもハンプバックでもない機首の細い初期型で、これは私にとってはオークションの一山いくらで買った「その他大勢」のひとつでしかありませんでした。ところがいざ箱を開けてみると、その圧倒的なクラフトマンシップに魅了されて、本命キットのことなどすっかり忘れて「衝動買い」ならぬ「衝動作り」していた次第にて、見知らぬキットに隠れた名品を探る日々、これだからプラモデルはやめられない。



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Vol.146  2020 October.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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