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特集 双発機

  ブロム&フォス P194 (レベル 1/72)

  by 寿



 双発機ということで特集に合わせて作ってみました。ドイツの奇才リヒャルト・フォークト博士が考案したジェットとレシプロエンジンの混合動力計画機です。ジェットの黎明期にちらほら見られる「両方の利点を生かした」っていう苦しい言い訳のアレだ。極初期のジェットって推力ショボかったから技術者も知恵搾ったんだろうね。きっとみんな不本意だったろうけど背に腹は替えられないってことで踏み切っていたんじゃないかしら。でもフォークト博士の場合はどうだろう。むしろ嬉々としてやってたように思うのはわたしの気のせい?



 ともあれ、双発機と言われてふつーの人が考えてるのとはちょびっと違うけどこれもまた双発機であります。眉をひそめる人も居るだろーけど恥じ入るところは微塵もありませんな!



 むしろ混合動力云々の前にこの左右非対称形態はどういうことよと思わなくもない。っていうかまず目が行くのがソッチの方で双発機だと言われて初めて「えっ何処が?」と二度見するのが通常の反応だと思います。かくいうわたしも初見レシプロ単発機だと思ってました。カタチでびびらせて隠し技で一本的なおちゃめヒコーキ。個性と異常の狭間をふわふわたゆたう妖しさ満点の機体であります。



 そもそもこのP194、どうも先に出来上がっていた非対称機BV141Bを改設計した機体っぽいんだよね。フォークト博士のロジックとしては形態的な対称非対称はさして問題では無く空力的に対称であることが重要と考えている節があって大戦終結までの間に取り憑かれたかのように数々の異形機を設計しております。その中で実機として完成したBV141Bは「ホントにコレで飛ぶのか」と周囲をビビらせながらも見事に離陸。形とは裏腹に素直な操縦性と安定性を見せ付けて試験飛行を危なげなく成功させたそうです。



 結果から言えばBV141Bは不採用になりましたがその素っ頓狂な形態から「機体形状がおかしかったから」と誤解されがち。しかし諸悪の根源は採用したBMW謹製のエンジンがスカタンだった為ということを明記しておきたいのです。機体は悪くなかったんですよ、単純にエンジンがグダグダだった。世に数多あるエンジン不調のせいで消えて行った機体と何ら変わり無い理由であったのだとご理解頂きたいのですよ。「単発機で双発機と同等の視野を確保」っていう当局の難題に見事応えたっていうのにねぇ。



 ちなみに採用されたライバルのFW189は双発機。試作の要求条件に単発機ってあるのに双発機で出してそれが採用っていうのはどうよ?やっぱり悔しかったのかなフォークト博士。偵察機として試作されたBV141Bのコクピットを単座化して胴体に弾庫を新設して「レシプロがスカだというのならドーピング」的な勢いで座席の下にジェットエンジンくっつけてどうだこの高速爆撃機、みたいな?うーむ執念じゃね。



 しかしだからといって左右非対称の機体に乗りたいのかと言われるとちょっと・・・・・しかもソレが量産されてうじゃうじゃ飛び回る現実っていうのは悪夢とどれくらいの違いがあるんでしょうかね。



 ヨーロッパ界隈ではドイツ機を主軸とした「もしも1945年で大戦が終結しなかったら」というIF機体のジャンルが確立しているのだそうです。レベルが出してる計画機もすでに結構な数がそろっております。ドラゴンからも割と出てるなぁ。時折東欧で日本の計画機がキット化されるのもその余波から来ているのかも。怒濤のごとくって程じゃないけれど忘れた頃にぽつぽつと出てる感じ。「クラブ1946」ってところでしょうか。待っていればこちらがビビるほどにどマイナーな計画機が次々と発売されてゆくゆくはフォークトプランの全てがインジェクションキット化される日がやって来る、のか?



 それは嬉しいような恐ろしいような。

製作の詳細

(写真1)取り敢えずエンジンと小物から塗って参ります。コクピットはちょびっと撮り忘れちゃった。まぁブラックグレーでベタ塗りしただけだから勘弁して下さい。

(写真2) クリアパーツの透明度も高くてイイ感じ。計画機なんで形状云々言うのは野暮じゃね。お約束で窓枠と接着面は黒で塗っとく。


(写真3) パーツ数少ないし機体形状がヘンな割にはパーツ自体単純なんでヒコーキの形になるのはあっと言う間じゃ。これが真っ当かどうかはさておいて。

(写真4) パテが乾くのを待つ間に小物を仕上げちゃおうかね。エンジンは黒塗った後にちゃちゃっとドライブラシ掛けて出来上がり。シリンダーのメッキ部分はクリアブラックを下塗りしてクレオスGSIのメッキシルバーNEXT塗っております。


(写真5) キットはBMWエンジン見えるように出来る設計だけど今回は無視して封印。色々と再現してみたい方は頑張って下さい。苦労しそうな予感がするけど。

(写真6) エンジンカバー閉めたからという訳でもないけれど弾庫は開ける方向で。RLM02系でぷーと塗った後にマスキングして機体の下塗りしていきま~す。いつものよーに茶褐色でスミ入れした後ニュートラルグレーを筆でぺたぺた。この辺りは寿デフォルトってヤツじゃね。


(写真7) 合間を見ながらスピナに渦巻きでも塗っとこうかな。デカールはまんまキットのヤツを使うけどインストには無いカラーリングでいくから渦巻きデカールは端から無いのよ。あってもきっと使わないだろうけど。

(写真8) 小物と平行しながら機体の方も進めま~す。基本下面色をエアブラシでぷー。


(写真9) さーて下面も塗ったしメインディッシュの上面塗装といきますかね。参考は末期の空冷フォッケのヤーボ仕様。色調の違う二種類のグレイ系というドイツお得意の地味迷彩じゃ。昨今の戦闘機よりは派手だけど。
 まずはグレーグリーンを筆塗りで。

(写真10) 6面相筆でただひたすらに塗ってゆく。地味な作業だけれどもこの筆目が必要なのよ。後々の仕上がりに拘わってくるでのう。


(写真11) 1ステップ分の写真取り損なっちゃったけれどグレーグリーンと同様に面相筆でグレーバイオレットを塗った後、バイオレット部分を中心に極薄の明灰白色でオーバーコート。はみ出してグリーン部分に干渉しても気にしな~い。むしろ程よいボケ足じゃ。
 バイオレットの筆目をボカした後グリーン部分をバイオレットとの混色を作り、今度は下地の見えてる部分をちまちま塗り潰してゆきまする。下面との境界部分はこの色へ更に下面色を混ぜて対応。薄目の混色で更にボカす訳ですね。

(写真12) 迷彩塗り終わったら機首下面と翼端下面を今は無きソリッドカラーの黄燈色を極薄でぷーと吹く。隠蔽力高い割には発色に深みがあって好みなんだよね。そういやガイアカラーの黄燈色はどんな按配なんだろ。まったりというかねっとりというか塗料の感触はすごく近いような気がするけれど。一度試してみなきゃ。


(写真13) 塗り終わったらエナメルでスミ入れしてセミグロスのトップコートを極薄で吹いてデカール貼って、も一度トップコート吹いて小物パーツを着けたら出来上がり。
 写真見て書いてるとあっという間だけれども色ではいろいろ悩んだんだよ、色だけに(そこ、げんなりしない。幽体離脱も禁止!)。目指す配色見つけるまでに二日ほど塗料皿の上で試行錯誤しちゃったからね。その割には在り来たりな選定色になっちゃったけれどほぼお望みの色合いが出たんで結果オーライこれで良し。レシピも出来たしね。次はもちっと早く塗れるのう。





(写真14)ちなみにコレが元ネタと思しきBV141B。競作として提示した偵察機じゃなくってそれの爆撃機バージョンだね。形態的にはほぼ変わんない。レベルじゃなくってヒストリックの箱絵だけど参考までに。こいつもその内 作ってやらねば。



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