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特集 ジェット戦闘機

  ミーティアNF.Mk11 No.11スコードロン No.1ウィング ベルギー空軍1953年 (マッチボックス 1/72)

  by 寿



 みんな大好きマッチボックスのミーティアです。ミーティアが好きなのかマッチボックスが好きなのか、はたまた両方かなのかはさておいてナナニイでレーダー付きと言えば久しくマッチ版しか無かったから積みプラタワーの一角に鎮座させていらっしゃるモデラーも多いのではないでしょうか。



 バリエーションでMk11、12両方作れるようになっているしイギリス本国以外のデカールも入っているしお値段安いしプロポーションも良いとイイことずくめの素敵キットでありますからなぁ。



 とは言え哀しいかな時の流れというモノは残酷なもので昨今はめっきり入手困難なブツとなってしまいました。嗚呼魅惑のレーダーミーティアいま何処、肩落として落涙し枕を濡らす夜も幾千夜であります。ですがご安心召されいモデラー諸兄御同類諸君。ほんのちょびっと前にスペシャルホビーからナナニイのMk11、12が立て続けに発売されました。あれ嬉しや万歳三唱どんどんぱふぱふ笛や太鼓で舞い踊りであります。簡易インジェクションとはいえこの頃はめっきり腕を上げたスペシャルホビー。モールドは繊細だしデカールは良質だしプロポーションもグンバツだしキャノピーの透明度も高いしで言う事無しだよ。いやぁ待ってみるもんじゃね、まったく良い時代になったのう。 



 よく「○○の新しいキットが出た、もうストックしてたヤツはゴミ箱行き」という台詞を聞きます。そういった方々は頭を抱え滂沱の涙を流しながら地面を叩き喚いて半狂乱。真夜中に近場の公園に出向くと廃材でやぐらを組んで火をかけた挙句半裸で全身に怪しげな紋様を塗りたくり槍持ち仮面という出で立ちで一晩中呪いのダンスを踊るそうですが(「そこまでじゃねぇ(怒)」:友人のグスタフ氏)そんなに悲観しなくてもいいんじゃないかなぁ。古いキットには古いなりの味わひといふものがあるのですよ。せっかく買ったんだから楽しまなきゃ損でしょねえあなた。



 とかエラそーなことをのたまいながらもこのキットはタビデ氏から頂いたものなんですけどねw(しかもレジン製でF8への先祖返り改造パーツが勝手に同梱されてる)自腹で買ったものを差し置いてもらい物が先に完成するってのもどうよ?でもまぁ本命を作る前の予行練習と考えれば納得もいくか。それに完成品が増えるのは素直に嬉しいしね。



 そんな訳でナナニイミーティア堂々の完成ですよ。あちこちポカもあるけれどそこはあんまり探さないでくれると嬉しい限り。こういうものはフィーリングですよフィーリング。雰囲気出てれば其れで良し。出来の良いキットが溢れかえっている昨今必ずしも目を三角にして精密正確超絶再現を目指さなくてもいいんじゃないかなぁ。ゆる~いキットをゆる~く作ってもいいぢゃん。「キットがこうあってくれって言ってるもんだからその通りに作っちゃった」みたいな?こーゆーブツは難しく考えるよりもその場の勢いでだーっとやっつけてしまった方がモデラーにとってもキットにとってもシアワセなのではないかと、そう思う次第なのであります。



 そうは言いつつも超絶キットすらゆる~く作っちゃたりしちゃうのが寿流であったりするんですけどね。



製作の詳細

(写真1)魅惑のマッチボックスアート。素敵です。フロッグのボックスアートとどちらが良いのかは悩む所じゃ。

(写真2) パーツはこんだけ。でもスケールを考えたら必要十分だ。精密さへの追及は現代への課題だった。マッチボックスの「未来の為にこの程度でカンベンしてやろう」という大人の余裕が垣間見られる。過大な評価だろうか、って阿保かーい。どー考えても過大だよ。何処をどう押したらそうなる?誰だよそんな与太飛ばしてんの。
 あ、いや、えーとそのワタクシなんですけどね。何かね、こんだけ割り切ったパーツ数を見てると逆に清々しくてね。でも昔のキットは皆こんな感じだったなぁ(遠い目)。とはいえデカールが数多の年数に耐え想像以上にしっかりしてたのは嬉しい誤算だったよ。


(写真3) 何はともあれまずはコクピット。取り敢えず黒で塗っとく。単純なキットはな~んも考えなくていいから楽だよね。

(写真4)

(写真5) 塗ったら乾くのを待つのももどかしいからそのまま貼り付けちゃう。隙間や反りも気にしな~い。セロテープやクリップで強引に養生。隙間から瞬間接着剤どばどば流し込んでねじ伏せるってのもイイね。全ては乾いてから考えませう。

(写真6) 隙間を瞬間様やプラ板で目詰めしたらパテ盛って乾燥待ち。削ったら凸彫り消えちゃうけどこれもまた今は考えな~い。未来のわたしが何とかしてくれるよ。


(写真7) そこ迄は良かったんだけどちょびっと調子に乗りすぎたかね。機首にオモリを入れ忘れてもーた。流石にこのテールヘビーな機体でウェイトナッシングってのはキツ過ぎる。しょーがないから機首ぶった切って詰め込みましたよ、ええもうしっかりと。二度手間だけどちょびっと回り道しただけのこっちゃ。こんなこともあらあな。

(写真8) パテをバリバリ削り終わったら翼とドッキング。いつもこの瞬間はどきどきするね。ヒコーキ未満が「あとちょびっとでヒコーキ」になる瞬間じゃ。モチベーションもこの瞬間からどーんと上がる。やっぱり完成が目に見えて進むっていうのは嬉しいもんだよ。


(写真9) いつものように窓枠は黒で下塗り。面相筆での直塗りだからよれちゃうけれどクリアパーツに黒っていうのは思った以上に目立たたないからあんまし気にならない。逆にエッジや溝部分のシルバリングが消えて透明度が上がったような錯覚が得られるから一石二鳥じゃ。このやり方を憶えてからというものの制作速度がグンバツに上がってマスキングする頻度がびっくりするくらい少なくなりました。ナナニイの大戦機にはオススメのやり方であります。
 え、レーダーミーティアは大戦後の機体だって?いーのいーの気にしない気にしな~い。このキャノピーは大戦機みたいなもんだよ無問題だって~

(写真10) みな様お待ちかね寿塗りのお時間でございます。下塗りでミディアムグレーを塗ったらいつもの茶褐色スミ入れじゃ。いつもよりやっつけ度数が低めなのは今回は凸モールドの再生も兼ねてるから。消えたモールドは色で補填すれば全面スジボリなんて超絶めんどくさい作業をオミットできる。寿的お気楽モデリングの肝は「如何に塗りで工程工作をガン無視できるのか」そこにかかっておるのでありますですよ。


(写真11) ほんじゃまず緑の部分を塗っていきましょうかね。下塗りは指定色でぺたぺた。

(写真12) 取り敢えずこれで一段階目。うーん悪くない感じだ。これで完成っつってもいいんじゃね?と思わなくもないけれどそんな事したら全世界のミーティアファンに一発ずつ殴られそう。


(写真13) しょーがない、上塗りしましょうかね。エアブラシでボカしにかかりま~す。グレー部分の上塗りは指定色のオーシャングレーで。もう一段階明るい色でも良かったかもしれないけれど何ちゅうか、気分?スミ入れ茶褐色が完全に消えない程度にぷーと吹く。薄目に希釈しとくのがミソ。

(写真14) グレー部分を塗り終わった状態だけどこれもまた調子に乗りすぎた。グリーンの部分が埋没してしまいましたがな。しょーがねえなぁ塗り直しであります。


(写真15) でもその前にキャノピーの窓枠をグレーで塗っておこうかね。一発で塗ろうとせずに十分に乾いた後に何度も塗り重ねるのがツボであります。
 めんどくさい?うーん、この辺りはマスキングとどっちが嫌なのかという個人の好き嫌いに関わるコトだから一概に言えないけれどワタクシ的にはこっちの方がストレス少ない感じです。はみ出したら乾燥後に爪楊枝でこすれば簡単に取れるし黒で補填するという手もあるし自由度が割と高いかな、と。

(写真16) グリーン部分を一段明るい色で補填したらスミ入れに移行。今度はエナメル塗った後に同シンナーでちまちまと落としてゆきまする。


(写真17)当ウェブモデラーズで加藤寛之氏などがおっしゃってますが奇跡のように頑丈なマッチボックスのデカールは本当に秀逸で遺跡なみに古い製品にも拘わらず十分以上に使用に耐えます。多少ヒビが入っている程度で色の透けもなくノリも健在。台紙への定着ニスが若干黄ばんでいる程度ですが水に浸した後に綿棒で丁寧に撫でれば黄ばみがはがれ透明度が復活します。何という丈夫さ、素晴らしい!昨今ではあまり見かけないこの頑健さは失われた技術、模型界のオーパーツでありましょう。
 ちなみに機銃はパーツがあまりにアレだったので真鍮線と真鍮パイプとで作り直しました。嗚呼またしても日和ってしまった・・・・反省。

(写真18) 日和ったついでにアンテナ類も作り直して足回りもくっつけたら完成。もっさい感じとスマートさとエンジンポッドの力強さとが入り混じった魅惑の機体が机の上に出現いたします。うーん、こうしてみるとまさに英国機。ミーティア以外には有り得ないシルエットじゃね。



(写真19) でもどっかで見たシルエットだなと思ってたらキャンベラに似てると気が付いた。つまり当時はこれが英国的最新のデザイントレンドだったってことなの?うーむ流石は暗黒面ならぬ英国面(ブリティッシュサイド)色々と逃れられぬ感じじゃのう。



 ちなみに今回は「日々一ミリプラモ」を目指してみました。要は朝出勤前に「一ミリだけでもいいから手を着けて完成を目指す」という塵も積もれば山となる作戦であります。ニッパーでパーツを一個切り出すだけでもいい。一個のタイヤの片面だけ黒で塗る、あるいはコクピットにスティック一本接着する等々どんなショボい作業でもオッケー。しかし必ず一日一作業が鉄則という血の掟であります。上手くハマれば気がつかぬうちに完成品が出現するという夢のような企画であります。なんて素敵素晴らしい!日を追うごとに完成が近づいてゆくという夢の毎日が過ごせちゃう。我が家に桃源郷が出現せり。
 ・・・・そんな予定だったけどやっぱ現実は中々難しいね。途中何度かサボっちゃったもの。でもいいの、こうして完成したんだから。思った以上に工作がはかどったのは事実だしね。
 そんな訳で皆様も試してみては如何でしょうか。「モーニングシンナー」などとのたまう失礼千万ご無礼な友人もおりますがモデラーならば己が手塩にかけた完成品を手にする快感には抗えないのでは?それが日々の些細な積み重ねの内に出現するとなれば考えただけでもうたまらん、初心者だった頃の歓喜感動再臨てな感じですよ。
 さあ手の滞ってるモデラー諸氏もレッツ・一ミリプラモ。毎日がわくわくで始まるだなんて素晴らしいことだとは思いませんか?


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