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特集 86ハチロク

North American　FJ-4B　Fury(Hobby Boss　1/48)
by 大山　盛幹



　今月は「86ハチロク」が特集ですが、FJ-4B FuryはNorth American F-86系列の発展形ですので、許容範囲だとして製作しました。



　FJ-2 FuryはF-86が空軍において素晴らしい性能を発揮したのを見て、海軍もF-86Eに翼折り畳み機構、着艦用のアレスティング・フックなどを追加、艦載機としての改造を施し機銃を20mm機関砲4門に変更して203機を製造しましたが、この型は発着艦性能に難があったため全て海兵隊で使用されました。
その後、エンジンをJ47からJ65(推力3,490㎏)に強化したFJ-3へと発展し、538機製造され海軍で使用されました。そして、さらに大幅な改設計を加えた機体がFJ-4です。FJ-2/3の外形には、まだF86Eが色濃く残っていましたが、FJ-4では、主翼を含めた機体の完全再設計が行われ、FJ-3と比べて、FJ-4の主翼は遥かに薄くなり(翼厚比6%)、面積も増加され、翼端に向かって強いテーパーがつけられた結果、F86とは主翼平面形が大きく変わりました。後部胴体上面は独特の"レザーバック"型となり、FJ-2/3との外見上の判り易い違いとなっています。さらに、尾翼も広範囲に変更され、全体的に薄翼化されました。
これらの変更により、FJ-3以前とは共通部分がほとんどなくなってしまいました。FJ-4/Bは合わせて374機が製造され、FJ-4は迎撃機として海兵隊で使用されました。一方、FJ-4Bは空母からの核爆弾運用の一翼を担う攻撃機として主に海軍で使用されました。FJ-4からの外形上の主な変更点は、①主翼のハードポイントを４ヵ所から６ヵ所に、⓶胴体後部下面に2枚の第2のスピードブレーキの追加、③前脚扉後方にAN/ARA-25アンテナの設置、④フラップ上面へのスポイラー設置です。



さて、ホビーボスのFJ-4Bは1/48としては、Matchbox、Collect-Aire Models、そしてGrand Phoenixに続く一番新しいキットです。といっても、2008年の発売ですので、もう14年前になります。最近のキットだけあって筋彫りのきれいなキットです。素組みでも堂々としたFJ-4Bが完成します(意外と大きいです)が、やはり少しの追加工作が必要でした。第一は、FJ-4の特徴である前脚扉後方のAN/ARA-25アンテナフェアリングを追加します。前脚扉にはAN/ARA-25アンテナのフェアリングがモールドされていますが、胴体側には主脚扉のアンテナフェアリングに続く部分がモールドされておりませんので、プラ板の積層を削りだし追加します。大きさ、厚さは前脚扉のアンテナに合わせます。



次に、ブルパップミサイルのAN/ARW-73ガイダンス・ポッドの追加です。キットはブルパップミサイルを６発搭載できる指示になっていますが、右翼内側のパイロンにはブルパップミサイルのAN/ARW-73ガイダンス・ポッドが搭載されますので、最大５発までしか搭載できません。このガイダンス・ポッドは、1/72クフイールC7の増槽を短縮して使用しましたが、実機はもう少し短いようです。コクピット後部は何も再現されておりませんのでF-86Fを参考に自作しました。



　細かい所では、機銃口を開口して、真鍮パイプを埋め込み、機銃先端を再現しました。また、胴体下面の主翼直前に、カタパルト・フックを、胴体後部のテイル・バンパーをプラ板から切り出し取り付けました。尚、変更点のフラップへのスポイラー設置は完成後に気付いたため、作例ではスポイラーの筋彫りはできておりません。



　キット付属のデカールを使用しましたが、密着度もよく筋彫りに馴染む上質の物でした。指定塗装はSquadron/Signal社 の「Fury In Action」の表紙の機体で、1958年　第214攻撃飛行隊の隊長機です。
しかし、どうもこの表紙の塗装が間違っていたようで、それを鵜呑みにしたデカールでした。正しくは垂直尾翼の三色の塗り分けは「赤、黄、黒」ではなく「赤、黄、橙」のようです(Naval Fighters №25「North American FJ-4/4B Fury」の71頁の写真のキャプションに「the CAG bird which had red-yellow-orange stripes above and below the white tail stripes.」との記述があります)。



資料としては、ネットの写真の他、洋書では前述のSquadron/Signal社 In Action№1103の「Fury in action (1990年)」、Naval Fighters №25の「North American FJ-4/4B Fury(1994年)」の他、旧版のIn detail&scale Vol.68「FJ Fury(2003年)」、和書では世界の傑作機 №134「ノースアメリカンFJフューリー( 2009年)」に参考になる良い写真が多く掲載されていました。なお、新版のIn detail&scale Vol.13「FJ-4 and FJ-4B Variants (2021年)」には、FJ-4とFJ-4Bとの違いが判りやすく図示(13頁)されており参考になります。


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