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   P-51D (モデルキット999 1/72)

  by 加藤 寛之



 「モデルキット999」の一つ。1960年代中ごろかと思う形状再現レベルと現代風の造形感が渾然一体となった面白いキット。精巧とか精密とかとは全然違うプラモデル感溢れる製品なのは、50年前のマッチボックス的ではあるが、マッチボックスは飛行機をよく分かった人が、おそらくは予算的制約と多色成形、小さな箱という条件のなかで、「まあ、こんなところでいかがですか」と余裕タップリに設計し造形した形跡があるのだが、こちらは飛行機を知らない人が機械とプログラムに頼って不十分なデータで造ったプラモデルって感じ。だから面白いのだ。
このシリーズの特徴は、プラの色が実機の色のどれかに似ていること。P-51Dのキットは銀色。これが透けているような半透明的な銀なので、全面塗装をすることにした。もう一つの特徴であるエンジン内蔵は、機首の皮パーツを使わずに露出させることにした。



  パーツのチェック&工作。
エンジン周り:うん、OK。それっぽい。
プロペラ:捻りが逆みたいなので、プラの柔らかさをいかして捻りなおす。全体も変なムチ形になっているので、削って改善。
スピンナー:エンジン露出にすることもあり、機首パーツの先端を切り落としてスピンナー後部に接着して延長、見栄えをよくする。
コックピット:簡素で私の好み。
主翼:下面が左右通しで1枚、上面は左右別という一般的分割。翼厚が薄すぎて、中央部に厚みがある層流翼の感じが不足。これは、まあいいや。ところが、この薄過ぎを胴体に接続させるために、上面パーツが胴体付近でふわっと持ち上がっている。プログラムが段差を補正したのか、これは酷い。ここは削って面を整える。ついでに前縁が四角っぽいので、層流翼っぽく尖り気味に整形する。



  胴体と垂直尾翼:胴体はOK。垂直尾翼は左胴体に一体造形になっている。この分割方法は後縁を薄く仕上げるための工夫なのだが、このキットは垂直尾翼全体が猛烈に厚い。しかも、前に伸びるフィンが丸く膨れた小山状になっている。これは酷い。造形を確かめると、この小山を切り落としたも穴が開かないと分かったので、フィン無しタイプに改修・・・したが、前縁の猛烈な厚みが丸見えで、これもマズい。そこで三角形のプラ板を貼ってフィンを造形した。実機は垂直尾翼前縁と薄いフィンを融合させるためのパネルラインが垂直に入るのだが、それをすると再び厚くすることになるので、「まあ、いいや」で済ませた。
風防:「ちょっと丸すぎるかなぁ」と思うがOK。昔はみなこの程度だったから、懐かしい。ところが、胴体パーツと前方が合わない。胴体パーツ側が窪んでいる。これはプラ板でおおざっぱに造形してパテで均す。「まあ、これでいいや」程度でOKとする。
主脚周り:翼下面側はちょっと低くなっている程度のところにリブなどの形を作ってある。これは下面で見えないのでOK。薄めた黒をサッと塗ればゴトゴツ感が出る。胴体側の脚カバーは内側の彫り込みが濃厚でロッドもあり、なかなかのもの。でもなぁ、普通は閉じているんだよね、せっかくだから開状態に組んだけど。閉状態にするならば、閉状態のパーツを加工すればよさそうだ。タイヤはすごく太くて、カッコいい。OKだ!脚柱は主翼側の穴がグラグラ&脚カバーの一部がぶつかる。まあ、うまくやる。



  塗装&デカール貼り。
細かいことはナシ、銀色にして終了。米軍マークに違和感。白星の位置が地色の紺の下の方に寄っている。印刷でいう版ズレではなくて、原稿そのものに問題があるようだ。でも面白いので、もちろんそのまま貼る。

  完成。
だれが見てもP-51D。エンジン露出に目が行き、造形の難は気にならない。これも新興プラモデルの生きる道だ。「もう一回、作りますか?」と問われたら、「ほかにたまっていますので・・・」と返事をするかな。


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