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誌上個展

<日本航空史> 銀河の幟

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 海軍の陸上爆撃機「銀河」でよく見る写真に、幟を立てたヨD-191機がある。今回は、この写真の撮影時期について。
 文林堂『世界の傑作機スペシャルバージョンVol.1 海軍陸上爆撃機【銀河】』(平成12年9月1日)p.54には、「昭和20年2~3月の厚木基地」とある。
 モデルアート社の『日本陸海軍夜間戦闘機』(平成13年10月25日発行、通巻595集)のp.48には、「写真は終戦の2日後(?)、8月17日の厚木基地で、アンテナ柱に『非理法権天』ののぼりを立て」とある。



 この機体らしい写真が、「同盟写真特報」昭和20年4月10日第2674号にある。掲載写真がそれ。「同盟写真特報」は、大きく写真を載せて数行の説明文を付したB4版くらいの印刷物で、今でも公民館のようなところで見かける「○○新聞写真ニュース」のような広報紙。「この機体らしい」というのは垂直尾翼の機番は写っておらず、斜銃やアンテナも写っていないので、断定できないからだ。だが、斜銃やアンテナが写っていないのは秘匿のために背景とともに修正消去された可能性が充分にあるから、写っていないから別機とはいえない。
 上記の「昭和20年2~3月の厚木基地」の根拠はこの「同盟写真特報」昭和20年4月10日第2674号かもしれないが、言及はない。別の日にまた幟を立てたかもしれないのだから、「写真は終戦の2日後(?)、8月17日の厚木基地」も否定できない。
そもそも、別機の別の出来事かもしれない。
 
 結局ナニが言いたいの?となるが、「こういう事を知っていてネ」ということだ。
 なお、同「同盟写真特報」の写真で、幟のさおは竹製と分かる。飛び出した手掛けや、塗装剥離につながる歩行位置も判る。ヨD-191機か否かに関わらず、資料性は高い。


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