Home  >CONVAIR F-102A DELTA DAGGER (OTAKI/ARII 1/144)> 特集 スモールスケール>2022年3月号

特集 スモールスケール

CONVAIR F-102A DELTA DAGGER (OTAKI/ARII 1/144)

by 五六式(TYPE-56)



 スモールスケールの特集に合わせて長い間放置していたアリイ(←オオタキだよ)のデルタダガーを完成させました。2018年の夏に着手してその後,持て余して(純正デカールがアレだったり,キャノピーの枠を塗るのが面倒だったり,基本色のエアクラフトグレーの塗装が面倒だったり・・・)放置していたものです。

<実機について>


 ドイツ人技術者リピッシュ博士の理論を具体化させてデルタ翼の高速機を,というコンセプトで開発されたジェット戦闘機。前作XF-92のデータを活かして更に高性能の実用機を生み出すべく開発が進められたが,YF-102(試験飛行と先行量産を平行して行ったのでXF-102にあたる機体は,無い。)は,音速領域での空気抵抗の増大により水平飛行での音速突破ができず,大幅な改設計が必要になった。

 生産11機以降のYF-102Aは,エンジンをより高出力のものに換装し,エリアルールの採用による空力的洗練など,別の機体になったと言って良いほどのの改良を加えた結果,やっとのことで最大速度マッハ1.25をマークすることができた。

 実用機としては,FCSの改良によりSAGEシステムに対応して自動迎撃が可能になったり,核ファルコンの搭載が可能になったりと迎撃機としての能力が向上,1950年代中期から1970年代中期までアメリカ空軍および,州軍で使用された。某大統領の兵役時の乗機としても有名である。

<キットについて>

 オリジナルは,オオタキの1975年リリースのキットで,アリイからは,1987年から1992年にかけて再販されています(今回製作したのは,1992年版)。ちなみに,1988年のレベル版も同じキットです。

 全体の印象は,実機の特徴を捉えており,パネルラインは全て筋彫りとなっています。 


 部品に大きなヒケが有り成形が必要です。

 風防の透明部品はありますが,コクピット内は何も再現されていません。

 デカールの寸法と色味が,明らかに違っていて使うのがためらわれます。
発売当時,マイクロスケールからオプションデカールが発売されていました。

<製作>

 主翼の境界層板や垂直尾翼のフィンは分厚かったので薄く削りました。
 写真では分かりづらいですが,左側が処理済み,右側が未処理。この処理で完成後の見栄えがかなり良くなります。

 着陸状態の時は,胴体の主脚収納部の一部をくりぬく必要があったので日和って飛行状態で組みました。

 ヒケができている部分は,パテで整形しました。


 4種並べてみましたが,USAFの文字の大きさが全く揃っていません・・・汗・・・。


 写真左上が,キット純正。オーバースケールで青い部分が明るすぎるのでオプションデカールを探して購入しました。

 写真左下が,リリパット・エアフォース製。キット純正と同じマーキングのカリフォルニア州空軍機とノースダコタ州空軍機のうちどちらかを1機再現可能となっています。世界の傑作機No.81には,ノースダコタ州空軍機の写真が載っていませんでした。ネットで探してやっと1枚発見できたのみです。USAFのロゴは小さすぎるかな?

 写真右上が,らんでぃんぐ ぎあ製。U.S.AIR FORCEなどのロゴがダークブルーであるという最近の考証を反映しています。今回は,これを使用。シートの部分は,丈夫ですが,印刷されたマーキング自体は,デリケートです。一部,曲面に馴染みにくかったのでヘアドライヤーで温めてやりました(暖めすぎはNG!!)。デカールにタービンラインが無いので手描きしました。 

 写真右下が,Flying Papa’s製。取扱店の閉店に伴い,入手困難。カラー塗装図付きは,これだけ。デカールにタービンラインも収録し,ダークブルーの発色も良好。垂直尾翼のフィンに合わせてうまく切り分けないといけないのが悩みの種。

  コクピット内の部品は全くなく,穴すらもあいていないので,透明部品をスモークグレイで塗りつぶしてごまかしました。どっかからレジン製のリアルなシートを用立てして,計器盤も自作するなどという根性は,五六式にはありません。スモークで塗ると,枠のモールドが浮き出てきて枠の塗装が楽になりました。モールド通りに塗れて喜んでいたら・・・つづく!

<完成>

   世界の傑作機No.81によると,1960年から1965年にかけて,三沢基地に駐屯していた機体だそうです。 

ここで,F-102のとほほなお話

※ 正式な愛称は,DELTA DAGGERだが,パイロット達は,DUCE(トランプやサイコロの2の意。悪魔を意味することもある。)と呼んでいた。
※ 更に改良を加えたF-102Bは,マッハ2級の高性能機で見違えるような機体となった。が,「こんなのF-102じゃないやい!」ということで,F-106と改称された。
※ 自衛隊の迎撃機としての採用を打診されたことがあったが,F-104という選択肢もあったので,さすがにこの件は実現しなかった。(F-106も高価すぎるし,軍事機密も多かったので採用されなかった。このF-106,本当は,F-4にも負けないくらい格闘戦能力が高いらしい。)
※ ウェポンベイには,6発のファルコンミサイルを内蔵でき,1発ずつ発射,3発ずつ発射,全弾発射が選択できるが,いずれの場合も,1つの目標に向かって飛んでいくようになっていた。
※ ベトナム戦争にも派遣されたが,高温多湿のため,稼働率は低かった。共産側のIℓ-28ジェット爆撃機による攻撃に備えてパトロールするのが任務だったが,デュースのファルコンミサイルがIℓ-28やミグにヒットすることはなかった。(デュースが悪いわけではない。戦略爆撃機を迎撃するために作られた機体なので制空戦闘に使う方が間違っていたのだ。)  
 



 窓枠は,他に選択肢がないので筆塗り。この写真で実寸の2倍くらいかな?ウィンドシールドの細い枠を4本描くのはきつかったです。また,キットのモールドかなり正確にトレースできたのですが,キットのモールド自体が左右非対称でした・・・涙・・・。本体にキャノピーを取りつけた後,補正を入れましたが,やり過ぎるとガラスの部分が狭くなってしまうのでそこそこのところで妥協しました。 



  エリアルールを取り入れた胴体のシルエットがよく分かります。

 お風呂のLED照明の下で撮ると,こんな感じ。国籍マークやロゴの色は,いい感じになっています。実は,エアクラフトグレーの代わりにスプレーのRLM76(ドイツ機の下面色)を塗っています。照明でこんなに色味が変わるのなら,近似色でお手軽に済ましてもいいのでは? 
 



 おなじみF-104と並べてみました。F-102,でかいじゃないか!

 このキットがリリースされて50年近く経ちました。実は,思ったよりできが良いキットでした。←デカールを除いて。

 でも,もうそろそろこれに代わるキットが出てもいいんじゃないかな・・・。尾翼のマーキングに派手なのが多いし,ベトナム迷彩の機体もあるし,お手軽に3機ほど並べてみたいと思いませんか?

 エッチングてんこ盛りでコクピットを組むだけで何日もかかるのとか,塗装していない未組み立ての食玩とかは勘弁してくださいね。 


  Home>CONVAIR F-102A DELTA DAGGER (OTAKI/ARII 1/144)> 特集 スモールスケール>2022年3月号
Vol.163 2022 March.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE