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(Photo) アブロ・バルカン

by  コルディッツ
博物館実機写真

 アブロ・バルカンは1952年8月30日に初飛行したデルタ翼の戦略爆撃機で、3Vボマーの一つです。3Vボマーの役割はソ連に高高度兼高速度で侵入し、核爆弾を投下することでした。英国空軍の出した課題に、ヴィッカース社とアブロ社及びハンドレページ社の三社は、各々異なる解決策を提案しました。アブロの提案は異色のデルタ翼の採用でした。
 バルカンは1956年に部隊配置が始まり、イギリスの核抑止力を担いましたが、1960年代にソ連の地対空ミサイルの性能向上が明らかになると、高高度侵入は困難になりました。そのため1966年に低高度で侵入し戦術核攻撃に運用が変化しました。
 バルカンは低高度侵入任務にも順応し、3Vボマーの勝ち組となりましたが、イギリスの核抑止力はポラリス潜水艦に移ってしまいます。しかし1982年発生のフォークランド紛争で、最初で最後の実戦参加の機会が訪れます。英国海軍のシーハリアーでは制空権の維持ができず、アルゼンチン軍が占領するポートスタンレーにある滑走路を使用不能にする任務が、英国空軍に課せられました。4月30日にバルカン2機がフォークランドから6,300km離れたアセンション島を離陸します。これに空中給油機11機ー全機3Vボマーの一つ、ハンドレページ・ビクターの空中給油機型ーが「バケツリレー」の要領で支援しました。5月1日早朝、バックアップに指名されていたバルカン1機が滑走路に向けて21発の1,000lb.爆弾の投下に成功します。滑走路に命中したのは1発で、アルゼンチン軍の損害は僅かでしたが、英国の士気を上げた事でしょう。その後6回、合計7回の空爆が同様に実行され、うち5回が成功しました。こうして有終の美を飾ったバルカンは1984年に退役します。
※ 本稿は博物館の掲示、「世界の軍用機図鑑」(コスミック
出版)、Wikipediaを参照しました。

 Avro Vulcan B.2A XB824
 帝国戦争博物館ダックスフォードにて    2006年7月撮影  


2006年当時はイギリス機館がオープンする前で、屋外展示と
記憶しています。
 帝国戦争博物館ダックスフォードにて    2008年7月撮影  




 英国機館ハンガーでも巨大なバルカンは存在感を示しますが、
英国機が多すぎて目移りして困りました。




 Avro Vulcan B.2 XL318
 王室空軍博物館ロンドン(ヘンドン)にて  2008年7月撮影


 王室空軍博物館ロンドン(ヘンドン)にて  2016年4月撮影


 バルカンは1,000lb(454kg)爆弾21発を爆弾庫に収容します。





 胴体上側面の迷彩塗装が下面まで回っています。



 爆弾庫 カメラを後方に向けて撮影。下は前方に向けて撮影。




 首脚と乗降用ハッチ。全乗員は5名でした。



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