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   Ar234 C(マッチボックス(フロッグ) 1/72)

  by 加藤 寛之



 元はフロッグの金型だったはず。フロッグは1977年に活動を止めたそうだから、少なくとも金型製造から45年が経過したはず。おそらくその金型は他のドイツ機キットと共にレベルに渡り、マッチボックスのブランドで販売された当時のものがこれ。それでさえも組み図に1992年とあるから、30年前になる。ずっと欲しかったキットで、最近、友人がプレゼントしてくれた。
 嬉しい、とても嬉しい・・・で、開封した。
 やたらとパーツが多い。そのはずで、双発のB型と4発のC型が選択できて、V-1も付いている。翼下のロケット、燃料タンク、爆弾もある。B型とC型が選べるということは、機首も2種類あるということ。
 一方、造形は合理的。コックピットは椅子と正面計器版のみ。操縦桿はない。エンジンは前後が鍋蓋状のパーツで造形してあるだけ。翼下のロケットを支える柱は、棒状でなく板に凸表現で、黒く塗って「見えません」処理をする手軽さ。前脚のカバーは凹断面の左右一体造形、主脚カバーは接着第一主義と思える大胆処理だ。私はこれを高く評価したい。プラモデルは簡単に作れることがとても重要で、「完成すること」が命なのだ。これに不満な人は自分で加工すればよい。不満な人は自分で加工できる人でもあるのだから。
 残念なことは、その理念の高さに対して金型の品位が低いこと。各翼の断面は、前後を丸めた板状に近い。接合部分はダルく、モッタリとした隙間が残る。脚柱や椅子、アンテナといった小物類には精密感がない。これを改善していたら完成しないから、「まあいいか」レベルを柔軟にして対処することに決めた。
 胴体は、中央部から後ろと選択の機首の前後分割になっている。垂直尾翼とラダーが猛烈に厚いが、見なかったことにする。胴体断面が四角っぽいので、左右段差が少なくなる位置で固める。機首とのダルい隙間は、接着剤をタ~~プリと着けてはみださせて固めるとパテ代わりになり、ほぼ埋まる。錘は長いボルトを1本入れたが足りなかった。そこで椅子が単純なL字形だったことを活用して、薄い鉛のベルトを折りたたみL字形にして代替した。これで全く問題ナシ。
 主翼の断面形は酷い。後縁を斜めに削り上げて「薄そう」に見せる。エンジンを下面に付けたら、後縁の上面側をナセル後端と「それなり」になるように削り、ダルさを緩和する。胴体への接着では、主翼にあるガイドの板を切り落とし、胴体側も平らに整形、なるべく隙間をなくして接合する。固着後に主翼上面を「それなり」に削り合わせる。
水平尾翼の工作も似たようなもの。
機首の透明パーツの精度も低い。これは塗装でゴマカスことにする。
V-1も酷い。・・・まあ、いいや。
翼下のロケットを支える柱は、間にある板部分を切り抜いて「棒状」にした。そうすると上に穴があいてしまうのだが、主翼下面に下げるのだからほぼ見えない(見ない!)ので、穴のまま。正面支柱は中央にX形支柱があるみたいだけれども、無視。自分さえ気にしなければ、誰も気にしない。

写真を撮ったら何だか塗装の筋だらけで目でみた感じと違う。まあ、いいか。



  塗装。
キット指定も架空塗装だろうから、自由に末期の無塗装状態にした。銀で塗り、扉や動翼類、小物を下地色っぽく灰色に。その灰色でパネルラインをチョコチョコとパテの雰囲気に。エンジン前部や翼の前縁を光気味の銀をスッと塗ってメリハリをつける。コックピットは黒っぽくして、風防枠もその色に。これで難点が気にならなくなる。V-1も同じ黒っぽい色で塗り、クニャクニャを灰色で描き、その上を例の黒っぽい色を薄くクニャクニャと塗り重ねて雰囲気をつける。脚柱やタイヤも例の灰色と黒っぽい色。ホイールが真っ黒にしておいた。
そして、アマリ物の英国マークをペタッと貼る。私は爆弾やロケット弾みたいなものは、当たると痛そうなので着けないことが普通なのだが、さすがにV-1を省略できない。それならば戦争が終わって英国が戦利品にした想定にすれば発射されないで済む、ということ。文字やスワスチカは塗り潰されたようにしてみた。最後に、光沢の缶スプレーをプ~~としてデカール抑えにした。



 さあ、出来た。
このV-1装着のAr234の構想は、プラモデルとしては面白いものの納得できない。垂直尾翼に当たる気流はV-1に乱されまくり、方向安定が決定的に不足ではないか。V-1の主翼の後流が水平尾翼を直撃しないか。主翼とV-1の主翼の隙間が狭く、気流が圧縮されて猛烈な抵抗を生じないのか。V-1を支える部分が細く弱々しいのでもっとガッチリと支えなくてはV-1が踊りだすのではないか。・・・まあいいか、プラモデルだから・・・でも納得できないな。


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