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   フォッカー D23 (RS models 1/72)

  by 加藤 寛之



 この飛行機を初めて知ったのは、航空情報別冊『第2次世界大戦 仏・伊・ソ 軍用機の全貌』(1965年)を入手したときだと思う。“プラモデルには資料が必要だ”と洗脳されていたころだから、入手は発行から10年以上の後だろう。それから長い時間が経過して、このキットを入手した。
 フォッカーはD21で常識的な形態の飛行機を造ったのに、何でD23の形を試みたのだろうか。私には有利な面が思いつかない。非力なエンジンしか持っていないけれどもマトモな戦闘機を造りたかったのかと思ったが、非力なエンジン2台装備は試作段階だけで、量産型はRRマーリンとかDB601にしたかったとある。これは驚きで、それなら通常形態で2機作った方が、性能も使いがっても良さそう。「実はジェット機の形の研究で」も有り得ないだろうし、「この形態は後のプラモデルのためですよ」は絶対にない。



  …が、とりあえず「後のプラモデル」仮説に依拠して、作ってみる。表面モールドはとてもきれいだから、見ているだけなら良質だといえる。そうはいってもいわゆる簡易金型のキットだから、自己裁量の自由範囲が広い。接着面の均しとかフチの真っ直ぐ整形、接合の調整といった簡易金型キットの必須作業は当然として、大きな課題は3つあった。
その1)主翼・尾翼を歪まないように組む
その2)主翼の上反角不足の改善
その3)後ろ側のプロペラは表裏が逆みたい

その1)主翼・尾翼を歪まないように組む
 主翼と尾翼の四角形を組み上げ、これに胴体を載せれば、歪まない(歪みが目立たない)。

その2)主翼の上反角不足の改善
 これは、1)と関連している。上反角にだけこだわって安易な作業をすると、垂直尾翼が垂直でなくなってしまう。キットの上反角不足は、外翼が凸部分で事後変形して垂れ下がっていることと、外翼の薄くなり方が急なために下がって見えることが主なのだが、前者のみを改善した。初めは手で逆曲げして主翼上下パーツを接着してみたのだが、徐々に元に戻ってしまった。そこで主翼下面の外翼の境目にノコを入れて下面パーツ分を切断、そこにプラ板を挟んで上方へ曲げた。傷や不整合は下面なので目立たないから、そこそこの整形でOKとした。
 ところで肝心の上反角だが、キットの付図、航空情報別冊で異なる。当然、キットの状態優先で組んだ。さらに、実機の翼端はカーチスP40のように下面が持ち上がっているように見える。判然としないので、もちろんキットのままにした。

その3)後ろ側のプロペラは表裏が逆(みたい)
 おそらく逆だろう。ガッカリだ。“プッシャー式のプロペラは、ここが肝心だろう!”と思うが、なんとか改善するしかない。表裏が逆に見えるように削り直した。

 ほかにも細かな課題は多々あったが、それは簡易金型キットだから普通のことだ。



  塗る。箱の裏側にある塗装図を見て、その辺りにある似た色で塗った。色の塗り順は、濃茶>薄茶>緑。薄茶を先に塗ると簡単だが、濃茶>薄茶の順の方が渋い発色になる。細部の色指定はほとんどないので、自分で考えて塗った。 “プラモデルには資料が必要だ”と洗脳されていた頃ならば悩んだろうが、今は思ってように塗る。日暮時郎編『世界優秀飛行機総覧』(1942年)掲載のボ~~とした写真を見たら前脚柱やホイールが黒っぽいので、そのようにしてみた。
デカールは2種あった。基本の機体の塗り方は同じで、作例のほかにオレンジ色三角形のオランダ軍塗装用が選べた。私は、貼る枚数が少ない方にした。
最後にプ~~~と光沢缶スプレーをして、出来上がりとした。

完成。簡易キットとしてよく出来ている。私が『第2次世界大戦 仏・伊・ソ 軍用機の全貌』を入手したときには全く考えられなかったこんな機体のキットがあるのだから、それだけでも今は幸せってことだ。


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