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フォッカーD21オランダ空軍(MPM 1/72)

  by 寿



 先月のデ・シェルデS.21で妙な勢いが着いちゃって思わず作ってしまったD21。なんかこのオレンジの三角マークに惹かれるんですよね、ナゼって言われると困るけど。



 人間は一見意味不明に思える欲求も実は無意識とか深層心理とかが色々と影響を及すらしいです、よく分かんないけれど。まぁ賢そうな考察は学者先生にお任せ。モデラーはモデラーの欲望の命ずるがままプラモ道を邁進するのみであります。 



  と言うわけで欲望の深層心理から湧き出てきたアイテムな訳ですがわたし的にはD21はオランダ空軍というよりもフィンランドなんですよね。大日本絵画刊の「雪中の奇跡」や学研刊の「北欧空戦史」じゃないですけれど冬戦争時の大活躍っぷりといったら正に痛快無比って感じで。よくもまぁこんな二線級(失礼!)の機体でガンバったもんですよ。いくら地の利、時の利があったとはいえねぇ。



 しかし輸出先では大活躍だったもののこの機体を作り上げた本国オランダでは随分としょんぼりな活動しか出来なかったようで、侵攻してきたドイツ軍相手には全く歯が立たなかったようです。メッサーのE型相手に木金混合の固定脚機では、まぁむべなるかな相手が悪かったね。そしてオランダ空軍やこの機体に有利な点がほぼ無かったからなぁ。開戦初日から戦闘機の数だけでも70数機対1000機以上と目も覆わんばかりの戦力差だったし。



 時代遅れと切って落とすのは簡単だけどイギリスとかでもまだ複葉の戦闘機が第一線で働いてたしお金の無かった空軍を責めるのも酷なんじゃないかしら。



  それはそうとこの機体で面白いのは雪上での運用を想定した巨大なソリを付けても速度や運動性の低下がまるで無くて、専用設計の装備品と言うことも相まって極めて突き詰められた機体だったようです。そのせいかフィンランドで性能向上を図ってより強力なエンジンを載せたのは良いけれど空気抵抗が増えて逆に速度が落ちたり運動性が劣化したりで、良くなったのは最大離陸重量くらいだったとか。



  この辺は航空機設計の経験が不足していたフィンランドが手がけたって部分が大きいのかもしれませんが、もう発展の余裕が殆ど無かった機体と言った方が良いかも知れません。引込脚に改造した機体も有ったらしいけれどこちらも思ったほどに性能が良くならなかったらしいし。きっとこの機体設計とエンジン選択とが絶妙なバランスの上に成り立っていたんでしょうね。



 そしてここで「ああゼロ戦と似てる」と考えちゃうのは、やっぱりわたしが日本人だからなのでありましょうかw   

製作の詳細

(写真1)突如作りたくなったフォッカーD21。ローマ数字だとⅩⅩⅠとかいう表記になってイマイチ分かりづらい感じです。やっぱヨーロッパ圏ではアラビア数字よりも賢そうなイメージがあったりするのかしらん。第一次世界大戦前まではラテン語やフランス語が世界共通語とかいう認識だったりしたし中々に頑固、じゃなくて伝統を重んずる土地柄であります。

(写真2) ハイテックキットって銘打ってるだけあってレジンだのエッチングだのが盛り沢山です。わたし的にはプラのパーツだけで充分なんですけどね。正直レジンは精密かも知んないけれど作るのメンドイ。キャノピー閉めるとまず見えないし。
 じゃあ何で買っちゃったのかと言えばその時お店にノーマルなキットは無くてハイテックだけだったのよ。しかもお値段も1200円とお安かったし。まぁそんな状況なら迷わずレジに持ってっちゃうよね、モデラーとしては。


(写真3) 計器盤はエッチングにデカールを貼った上に更にエッチングを貼るという豪華仕様。でも残念~キャノピーは閉じちゃうから見えなくなっちゃうのだ。お陰でこの写真が最初で最後のお披露目って所です。
 わたし的にはコクピットは主脚の次くらいに作りたくない部分なので手を入れてもシートベルトを取り付けるくらい。キャノピー全開でも計器盤にデカール貼ってスロットルや目立つレバーを塗る程度、見えないところにリソース裂くよりも見える所にだけ注力する方が宜しかろうというスタンスです。
 とか言いつつも目立つ部分すら度々オミットしちゃったりするんですけれどもねw

(写真4) 転倒時の保護支柱は柱が足りないので真ちゅう線で作れとインストに書いてある。ので着けました。でもこのキットはハイテックって銘打ってなかったっけ?足りないパーツは作って着けろとはこれ如何に。中途半端にパーツ増やしてくれちゃっても~
 まぁいいけどね、レジンパーツは取り敢えずキットに入るし変形してないし部品と偽った気泡の塊でも無いしね。


(写真5) びみょ~に寸法がデカいコクピット周りのレジンパーツをムリクリ押し込んで胴体を接着。力(フォースのご加護)任せにくっつけたらフィレットが割れちゃった。まぁこんなこともあらあな。歪んだボディを修正しながら翼の位置も調整して接着です。一箇所が歪むとあちこちに波及しちゃうのでフォースに頼り切るのは危険です。

(写真6) 主翼前縁の着陸灯は小さいので指で押し込むのは困難。なのでまずランナーから切り出して瞬間接着剤で一先ずランナーにぺたり。その状態で裏側からライト部分を銀で塗りそれ以外を黒く塗っときます。


(写真7) くっつけた状態のまま主翼に「えいやっ」で押し込んで接着。

(写真8) :ランナーだけへし折って溝や隙間を再び瞬間様で補填。


(写真9) ヤスリでバリバリ削り出します。

(写真10) サンドペーパーの番目を1500番くらいにまで上げてからコンパウンドで磨いたらこんな感じです。


(写真11) 主脚とエンジンを付けたらお待ちかね、楽しい塗装のお時間と成りました♪
先ずはキャノピーをざっくりマスキング。然る後にダークアースで濃い茶色の部分をペタペタ。

(写真12) そこまでは良かったんだけれどもダークアースの上からレッドブラウンで塗ったらどうにもイメージと違う。だもんで茶褐色をベースにフィニッシャーズのジャガーパープルを混ぜた色を作ってみました。いやぁ~重宝するのうフィニッシャーズ。クルマ専用の色ばっかだけど発色が良くて隠蔽強いのがナイスです。塗膜も頑丈だしね。


(写真13) そんなんで出来上った赤カブ的な色を塗っていきましょうかね。コルディッツさんの博物館訪問資料がどーにも印象深かったのでこーなりました。ネットで拾い上げた資料の中ではもっと赤っぽい色合いのヤツがあったけれどそれはちょっとご辞退申し上げ候wオリジナルはどんな色合いだったのかなぁ~

(写真14) プロペラも同時進行でやっつけておく、のは良いんだけれどプロペラのスピナーというか基部がレジンなのは勘弁して欲しいです。ブレードはプラで形も薄さも極めて高品質なのに何故
ここだけ?強度が低くて触るのもおっかなびっくりだよ。事実一回折っちゃったしね。こういった力の掛かりそうな部分は若干モールドが甘くなっても頑丈さを優先させて下さいお願い。


(写真15) スミ入れ済ませてトップコートまで塗った所でようやくキャノピーの塗装に突入。何時ものように先ず筆塗りフリーハンドで黒をばばばっと下塗り。

(写真16) 下塗りが乾くまでの間に垂直尾翼の張り線でもやっておこうかね。此処もやっぱり毎度の如くテグスをマジックで押さえてぎゅーっと引っ張り黒く塗ったヤツを使います。


(写真17) 張り線済ませて小物パーツくっつけて細部をあちこちリタッチしたら出来上がり。割とイメージ通りの色合いになったので個人的には大満足。ちまちまと細かいところを見ればまだまだ精進せにゃならん部分は多いけれど取り敢えず現状はこれで良し。今回最大の目的であった三角オレンジのインシグニアも貼れたのでやり遂げた感は高いよ、うん。いや~完成してみたら良いキットだよねコレ。モールドは繊細だしプロポーションも良いしさぁ。
 ちなみに実機は速度や武装こそショボいものの軽量かつ頑丈で稼働率も高く急降下制限速度は700㎞なんだそうな。ゼロ戦なんて52型ですら667㎞だったのに。まぁ本国での奮戦よりもフィンランドでの大活躍の方が耳目を集めているので、本社ではぱっとしなかったけれど出向先で実力を発揮した派遣社員的なヒコーキと言えば順当なのかも知れません。


(写真18) おまけのプロペラ大回転。息を吹きかければ回る回る。やっぱりペラが回ってくれるとうれしいね、ジェットだとタービンが回っても全然見えないし。





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