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特集 プラッツ

ダッソー・ラファールM (プラッツ/イタレリ 1/72)

  by 寿



 悩ましき、おフランスの多目的戦闘機ラファールであります。ダッソーではマルチロールファイターならぬオムニロールファイター(音楽のオムニバスから:全てをこなす、戦闘機の集大成の意味)と呼んでいるのだとか。さすが芸術の国、大仰じゃのう。



 プラッツのラファールMはイタレリのキットをまんま使っているので量産試作機に着艦フック等の小物パーツを追加した嘘物件、ぢゃなくて「同じラファールなんだからコレでいいじゃない」的なイタリアン風味のキットであります。



 まぁこの辺りはイタレリの得意技だね。試作型をムリクリ量産機と言い張ってデカールだの追加パーツだの盛り込んで販売する。ユーザーの懐の深さを試す実に挑戦的なキット展開と言えましょう。だもんで子細つぶさに見てゆくと「ああココが違うソコもオカシイ」的な箇所がそこら中にあるのですが、シルエットは紛うこと無くラファールなのでニュアンスで楽しむ大人のモデリングと相成る訳であります。



 しかし実機を色々調べてみて驚いたのはユーロファイターとの比較で、どーゆー訳だかラファールの評価がめちゃ高い。日本じゃあ「ユーロファイター優勢おフランスは意固地でマニアック」的な雰囲気だけど、機体性能から電子装備飛行特性、維持費に稼働率と全部ラファールが上。ユーロファイターが勝っているのはエンジンの推力比くらいなものでロッキードの技術者曰く「軽トラにF1のエンジンを乗せて高性能を目指した機体」なのだそうです。 



 えー、わたしゃユーロファイターの方が頭一つ抜けてると思ってたんだけどなぁ。確かに輸出じゃあラファールの後塵を拝しちゃっているけれど此処までとは。仮にも日本ではF4の代替機として候補の一つに上がった機体(いつもの当て馬でしかなかったのだけれども)だけに意外な評価です。むしろエンジン以外ドンガラな機体だったからこそあの時ユーロファイター社もあれだけ熱烈に猛プッシュしてたのかしら、などと穿った見方をしたりして。
 そういやユーロファイターがAESAレーダー装備したのはつい最近だしなぁ。ひょっとして日本の技術が欲しかったの? 



 ちなみにラファールの稼働率は9割を超える反面、ドイツなどではユーロファイターの稼働機が10機を切っていた時期もあったそうな(噂では6機程度だったとか。確か2015年までに180機ほど所得していたはず・・・・)。ドイツも国防費削減されて苦しいもんね。オーストリアなどでは維持費が高すぎて安価な戦闘機に乗り換えようと画策してたり、お金持ちなサウジアラビアですらユーロファイター持て余し気味と聞いたりもします。もしかしてひょっとしたら困ったちゃんな戦闘機なのかもしんない。



 日本でもF2の後継機をイギリスのBAeと共同開発すると決まったようです。BAeはユーロファイター社の一角だよね。そこはかとない不安を感じるのはわたしだけなんでございましょうか?



製作の詳細

(写真1)実機写真がボックスアートという何気に資料性に富んだ製品構成。うん、わたしもキライじゃないよこういう展開。何しろ構図もグンバツだしねぇ。

(写真2) プラッツ製品のキモ、カルトグラフ製のデカールであります。正直このデカールが欲しかったが為にこのキットを買ったと言っても過言ではありません、っていうかまさソレ!品質もさることながらこの機体選択のチョイスが良いもんだから食指が動いちゃうのですよ。いいセンスしてるわ。
 でも中古で半額ほどだったからこそ踏み切ったんですけれどもねw


(写真3) パーツ構成が単純だからこの状態にもっていくまで小一時間もかかりませんな。昨今のキットはこの手軽さを見習っていただきたいものです。

(写真4) HUDがクリアパーツじゃないのでフォログラフシートを貼り付けて誤魔化します。まぁホンモノも真正面から撮した写真はこんな感じだしオッケー牧場。


(写真5) マスキングシート付きの製品設定。うーん、なかなかガンバってくれちゃってますねプラッツさん。

(写真6) でも悲しいかなキャノピーも試作型なのでそれに合わせたマスキングシートなのよ。量産型だとキャノピーの補強フレーム(だと思う。あるいはキャノピー爆砕コードの点火基部かも)の位置が側面に移動してるのよ。まぁこれも非情な現実の一つというコトで。でもシート自体の使い心地は悪くない。


(写真7) フロントギヤの脚庫がまんま別パーツなので尻餅防止のオモリが入れ易い。まるで「ああまたオモリ入れ忘れちゃったよ」的な迂闊モデラーを見越したかのようなパーツ割り。ナイス、イタレリ。だから好きなんだよ。

(写真8) 7436:取り敢えずざっくりと下塗り。キャノピーは折角マスキングシートが付属してるんでエアブラシオンリーで塗り進めて行きませう。筆塗りの塗膜はシツコイ上に厚いのでマスキングシートの効果が半減しちゃうのよ。


(写真9) いつもの上塗り前スミ入れじゃね。どんなキットでも寿印のキットには筆塗り小汚ねぇ街道を避けて通ることは許されないのであります。うむ、これもひとつの試練なのだ。

(写真10) 上面色を塗ったらエナメルで二度目のスミ入れ。こらソコ、二度手間なんて言うんじゃない。これは料理で言ったら煮込んでいる最中の灰汁取り、クルマのワックスがけで言うのならフィニッシュでの磨き込みと同じく必要絶対条件なのであります。


(写真11) 一晩乾かしたら後は筆にエナメルシンナーを着けてチマチマ落としてゆきます。スミ落とし専用の筆は必須じゃね。

(写真12) スミ入れ落としてデカール貼ったら乾くのを待つ間に小物でも塗っていこうかね。いつものよーにランナーに付けたままチマチマと。そろそろミサイルも塗っておかねばならんのう。


(写真13) 小物を塗って細部のリタッチと修正を終えたら完成。パーツが少なくて出来の良いキットはあっという間に出来上がります。もう快感だよね、コレ。何で他のメーカーは追随しないのかなぁ。完成品を手にする愉悦こそがモデラーの原動力であるというのに。
 それはそうと今回はとんでもない失敗をしでかしました。完成してから気付くというこの体たらく。見る人が見れば一発で判るから敢えて言わない。間違い探しみたいなもんじゃ。
 故に、ワタクシ寿は此処にプラッツイタレリ製品でリベンジを果たすことを誓うものであります。
 ど畜生ーっ!





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