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 「私の45年目の仇討ち」 
ハンドレページ ハリファックスBⅢ(エアフィックス 1/72)

  by 翔バナイカイ 栗人@ケータイ



 1962年に初版リリースされた古いキットの制作記録であります。

 当初、私は中学生時代に(約50年近く前)このキットに初挑戦しましたが、当時の私の制作技術の未熟さ故に完成に至らずあえなく廃棄で終わりました。それ以降、このキットに対して「なんか悔しい」という感情を持ち続けていました。そして近年、所属クラブの友人からたまたま中古の同キットを譲り受け、再チャレンジしたというわけであります。 



 何せ60年前のキットなので、内容は推して知るべし。表面モールドは凸ラインで凸リベット。開発当時の流行で各舵面や主脚は可動式という構成でありましたが、あちこちパーツの隙間、撓みがあり、クリアパーツは分厚くキズも残り、湯が回りきらずプラが欠けている整形箇所もちらほら。しかし図面と照合してみると、全体的にはかなり良く整合しており、こういった所は「さすがはエアフィックス」であります。これに敬意を表し「まず当時のエアフィックスの開発スタッフが望んだはずの形にすること」を目標に制作を進めました。



以下、制作記事であります。

●胴体、主翼の大物パーツの撓みに対して、所々に切れ込みを入れ、ねじる等で矯正して再固定。
表面の凸リベットは全て削りパネルラインもスジボリ化。各舵面や脚関連は全て固定としました。
主翼は上下接着後に変形を防止するために要所にプラ棒を差し込み補強しています。
胴体各部の小窓は始めに接着した後、表裏両面から削り込み平滑にしてから研磨。

↓主翼パーツの整形事例。前縁の撓み部分に切れ込みを入れて矯正。後縁はプラの欠けがひどく、エルロンの嵌め合わせも隙間だらけだったので、瞬着+プラ粉で埋め戻した後にサンディングして整形。主翼下面にぽつぽつと見える白い点は、変形防止用に埋め込んだプラ棒です。



●機体内部は操縦席、機関士席、通信士席、航法士席、爆撃手席、背面銃座、尾部銃座について装備品を含めて「それらしく」再現してみました。イギリスのヨーヴィルトンの博物館にある復元機の内部を博物館スタッフが説明して廻るビデオがYouTubeで公開されており、「どのような装備品がどこにあるか」の位置関係とサイズのイメージを掴むのに非常に参考になりました。  

↓デッチアップした機首キャビン内部。胴体接着前に記念撮影。
レーダ操作員席は、カーテンを引いてあることにしてごまかしています。



 尾部銃座のクリアパーツは3分割構成になっていますがそのままでは全く合わず、ここは海外のキットレビューでもダメだしされていた箇所でありました。しかし今回、中央のクリアパーツの上下を適切にトリミングすれば3分割されたクリアパーツはきちんと整合することを発見。開発当時のエアフィックスのスタッフはこれを意図していたのかと感心しました(だったらインストシートに書いておけよ・・・)。トリミングして研磨したパーツを合わせれば形の良いボールトンポールType A銃塔になりました。

↓尾部銃塔のアップ。
オリジナルのパーツでボールトンポールType A銃塔の形がうまく出ています。


●エンジン周りではエンジン/カウリング/カウルフラップ/キャブレターインテイク/プロペラをハセガワのボーファイター用エンジンパーツ一式(L部品ランナー)で置き換えてみました。特徴的なイボ付き消炎排気管は友人のペガサス氏に3Dプリンタで出力して戴いたパーツに置き換えてあります。小さなパーツですが作品の品質における大きな飛躍であります。この場を借りてペガサス氏に感謝!エンジン周りは今回オリジナルから大きくグレードアップした所だと考えています。

↓消炎排気管の新旧パーツ比較。やはり3Dプリンタパーツは段違いの迫力です。


 ↓エンジン周りのグレードアップ結果です。



●キットのコクピットキャノピーのパーツは分厚くキズだらけでかつ右側の縁まで湯が廻っていない状態だったのでクリアバックスのものに交換。しかし微妙に幅が合わないところが残ってしまい、ここは心残りな一点です。
  機首ドームもクリアバックスのものに交換。爆撃照準器も自作して搭載しています。 

コクピットキャノピーのアップ。クリアバックスの効果が大。


●塗装は当時のイギリス空軍の標準パターン。ダークグリーンとダークアースはMr.カラーですがスケール効果として白を20%から30%ほど入れています。下面の黒にもスケール効果を考えてMr.カラーのジャーマングレーを使っています。
  各色とも細筆で短いストロークで塗り重ねて行く手法で筆塗りし、さらに白を加えた色を使ってボカシ筆でクラウディングを加え、その上からクリアーがけして研ぎ出しをしています。
  カナダ空軍424スコードロンの「バンビのB」機として仕上げました。ノーズアートのバンビは本機の機長が子供さんの絵本にあった図柄を拝借して描いたもので、「子煩悩なお父さん」像が感じられます。「バンビのB」は義務出撃回数(30回)を完遂して搭乗員は全員カナダに無事帰還。制作中にもこういったエピソードを知ると何となくほっとします。

↓機首のバンビのノーズアート。機首ドームもクリアバックスに交換しています。



●ようやく完成。初挑戦から45年経って仇討ちできました。
  エアフィックスからは本キットが数年前にも再発売されてはいますが、次にハリファックスを作る時にはエアフィックスの新モールドキットで楽しめればと願っています



・胴体中央、背面銃塔付近のアップ。銃身は真鍮パイプで置き換え。ちなみに本機はH2Sレーダ装備機です。



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