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特集　72

　AVRO 504K　(Airfix 1/72 )
by 大山　盛幹



　Avro 504 は、第一次世界大戦においてイギリス海軍航空隊、空軍で使用されたAVRO社製の単発複座複葉機です。
AVRO 504は1913年7月に初飛行し、同年11月には制式採用となり、イギリス陸軍航空隊、海軍航空隊に採用され、第一次世界大戦勃発に伴って、戦闘、偵察、爆撃等各方面で活躍しました。第一線軍用機としてはすぐに旧式化しましたが、1918年末までに各型合計で8000機もの大量生産がなされ、それまでの型からエンジンを換装したK型が最多量産機となりました。
生産機の大半は使いやすい練習機として長く使用されました。第一次世界大戦後は多数が民間に払い下げられたことと、各国で採用されていたため、1930年代まで見ることができました。
採用国は、本家イギリスをはじめとして、ベルギー、ブラジル、チリ、デンマーク、ギリシャ、タイ、南アフリカには輸出され、日本、ベルギー、デンマーク、カナダではライセンス生産が行われました。
日本では海軍が1920年（大正9年）にAVRO社と本機の完成機の購入と製造権獲得の契約を締結し、同時に技師をAVRO社に派遣して製造技術を学ばせました。1922年（大正12年）には広工廠で国産化を開始し、陸上機型は主に中島で、水上機型は主に愛知でライセンス生産されました。昭和初期まで海軍の主力練習機として利用され、退役後は多数の機体が払い下げられて、民間の航空学校や新聞社で使用されました。



　 Airfix 1/72 AVRO 504Kは1967年に初版が発売され、その後、パッケージやデカールを変え、何度か再版されており製作された方も多いと思います。日本では、トミーがブリスターパックで販売していました。今回製作したキットは1980年代(?)に、ニュージーランドで再版されたもので、本国のキットよりデカールは上質なものが付属されておりました。



　 キットはAirfixの複葉機の中でも秀作で、プラモガイド1971年版では「本機のトンボのような感じがよく出ており、複葉機としては組立もやさしい(30頁)」と紹介され、星4つの評価です。
パーツ数は35パーツと少なく、リギングもせずに素組であれば2時間位で完成させることができます。しかし、やはり複葉機ですのでリギングが必須になりますので、それなりの時間を要することになります。



　 コクピットは計器盤、シート、パイロット各2個、計6個のパーツからなっており、非常にあっさりとしたものですが、開口部もそう大きくないため特に手を加えてはいません。プロペラは厚くぼってりとした感じですので、薄く削っておきます。リギングは、テグス(0.6号と0.4号の2種)を使用しました。問題のリギングの張り方ですが、翼間支柱に0.3㎜の穴をあけ、胴体側から翼端に向かって通していきます。一カ所の穴を通す毎に眼玉クリップでテンションをかけてピンと張らした後に、伸ばしランナーで作った楔を差し込み瞬間接着剤で固定していきます。この張り方では、リギングがダブルとはなりませんが、1/72だと割り切りました。その代わりと言ってはなんですが、写真、図面から判る範囲のリギング、操作索は再現したつもりです。
ピトー管、前コクピット右前の胴体支柱の風車、コクピット前の遮風ガラス、下翼端の橇はパーツ化されておりませんので、真鍮線やプラ板で自作しております。



　 複葉機で塗装上のネックは木目表現です。以前のHasegawa/Gartex 1/72 九四水偵の製作記事にも書きましたように、木目塗装のプロペラ、翼間支柱、橇は、まず、オレンジで塗装した後、レッドブラウンでかすれるように木目を描いていきます。そして、エナメルのフラットブラックでウォッシングします。ハブに近い部分はフラットブラックが残るようにして拭き取ります。そうすると箪笥の表面のような落ち着いた仕上がりとなります。実機のプロペラは積層の削り出しですので、表面は縞模様で作例の様にはなってはいませんが、自分としてはこの塗装方法は気にいっています。この方法は、紫電改のヘッドレストの塗装に利用できます。



　 蚊トンボのような機体ですので、塗装はできる限り軽い感じがでるように薄く仕上げました。
機体上面はPC10、下面はバフの指定で、PC10はMr.カラー54番カーキグリーンを、バフはMr.カラー53番ライトカーキを使用しました。デカールはキット付属のものを使用し、HendonのRAF Museumに展示されている機体を再現しました。



　資料としては、纏まったものとしてはAlbatros Prodctions社のWindsock Datafile28の「AVRO504K (1991年)」くらいしかありません。36頁の薄い冊子ではありますが、内容は濃く、多数の写真と共に1/48、1/72の5面図、細部イラストやリギンクが図示されており非常に参考になりました。

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Vol.172 2022 December.　　　www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved　/　　
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