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特集 アメリカ

カーチスP-40N S.A.ダイニホンカイガ中尉機「PRINCESS BLADE」ニューギニア 1944年 (ハセガワ1/72)

  by 寿



 アメリカのヒコーキといえば真っ先に頭に浮かぶのがP40です。
 F15でもなければF22でもないし、ましてやファントム、セイバー、F14なんてとんでもない。B52やB29なんてもっての他。「にっくきグラマン」やマスタング、P47でもありません。真っ直ぐ直感的、ど直球にP40。アメ公の機体といったらやっぱりコレでしょう! 
 まぁファントムやマスタングも悪くはないですけれどもね。F18やFM2辺りは割と好物だったりもしますけど。最近はアノ映画のパート2が公開されて、アノ機体に火が着いた御仁もチラホラいらっしゃるようではありますが。



 それはさておき、今回はP40です。やっぱり大量生産前提で設計されて「そこそこの性能かつ頑丈、しかも信頼性高い」というのがポイントです。戦争では最高性能よりも、大事なのは使っている現場に信頼されるってコトだと思うんですよね。しかも「間に合った」って部分はとーっても大事。性能に拘るあまり出現時期を逸してしまったら何の意味もありません。どんなに美味しくっても夕飯のデリバリー頼んだのに到着したのは次の日の朝だった、では話になりませんからね。
 一般社会においても戦争においても、納期ってのは期日必着厳守なのであります。



 しかしP40を見てつくづく思うのは、「まぁこんなもんでイイよね」的なニュアンスで作られているにも拘わらず、しっかり仕様要求に応え、バカスカ大量生産されているところ。すげーよなぁアメリカ。戦争時なんて生産現場はどんがらがっちゃんに立て込んでいるのに、キッチリ品質管理とマスプロダクションを貫いて「使える工業製品」を大量に揃えちゃうんだから。



 同じく、全くの別方向に「こんなもんでイイよね」的なオーラを醸し出すエゲレスの妖しげな製品とは、まさに一線を画した存在であります。まぁ英国はその素っ頓狂なところが魅力だったりもするんですけれど。



 いわゆる「闘いは数だぜ、アニキ」って所ですな。アメリカの戦争遂行者はよく判っちょる。大戦の中盤以降からは得意の大量生産と開発力に飽かせて「量も質も」って感じで、向うところ敵無しだったからなぁ。恐ろしい話であります。戦争は金持ちが勝つというシンプルな事実を実践しちゃった訳だしね。 

 そしてP40はまさにそのアメ公のやり方を具現化した工業製品であると、そう愚考する次第なのであります。

製作の詳細

(写真1)ブーンとかっちょよく飛んでいるのは、ニューギニア方面第49戦闘航空群 第7戦闘飛行隊 J.B.パリス中尉機。いいねぇ、コレ作っちゃお。ちょうどボックスアートにもなっているし。しかし何故それが叶わなかったのかというのは、まぁ後ほど。

(写真2) まぁボックスアートっつったって、こうしてムーブの箱の中に切り抜いた箱絵ごと十把一絡げで入っていただけなんですけれどね。嗚呼、哀愁のP40軍団であります。アマガエル色のモールドカラーが目に痛々しい、ぢゃなくって目に眩しい作りかけのヨンパチがムーブ製。ナナニイの三機がハセガワ製です。
 やった、2イン1ならぬ4イン1だね。豪勢だ。
 なんでこんだけの数をここまで作っておきながら箱に封印してんじゃ、なんてコトは訊いちゃダメ。大人の事情ってヤツです。


(写真3) パーツを発掘してコクピットを塗り直して塗装図を確認したら準備完了。さーて、ぶわーっと作って参りましょうかね。とりあえず士の字の形にはなっているから、後は楽勝っすよ!

(写真4) 気になる箇所の修正を終えたらいつものよーにラッカーの赤褐色でスミ入れ開始。うん、この状態だといつも思うけれど子供の落書きみたいだ。


(写真5) 並行作業でスピナーも塗っとく。マスキングテープをガイドにしてぺたぺた筆塗りです。極端な局面部分はコッチの方が早いし手間もかかんない。空いた時間にも出来るしね。

(写真6) べたべたーっとダークアースっぽい色を塗って、べたべたーっとカーキグリーンっぽい色を塗る。ウッドブラウンやミドルストーンで中間色にしとくのがミソ。瓶ナマだと色合いがキョーレツなので。



(写真7) ムラのひどい部分だけちょびっと色味を変えた色で塗った後、さらに明度を上げた中間色でぷーっとぼかしを入れちゃう。うーんまぁ、こんな感じかなぁ。後はシッポを白系統の色で塗った後に、エナメルでのスミ入れしてデカール貼ったらほぼ完成じゃね。


(写真8) なーんて思っていた時期がありました。甘かったね、デカールが死んでいたからね。いやー、流石にコレはきっついわ。これを修復しようとは思わない。
 印刷された年号に1995年とある。ちょっと前の五式戦の時よりもさらに四年前だ。ざっくり二八年前ですか。あとちょっとで三十路だよ。
 ハセガワ様はちょっと黄ばむ程度じゃ可愛いもんよ、などと高をくくっておりました。信じていたのに・・・・
 やっぱり二十歳を超えたデカールは信用しちゃアカンってコトなんでしょうかね。



(写真9) ナナニイなんでインシグニアくらいは塗ってみてもいいけれど、今回はデカールの復活を試してみました。マイクロスケールの「リキッドデカールフィルム」であります。事前に液体の保護膜をデカールに塗って、乾燥補強した後に通常通り使用するという意図の製品です。
 でもそのままじゃ粘度が高すぎてひじょーに使いづらい。ので、勝手にラッカー系うすめ液で三倍程度に薄めて使ってみることにしました。

(写真10) 三倍希釈すれば、ふつーにエアブラシで吹けちゃう。調子に乗ってぶーぶー吹きかけます。三倍薄いから三回重ね塗りしたら大丈夫かな?



(写真11) なんか弱々で心許ない感じだけれども何とか貼れます。白地が透けて塗装面が見えるけれど、別にコレはリキッドデカールフィルムのせいじゃない。
 台紙からスライドさせると丸まっちゃったり、すぐに「ぴりっ」と破けたりするので無茶は厳禁。でもまぁバラバラになるよりはかなりマシ。大判デカールには難易度高いけれど、小さい面積のブツなら何とかなるんじゃないかしらん?
 或いはもう二回ほど重ね吹きすればもうちょっとマシになるのかもしんない。その辺りは今後の研究次第でありますなぁ。

(写真12) そんなこんなで完成であります。♡マークはちょっとしたおちゃめ。でもこんな赤くてデカいパーソナルマークなんて絶対しないよな、って貼ってから気が付いた。だってコレ、絶対日の丸と誤認されちゃうじゃん。極東方面に配備されたイギリスの蛇の目でさえ、誤認回避のために赤丸やめてたのに。
 戦闘空域でこんなん着けてたら、間違いなくあわてんぼさんに「ジャッ○だ!」とか間違われて撃たれること請け合いです。


(写真13)目的のデカールが残念なことになってしまったので、いつものよーにストックからおねえちゃんをエスコートしてきました。大日本絵画モデルカステンのスケールアヴィエーション・ノーズアート・クイーンVol.1から「PRINCESS BLADE」です。


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