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60年代の怪獣のプラモデル
ゴジラ(モノグラム ex.オーロラ)
ガメラ(バンダイ 1/350)
ゼットン(バンダイ 1/350)
by 平針みなみ HIRABARI Minami
1960年代は、50年代半ばから続く東宝の怪獣映画が毎年公開され、他社も怪獣映画の製作に参入。テレビにも怪獣が進出、「怪獣マリンコング」は1960年4月3日~9月25日放送。60年代後半には「ウルトラQ」、「ウルトラマン」をはじめ、各局から怪獣が出てくる番組が放送されていました。また、少年漫画誌では、映画やテレビの怪獣を特集し、グラビアや図解で紹介したり、漫画化したりしていました。これらの怪獣たちは、模型メーカーでキット化。さらにはメーカーオリジナルの怪獣も出現していました。
30年ほど前、息子が怪獣に興味を持ち、ウルトラシリーズのビデオを見たり、怪獣のソフビ人形を集めたりするようになったので、こちらも怪獣のプラモデルを作りました。パーティングラインの処理もいいかげんで、塗装もせず、ただ組み立てただけでしたが、そのときの怪獣キットがまとめてとってあったので、あまり破損あるいはパーツが紛失していないものについて3体再生してみました。
1 ゴジラ(モノグラム ex.オーロラ)
ゴジラは、1954年11月に公開され2024年はゴジラ70周年とのことですが、オーロラのゴジラは第3作「キングコング対ゴジラ」(1962年8月公開)のゴジラ、いわゆる「キンゴジ」をイメージして作られているとのことなので「60年代」に含めました。
Scalemates のサイトによるとこのゴジラのキットは、オーロラから1963年に発売され、1969年には新たに蓄光パーツ(頭部(首から上)、手(手首から先)、足(足首から下)、背びれ、尾の上半分、ネームプレート)も加えた「Glows in the Dark」版となりました。オーロラの倒産によりモノグラムが引き取った金型の中にモンスターのシリーズも含まれていて、このゴジラは1978年にモノグラムから発売されています。私が入手したのはこちらです。
なお、このキットにはスケール表示がありませんが、計算するとおおよそ1/230くらいになります。
(身長50m、体重2万t)
このゴジラを作ってみて、横顔やどっしりした体形は、キンゴジらしさが出ていると思います。(それに引き換え、このキットの翌年に出たマルサンの電動歩行ゴジラは、あくまで歩行を優先したキットで、組み上げた形状はブリキのおもちゃ然としたものに見えます。パッケージはキンゴジの宣伝スチールを使ったもののようで、かつて模型店の棚の上の方に鎮座していたことを覚えています。
キットの頭頂部は平らでボツボツした感じがなかったので、少しパテを盛っています。
顔面も、ゴツゴツ・ブツブツにすべきでした。
口の中はそれらしく加工しましたが見えませんね。
キンゴジは、口の後ろや後頭部などはもっと横に張り出しているのですが、手は加えていません。そのため、正面から顔を見ると目が前を見ていません。獲物を捕らえるために必要な立体視が発達した肉食動物の目つきではなく、顔の横に目が付いている草食動物みたいです。
首から胸にかけて、もっとボリュームがほしかったです。そのせいなのか腹が出すぎです。
各部の接合箇所は、どうしても皮膚のモールドを削ることになってしまうので、その再生に注意しましたがあまりうまくいきませんでした。
塗装は、ガメラを塗装した残りのRLM70ブラックグリーンにグレーやブルー等を少量混ぜたものを吹き付けてみました。
また、背びれを塗装して発光状態にもしてみました。ホワイトにライトブルーを少し混ぜ、もう少し青味があった方がよさそうだったので、少量のスカイブルーも加えたもので塗っています。
このキットの再生にあたって、蓄光パーツの背びれと尾の上半部だけが残っていたので、背びれは蓄光パーツをいかしてみようと思っていたのですが、胴体への取り付け部にちょっとニッパーで切れ込みを入れようとしたら、パリーンと割れてしまいましたので通常のプラパーツを使いました。
2 ガメラ(バンダイ 1/350)
大映も60年代に特撮映画をいくつも作り、1965年に第1作「大怪獣ガメラ」を公開し(来年2025年はガメラ60周年!)、以降大映が倒産する1971年まで毎年1作ガメラシリーズを公開していました。また1966年には大魔神シリーズ3作(「大魔神」(1966年4月17日公開)、「大魔神怒る」(1966年8月13日)、「大魔神逆襲」(1966年12月10日))を一挙公開。その後、水木しげるや楳図かずおの作品が人気となり、テレビでも妖怪ものが取り上げられるようになると、大映でも妖怪シリーズ3作品(「妖怪百物語」(1968年)、「妖怪大戦争(1968年)」、「東海道お化け道中」(1969年))を製作。
ガメラは設定によると、身長60m、体重80tとなっていますが、東宝怪獣やウルトラ怪獣と比べて体重がかなり少なくなっています。
ガメラのプラモデルは、日東科学から1966年にゼンマイによって歩行するものが発売されました。ガメラのほかバルゴン、ギャオス、ジャイガー、ジグラなどが出ていました。その後、80年代にバンダイから「The 特撮 Collection」のひとつとして1/350のキットが出ました。それ以前の国産怪獣プラモデルは、動かして遊ぶ、あるいはデフォルメされた姿のソフビ人形をプラモデルとして再現したようなものでしたが、このシリーズは、怪獣の姿をリアルにプラモデルとして再現し、作って飾って鑑賞できるものになっています。(中にはちょっと残念なものもありましたが。)
このキットは、胴体への腕・脚・尾の取り付けが、胴体側の該当箇所に穴が開いていて、そこに適当に接着するようになっていて、きっちりと接着位置が決められているわけではありません。取り付けの角度によってはどうしても隙間が生じてしまいます。脚の接着位置の関係で、前傾姿勢が強くなってしまったようで、立たせたときの安定性が悪くなってしまいました。そこで一旦接着した尾を外して、尾を取り付ける部分の穴から胴体内に錘を入れています。尾については、尾の根元の太さに対し、胴体側の穴がかなり大きかったので、隙間を埋めるのにかなりパテのごやっかいになっています。
手足の爪4本が折れてなくなっていましたが、怪獣キットのジャンクボックスを探したら3本見つかりましたので、自作したのは1本です。爪の根元をカットしながら取り付け角度を調整していたら、切りすぎてしまい少し短くなってしまいました。
このシリーズのキットには、怪獣と関連のあるものがおまけとして付いていたりしますが、このキットにはF-104Jが入っていましたが、今回は作っていません。
塗装はRLM70ブラックグリーンを吹き付けてみましたが、60年近く前に映画で見た記憶から、もっと緑味がほしいと感じたので、Mr.ウェザリングカラーのフェイスグリーンをざっと上塗りしました。第1作「大怪獣ガメラ」はモノクロ映像でしたが、次の「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」からカラー化されています。
3 ゼットン(バンダイ 1/350)
ウルトラ怪獣からはバンダイ1/350「The 特撮 Collection」のゼットンを選択。残念ながらゴモラは頭部が行方不明になっていました。ぺギラやバルタン星人2代目はほぼ無傷で残っていたのですが、再生はまたの機会に。
宇宙恐竜ゼットンは『ウルトラマン』の最終回、第39話「さらばウルトラマン」(1967年4月9日放送)に登場し、ウルトラマンを倒した怪獣で、身長60m、体重3万トンという設定。
このキットもよくゼットンのイメージを再現していると思います。
顔の中央と胸の部分は、透明な黄色のプラパーツが用意されていました。もっと明るく見えるようにできればよかったのですが。
腕のポーズは、写真のような1種類だけなので、いくつか選択できるとよかったと思います。
また、模型として飾ってみると、脚がもう少し長くてもよかったかなと感じます。
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