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連載 ソ連戦車 第5回
T-34/76 43年型   (タミヤ 1/35)

                                                     by タンクダンク

  この連載は ソビエトの戦車を 毎月1機種ずつ、楽に作れるキットを選び、できるだけストレートに製作して12台コレクションしてみましょう!というコーナーです。  第5回は 先月の T34/76 42年型に続いて、43年型。 タミヤの傑作キットで、時々 再生産されているようです。
■ 実車について
 ソビエトの中戦車として独ソ戦に登場したT-34/76 42年型は、性能は良かったが、小さな砲塔が不評であった。それを大型の六角形の砲塔に改良したのが43年型である。
 43年型の砲塔は 大型プレスで抜かれた鋼板の電気溶接方式で、生産されている。砲塔内が広くなったため、41.2口径76.2mm砲の操作が楽になり、最大伏角が5度まで改善された。
 ゴム資材不足のため、鋳鋼製ホイルが登場し、騒音と乗り心地は悪くなったが、無い袖は振れずで、いたしかたなかったのだろう。また、砲塔側面のピストルポートと大型の観測窓が廃止されている。
43年型の戦績は何と言っても「クルスク戦」で ドイツ軍の パンサー、タイガーと激烈な戦車戦闘を展開している。

T-34 43年型 大きな砲塔とコマンダーキューポラタイプの車長用ハッチが特徴
ゴム無しの、鋳鋼製ホイルが ごつごつした兵器のメカ感を増殖している。


比較 42年型 小さな砲塔、前面追加装甲、ゴム有りホイル。


■ タミヤの キットは
 T-34シリーズのT34/76 のバリエーションとしてMM59として発売され、時々は 再生産されるようである。筆者は 前世紀末に購入し 押入れでデッドストックになっていたものを10年ぶりに引っ張り出して組み立てたが、結構、皆さん ストックに お持ちではないだろうか。 お持ちでない方は ぜひ 次の再生産時にでも 入手をお勧めする。一個もっていても 損は無いキットである。 説明書には Printed in Philippinesとあるので、フィリピン逆輸入製か?   43年型は 先月号で取り上げた42年型同様、大型鋼板溶接砲塔の鉄肌のモールドも実感充分に表現されている。ロードホイールはゴム無し鋳鋼製ホイルも付属していて、ゴムありと選択できるようになっている。42年型ではゴムありホイルとしたので、今回の43年型はゴム無し鋳鋼製ホイルとしてみた。
 



■ 製作
 車体下部は先月号の42年型と全く同一であり、今回の43年型はロードホイールだけゴムなしパーツ(NoC1C,2C,5) を選択している。 ランナー跡はペーパーがけで丁寧に消しておこう。

 車体上部は、手すりは長いもの(No.E13)が付属している。今回は強度も考えて、短いタイプ(左3本、右2本)をシンチュウ線で自作した。後部の排気管は曲がっているため、シンチュウパイプで自作するのも難しいので、ナイフで少し深くえぐっておくだけでもいいだろう。
 
 特徴である六角砲塔はキューポラがつく後期型としたので、砲塔上板はD9部品を選択した。主砲は上下に可動するが、自然に垂れないように”きつめ”にしておくとよい。砲塔の手すりはキット付属の直線棒タイプを丁寧に整形して取り付けた。
後部燃料タンクは 砲塔にキューポラが装備された後期型は標準装備と考え装備している。前期型は ほとんど装備していないので、毛布か工具箱でも代わりにとりつけておこう。

 砲塔の吊り下げフック4本は取り付け時に折らないように。

車体左側面のディテールとゴムなし鋳鋼製ホイール 


前面 


右側面



塗装   ウエザリング
 まず、タミヤパテをグンゼシンナーで薄めて、溶きパテを作り、筆で全面にもれなく塗った。そうしておくと、鉄肌のざらっとした感触を表現しやすいように思う。

42年型同様のグリーン塗装としたので、
下塗りには グンゼのNo42マホガニーにツヤケシ黒を加え、タバコライオンをツヤケシ剤代わりにして、少し薄めに溶き、筆でスミや影になる部分、キャタピラやホイール裏も含め塗っておいた。
 
上塗りには グンゼ特色のロシアングリーン2を使い、エアブラシでスミの下塗りのこげ茶が残るように吹いた。
 ローアンバー(油彩)で全体をウォッシング。
 ところどころ、エナメルのハルレッドで錆び汚れを書き込んで強調している。
 ドライブラシは先月号の42年型と同じ方法で エナメルのグリーンとサンド系を混ぜて軽くドライブラシしている。ツヤケシ白を使う方も居られるようで、筆者も試したことがあるが、どうもエッジが白くなりすぎて、結果 もっと自然に見えるサンド系を使うようになった。
砲塔のデカールのスローガンは 「スターリン主義者」という意味である。最後に、デカールのツヤを消すために、つやけしクリアーを吹きつけておいた。
キャタピラは見える部分に黒銀でドライブラシをしている。



完成    
 今回の43年型は 42年型と並べるために、ほぼ同様のタッチの塗装とした。完全なストレート作りなのであっというまに完成したが、キットの出来が良いため、写真のような仕上がりになら、どなたにでも 到達できると思う。

来月は いよいよ T-34 バリエーション展開の最後である T-34/85にチャレンジする。
ストックの奥深くに大事にしまっている方は、引き出して、できれば日光消毒しておいて下さい。プラモデルの表面にも カビが生えていますので。 それでは また来月。


Vol.6 2009 July.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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