Home > ニューキット・レビュー  E-2C ホークアイ (ハセガワ 1/72)

 

E-2C ホークアイ (ハセガワ 1/72)

田口博通 Hiromichi Taguchi

ニューキットレビューのコーナーは WEBマガジンの即時性を生かし、市販品の購入後、
どの雑誌よりも もっとも早い新製品レビュー報告の実現を目指しています。


E-2C ホークアイ 航空自衛隊 第601飛行隊 三沢基地所属 (ハセガワ 1/72)

ハセガワ 1/72 E-2C 航空自衛隊 箱絵 (小池画伯)



実機について

 E-2Cホークアイ 空中早期警戒機(AEW)は、 1960年10月21日に初飛行した。
 特徴的な回転式大型レーダーを装備し、高空から広範囲の敵影を探知し、友軍戦闘機の誘導管制を行うのが任務である。
 最初のAEWは S-2トラッカーを改造したE-1トレーサーであり、 E-2Cは機体、システムとも第2世代に当たる。共にグラマン社の設計で、E-2Cはターボプロップ化し、4枚尾翼となった。機首キャノピーなど どことなくトラッカーの面影を感じさせる。
 ホークアイは電子技術と信号処理技術の発展とICによる装置の小型化、デジタル化と共に、 E-2はA型からB型へ 更にはC型へと飛躍的に向上を図っている。
最新のC型は目標探知能力を大幅に向上した AN/APQ-145レーダーを装備している。

自衛隊は E-2Cを13機導入し、三沢基地に全て配属している。

厚木で公開された USN E-2C NF602 



キットの印象

 ハセガワの1/72 E-2Cホークアイ は航空自衛隊 4枚プロペラバージョンが 2008年12月に発売された最新のもの。フジミからE-2Aが発売されたのが1970年であるから、最新キットは実に38年ぶりになる。

マーキングは 作例の 601航空隊 BAT と AEW20周年記念機 の2種類が付属している。

 双発だが 以外と大きく、翼幅30cmの大型機で、部品点数はポリキャップを入れて172点。うち小物アンテナなどのパーツが20点ほどあるので、最近の大型のキットとしてはそう多くはないほうだろう。
現代のキットゆえ、パーツの合いはよく、 組みあげるのにストレスがなかった。12月末の忘年会の際に立ち寄った川崎のヨドバシで購入し、正月にほぼ組み立てが終わり、塗装も含んで1月末には完成に持ち込むことができた。
 
 胴体上部に直径約10cmの大きな円盤状のレドームを持ち、上半角つきの水平尾翼に4枚の垂直尾翼というホークアイの特異な形状から、完成するとそれだけで、インパクトがある。

虚空を飛ぶ E-2C ホークアイ  (1/72 モデル)

(CGでプロペラをつける前の写真。 飛ぶ姿を想像下さい)

気になるスタイルは?

 本機の最大の特徴である 大きな円盤状ロートドームはふっくらとした厚みがそれらしい雰囲気だ。 実機直径4.11mの大きな4枚プロペラも本機の特徴だが、ブレード形状、ピッチともよく表現されている。レドームとプロペラはポリプロキャップを使った回転式となっていて、とりはずしもでき、塗装にもすこぶる都合がよい。これから発売するキットのプロペラなどに ぜひポリプロキャップを導入してもらいたいものである。

 全体の完成スタイルは写真の通り、バランスもとれ、実機を彷彿させる。このような大型機はデッサンのバランスが難しいものなのだが、 特にキャノピーから機首にかけての形状はうまく表現できていると思う。 先発のフジミ製では機首の形状が今一つだったことからわかるように、E-2Cでは鬼門といえるデッサンのとりにくい部分が機首なのだ。 
 ただし、キャノピーの両サイドのバブルキャノピーが、型抜きの関係で、別パーツになっており、接着に細心の注意が必要となっている。
 エンジンのスラストラインが実機は3度程度UPスラストとなっているように見えるが、ハセガワのキットもよく それを再現しているように思える。
 フラップは上げ下げが選択できるようになっている。作例は下げ状態としたが、可動部の赤い塗装部分が顔を出し、地味な塗装の中でアクセントとなっている。

 かなり重心が後ろなので、機首のおもりは多目に入れた方が無難だ。コクピット後壁の後部にも相当おもりをつめこんで、やっとお尻をつかない程度になる。


各方向からの完成写真










真上から。

製作

コクピット

キャノピー

 計器パネルとサイドパネルはデカールで表現するようになっている。後部隔壁もそれらしく表現されている。シートはヘッドレストが別パーツとなっていて実感も高いがそのままでは寂しいので、シートベルトを鉛板で追加しておいた。 全体をグンゼカラー特色317グレーで塗装後、シートの背をカーキ55で、ヘッドレストはフラット赤で丁寧に塗り分けておいた。
 頭上部計器パネルもパーツ化されているので、風防を取り付ける時に忘れないように注意。ただし、残念ながら風防をつけると計器パネルはほとんど見えない。
 両サイドのバブルキャノピーM1,M2が別パーツなので、接着時に にごらせてしまうと台無しになるので接着には細心の注意が必要だ。十分すりあわせて 仮づけした後、タミヤの流し込み接着剤を少し流して固定した。

 透明部のマスキングは 下の実機写真を参考にされたい。実はキャノピーと胴体側面をすり合わせたつもりだったが、サフェーサーを吹いた後に隙間と段差が残ってしまった。Mrサフェーサー500で機首の段差と共に再修正したが、この機首の部分は完成後 非常に目立つ部分なので 手を抜かないようにしよう。
コクピットとシート


 計器版






サフェーサー後に目立つ隙間は
丁寧にMrサフェーサー500で再修正しておく。


主翼の組み立て

 上面が一体なので、上半角はキチッと決まる。エンジンを主翼に取り付ける時は左右エンジンのスラストラインがUPスラスト気味に一致するように主翼への取り付け部をすりあわすと男前があがる。翼端は少しそりあがっているが、それがうまく再現されている。
 

 翼端付近の形状は写真のようになっている。翼端灯のクリアパーツが選択式でついているので、ぜひ加工してつけておくとよい。エルロンには4本の放電索がついているので、太めのナイロン釣り糸などで作っておくといいだろう。エルロンを下げる場合はリンクロッドも自作する必要があるが、写真を参考に。


主翼、尾翼の取り付け

 塗装

主翼、尾翼を胴体に取り付けるともう形が見えてくる。
水平尾翼は主翼を基準に左右のバランスが取れるように取り付ける。
自衛隊のE-2Cの塗装はかなりツヤがある。サフェーサー吹きの後 、上面315ガルグレーと下面316ホワイトで塗りわけた。 薄い色を先にとの常識とは逆に、ガルグレーを先に、ホワイトを後の順とした方がきれいに仕上がるので試されてはいかが。実機は少し境界がぼけているのだが、大型機なのでテープではっきりと塗り分けたほうがすっきりと見える。翼前縁の防氷ブーツは33ツヤケシ黒で塗り分けた。
 デカールは厚木で実機を見た601飛行隊のBAT456を選んだ。デカールは細かいコーションの字まできれいに抜けている。胴体の日の丸がグレーとホワイトの境界にかかるが、どうしても少し下地がすける。作例はそのままだが、気になる場合は あらかじめ日の丸の下を 白で塗っておくとよいだろう。
 







主脚

 複雑な主脚を7点の部品でうまくまとめているが、細かい部品が多いので、飛ばしてしまわないように注意が必要だ。ブレーキパイプは下の実機写真のように2本に分かれているので、金属線で追加すると実感が増すポイントだ。ぜひうけておこう。実機のブレーキパイプの色は青系統の樹脂パイプである。
実機主脚


前脚と尾部

 キットはよくまとまっている。
追加工作される方は 実機写真を参考にされたい。
尾部の燃料排出パイプは赤で、手持ちがあれば 
金属パイプで置き換えるとよいだろう。。
実機前脚
キット

実機尾部 2本の燃料排出パイプは赤。




フラップ

改造 

 フラップを下げると可動部分の赤色が顔を出す。説明書でも記載されているが、具体的な塗りわけに関しては 下の実機写真を参考にされたい。
フラップだけでなく、主翼下面も赤で塗られている部分がある

脚格納部扉の断面も赤で塗られているので、丁寧に塗り分けよう。
   まずトライしたいのが 主翼折りたたみである。折りたたみ断面は複雑な配線がある。要望が多かったので、今月号に おりたたみ部分の実機写真も掲載する。おりたたんだ主翼は垂直尾翼の外側のPINに、先端部をロックするようになっている。
 A型、B型への改造は機首をゴジラ顔に自作すればできそうだ。 艦載輸送機(COD)のグラマンC-2は胴体が再設計されていて、水平尾翼も上半角がない。使えるのは 主翼、エンジン、主脚というところだろう。
 USNAVYのE-2CとE-2Aは厚木の実機写真を次号写真特集に掲載の予定。ご期待の程。













完成

  細心のハセガワのE-2Cは 実機の複雑な構成が見事に再現されている。
スジボリにはグレーで軽くスミイレを行っている。










Home > ニューキット・レビュー  E-2C ホークアイ (ハセガワ 1/72)

Vol.1 2009 Feb.  www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
editor Hiromichi Taguchi 田口博通  無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」

製作記事

TOTAL PAGE