Home > グラビア >  前テーマ> 連載 マスタークラフト 1/72 「Su-22」  >次テーマ

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第3回)

マスタークラフト 1/72 「Su-22」

by 鳥巣 Torisu           / 
    
 ようやく梅雨が空けたかと思えば戻り梅雨の雲に阻まれ夏空が見えません
ヤキモキしているモデラー諸氏も多いでしょうが終わりのない雨は無いのでここはもうしばらく我慢して作品の仕込みに専念しましょうか

<実機解説>
 シドラ湾上空の空中戦でトムキャットに撃墜されて不名誉ながらもその名を世界に知らしめたSu-22「フイッター」だがそもそも戦闘機ではない。
 元は前作のSu-7攻撃機の離着陸性能を改善する為に取り入れた可変後退翼を装備する戦闘攻撃機である。可変翼(外翼が3段階にマニュアル操作で変更)を取り入れた結果 Su-7の最大の欠陥であるスピードは良いが少なすぎる搭載量・短すぎる航続距離が大幅に改善され最終生産型ではSu-7の3倍の搭載量と後続距離を有しソ連では1990年まで海軍航空隊(沿岸基地から運用)で使用され旧ワルシャワ機構加盟国であった中央ヨーロッパ諸国では現在でも使用されている息の長い機体である。






 同級機のミグ27に比べて搭載量やハードポイントの取り付け数に遜色がなく維持コストが安いのが長生きの秘訣であろう。
ちなみにソ連空軍名はSu―17で輸出タイプはSu-22と分類される
性能  機体重量:   10、445Kg 
    最大離陸重量: 19、700Kg(4tの各種装備品含む)
    最大速度  : マッハ1.9
    後続距離  :2300~2500Km
    固定装備  :30ミリ機関砲2門 




<キット解説>
 今回のネタは飛行機では珍しいポーランド製「マスタークラフト」と言う新興メーカーのキットです。このキットは有名模型店でもあまり取り扱っておらず通信販売専門店「ホビーリンク・ジャパン」のサイトで購入するのが一番早いみたいです。
但しSu-22は絶版で偵察ポット装備のSu-17リーコン型なら入手可能です。
キットは全体的に少し眠たげな凹モールドで掘られており軽く梨ジ状態です。
パーツ割はズベズタ製品に良く似ていますが可変翼のギミックが異なるので別物と考えて良いでしょう。部品数はランナーが2枚分にまとめられていて比較的少ない部品で仕上がります。
それでは製作に取り掛かりましょう



     部品ランナー
       箱絵

       デカール




<コクピットから>
 まず部品を洗います。
整形色の色が東ヨーロッパメーカー特有のグレイで離型剤がベットリ着いていました。入念に洗いながして台所に一晩放置です。
 乾かしたらテッシュでパーツの水気を拭き取りコクピットの製作を始めます
コクピットはフロアー・フロントパネル・座席と3つに分かれています。
パネルに付属するメーターやスイッチ類の全く再現されていないのでジャンクデカールを流用しそれらしく再現しました。インストには実機が使用しているカッコイイ座席が書かれていますがパーツは射出座席みたいなものが入っています。座席は出来の良いレジンの物に交換したい所ですがキットの箱に収まっている部品だけを使うのが私の主義なので今回はそのまま使用しました。でもシートベルトはジャンクデカールを使いアレンジしました。

 
        
      コクピット

 <胴体の貼りつけと基本工作>
コクピットを組み立てたら胴体と主翼の組み立てに進みます
胴体のダボ穴とピンが全く合わないので切り飛ばします。胴体左右の面を紙ヤスリで整えてコクピット・ノーズコーン・エンジンノズルをガッチリと接着します。
胴体を組み上げたら可変翼の組み立てです。外翼を内翼に差し込んで胴体内部のスライド部品で可動する仕組みですがスライド部品と外翼が上手く合わずガタガタで動かすと外翼が直ぐ外れてしまいます。ここは翼の開閉を選び固定した方が宜しいでしょう

胴体と翼の接合が終わったら隙間や段ズレを修正してサフを吹き一晩乾燥させます。
隙間や表面のキズの有無を確認したら消えたモールドの掘り直しと開口されていない胴体後部の補助インティクを開けます。
これで基本工作終わりです。


    基本工作

    サフ吹き


<塗装とマーキング>
当初はシドラ湾で撃墜されたリビア空軍にしょうかと考えましたが国籍マークが地味だったのとキットのデカールの色が掠れていて(滲んでいる)質が悪く使うのにはイマイチだったので手元にあった詳細不明のレッドスターを使えるソ連空軍にしました。

下面色としてライトブルー(クレオス117番)を吹きつけたらパネルラインにジャーマングレーで影吹きを施します。ジャーマングレーが乾いたら残すようにライトブルーを重ね塗りします。

胴体と翼の下面塗装が終わったら上面に基本色としてサンディブラウン(もしくはタン)を塗ります。こちらも基本色が乾いたらパネルラインに沿って影吹きをします。
迷彩色としてクレオス303・309・310(ベトナム迷彩)の3色を使い塗り分けます。

迷彩塗装を終えたら全体に光沢が強いのでエナメル塗料でウオッシングを施し全体のトーンを落ち着かせます。
落ちついたら「世界の傑作機Su-7/17フイッター」の写真を見ながらマーキングを施します。意外とカラフルなマーキングが多い機体ですが手元にあうデカールがなかったのでベーシックに国籍マークと機番のみ付けたシンプルなマーキングにしました。

塗装

<装備品の取り付けと完成>
 マーキングを施したら装備品を取り付けて完成です。
装備品として小型爆弾・ロケット弾・空対空ミサイル・燃料タンクが同封されています。
それぞれを専用のパイロンや取り付けラックに付けるのですが全てイモ付けなので真鍮線を介して取り付けます。
空対空ミサイルはR-60(AA-8)をストックキットより持ち出し交換しました。
パイロンやラックはインストでは実機と同じよう書かれているのですが実際の部品は形が違うので実機写真を見ながら正しい物を選び取り付けました。
装備品も着け終わり最後にピトー管を付け塗装の塗りのこしをタッチアップして直したら完成です。

若干手間が掛かってしまいましたが
完成した姿を眺めているとミグには無い力強さを感じる機体でロシアの設計思想を垣間見ることができました。
このたび珍しいポーランド製のSu-22のキットを製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。

完成写真









Vol.7 2009 August.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」