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速報レポート 「全日本模型ホビーショー2009」



 10月10日、11日の2日間、幕張メッセ9ホールにて 今年の模型ホビーショーの一般公開が開催された。今年で第49回という歴史あるホビーショーである。10日に見学に行ってきたので レポートする。

 参加メーカーは ハセガワ、タミヤ、バンダイ、アオシマ、童友社、ファインモールド、プラッツ フジミなどのプラモメーカーがブースを構えていた。
 
 さて、今回のメーカー展示で 目玉は何といっても
タミヤの1/32 スピットファイアMk9。
AFVでは 同じタミヤのSU-152。
艦船では ハセガワの1/350 矢引。
 いずれもすばらしいものだった。
 
 今回は見られなかったが、不況を吹き飛ばすような若年層向けの手頃な価格のプラモデルの登場も期待したいものだ。
 
 
 タミヤ→

 ハセガワ→

 ファインモールド→

 トランペッター→

 童友社→

 アオシマ→

 感想→


タミヤ 

今秋発売予定の 話題の タミヤの 1/32  スピットファイア MK9
スタイル、内容とも 前作零戦を更に進化させた素晴らしい出来。
ただし お値段は 1万円を軽く超えるので、お財布と相談が必要。
 
Mk9Cとして発売されるが、通常翼と 短縮翼が作り分けできる。
作る楽しみに溢れたキットになるだろう。


短縮翼、とがった垂直尾翼の フランス空軍塗装機も選択できる。


精密な出来のエンジンと コクピット、フィギュアが2体付属する。


副担当者として エンジン、コクピット、脚まわりを設計したマークさん。
ブースで説明に当たっていて、自ら設計に参加した製品への情熱があふれていた。
バリエーションの多いスピットの各型の違いへのウンチクが深い。


エンジンパネルは肉厚の薄い設計だがヒケやゆがみが見られない高い成型技術が見て取れる。
また、 小型マグネットと鉄系のエッチングパーツにより、簡単に着脱可能。
設計の工夫が随所に見られ、タミヤの1/32は確実に進化している。


主翼と ネジで着脱可能な主脚。


 AFVの新商品は ロシアのJSU-152
既発売JSのシャーシーを使った152mm重自走砲バージョンである。


発売中の 再販1/12 ポルシェ910
 


ハセガワ 

ハセガワの一押しの新製品は 1/350艦船 矢引
エッチングパーツを使うと すばらしい精密感となる。




7月に発売された 1/32 ショウキは バリエーション展開で 2型乙 40mm砲搭載が12月に発売される。
また、 1/72 Ju88C-6 ナハトイエーガーも バリエーションで発売される。


ファインモールド 

静岡では五式中戦車 チリ を発表したファインモールドだが、今回は 三式中戦車 チヌ 長砲身型を発表。
砲身、キャタピラなどいつもながら渾身の出来。12月の発売が待ち遠しい。


 

トランペッター 

1/32が4点発表されていた。

Bf109E-3
エンジンカウリングがはずれ、エンジンが見えるようになっている。
写真のゆがみか 目の錯覚か なんとなく機首が短く、胴体後部が長いような、、、
また、機首下面のカーブも、これまでのイメージと少し違うような、、、いずれも新形状解釈によるものか?


10月に発売される AV8Bハリアー
スタイルは よいように見える


 
1/48 Su-24 フェンサーD
1月発売
いわばF-111の ソ連版
48だがさすがにでかい。 お値段も 15,540円とデカイ
1/32 MIG23MF フロッガーMF


童友社 

1/100翼シリーズは 新金型 紫電改 でシリーズ展開する。楽しみ、楽しみ!

 

アオシマ 

次の1/48 ヘリコプターは エアウルフ

1/48リモコンAFV キングタイガーとパンサーG型が発売される。
こういう楽しい商品を待っていたのだ。

(感想)  

 (1)
 静岡HSでは入場料は無料であるが、東京ホビーショーの入場料は大人1000円。 
海外からの至宝が展示される美術展よりも高く、見本市入場料としては破格の値段だ。会場費用の高い幕張での開催なので、仕方が無いとも言えるが、果たして、1000円に見合う各メーカーの展示パフォーマンスであったのか、不便な幕張まで足を運んだ入場者へのサービスも含めて 改めて問われよう。 
 東京のホビーショーの展示規模は静岡HSに比べれば小さく、ただ、製品を並べ、ブース販売を行っただけのメーカーも多かった。合同作品展やボックスアート併設展などのイベントもなく、見学者も少ないため、静岡HSのような熱気が見られなかったのも事実である。
 何のために高い入場料を頂いて一般公開をしようとしているのか 目的を明確にし、展示内容に見合った入場料に下げるなど 見直しも必要ではないだろうか。 

 (2)
 ホビーショーを見学し、最近のプラモデル業界の動向を見ていて どうしても連想するのが、ソニーのPS3と 任天堂のDS,WIIの対照的な典型例である。

 ソニーのPS3は顧客の見えるニーズだけを考えて、スペックを更に高める方向に動いた。しかし、ゲームの高度化、複雑化で 一部のマニアを除いて 一般ユーザーのゲーム離れが進んだ。 ゲームの絵が3Dで きれいになって 動きが早くなっただけで、面白みが何も加わらなかったという手厳しい評価もある。
 PS1→PS2の過去の成功の路線上で、更に性能の追求にのめりこんだのは ソニーらしいが、エンジニアにハード・スペックだけに押し付けた 頭を使わない商品企画は イナーシャーが止まらない惰性であった とも言える。

 もう一方の任天堂は 顧客の潜在的な「WANT」を探り出した結果が DSとWIIだ。
DSではタッチ操作のわかりやすさで 通勤途中に大人が「漢字検定」や「脳トレ」を楽しめる。
WIIではゲームの原点に帰り、みんなで体を動かしながらスポーツを楽しむWIIスポーツや 簡単なフィットネスが 家族で楽しめる。
 結果、幅広い、年齢のユーザー層を広め、これまでのゲームの意味を大きく変えることに成功した。ゲーム機のユーザーといえば若年層の男性層だったのに対して、WIIのユーザーの男女比は約半々で、30~40才代のユーザーも多いということだ。

 どちらが、成功したかは 結果をみれば明らかである。

 一つの商品には 違う「軸」というものが いくつもある。「軸」は一つではないのだ。プラモデルという商品は 年齢層も顧客層も 若年層から老年層、完成品購入派から 自作超マニアまで幅広い。時代の空気というものもある。
 精密化だけがプラモデルの道でもあるまい。
 また、年少ファンが減少した原因は「テレビゲームの流行」だけではあるまい。
プラモデル販売店や販売チャネルが先細っている結果には 原因があるはずだ。
 客数と売り上げが減っているから、商品を高額化する という単純図式では 永くは保つまい。経営的に金型の償却費用を売り上げ予想数で割ると この値段になってしまうという説明は もちろん わからぬでもないが、それは高速道路の通行料と同じお役所仕事の論理でもある。
 プラモデル業界は考えることを放棄しているのを止め、もう一度 考え始めることが必要だ。

 ガンダムやミニ4駆ブームの時には プラモデル店の前に子供達が朝早くから列をなしていたことを、もう一度思い起こして欲しい。そこには確かに子供達だけでなく大人をも引き付けるプラモデルがあった。
 
 プラモデルメーカーには 今一度 足元を見つめ、結果の原因を探り、顧客の見えるニーズに ただ反応するだけでなく、見えないWANTに解答するような商品開発や営業戦略の再検討を ぜひ望みたい。
 我々が大好きなプラモデルの文化を絶やさず、未来を切り開くために。 

 (文責 webmodelers発行人 田口博通)


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