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連載 48JET傑作機 50選 (第6選)
ホーカー シーホーク FGA.Mk.6  (トランペッター 1/48)

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi           / 



 48JET傑作機50選の連載 第6選は トランペッター 1/48 シーホークです。

 48のシーホークは簡易成形でチェコメーカーから発売されていましたが、本格的なインジェクションではトランペッターのものが初めてです。日本メーカーではまず実現出来ない機種選択も琴線に触れ リスクを恐れず、マニア泣かせであります。
 トラペで毎回、問題になる機体の基本デッサンも このシーホークはなかなかGOODです。イギリス機に強いアドバイザーが居るのかも知れません。モールドは端整なスジボリモールドで、リベットの彫刻は無し、シンプルそのもの。
 残念ながら各翼後縁は相変わらず厚く、今回の製作ではヤスリで相当 削り込みました。主翼は折り畳み状態が選択できるように、外翼が分割されていて、フラップもダウン状態が選べます。
 計器板にはフィルムとエッチングパーツが付属します。これもトラペが発売する艦載機の標準スタイルになって来ました。
 今のところ、トランペッターに残された最大の課題は 離型剤の強い成形。これだけをどうにか解決してくれると、将来楽しみなメーカーになる可能性大と思うのですが。ぜひ 輸入商社には ユーザーの声を広東省のメーカーまでFAXでもメールでもよいから伝えて欲しいものであります。

   箱絵

 シーホークの箱絵はパンサーの下手な油絵タッチから進化して、CGになってきました。3機分のカラー塗装図も付属していますが、これもいい雰囲気で書かれておりました。



[実機について] 
 シーホークは第5回で取り上げたパンサーと 直線翼、機体規模、エアインテークから排気ノズルへのエンジンのレイアウトなど 似ていることに気がつきます。設計開始は2次大戦が終わろうとする1944年のこと。設計者はホーカーを代表する名設計者のシドニーカムで、彼の美的センスによる優雅な曲線形態をしています。同時代のスーパーマリンアタッカーの層流翼のような新技術は用いられず、堅い設計でしたが実用性でしのいでいます。  高い運動性能と優れた操縦性が特徴で、使いやすい艦上戦闘機だったようです。戦闘機から戦闘爆撃機へと発達し、1956年のスエズ運河紛争でもエジプト軍の地上施設を攻撃しています。本国での退役の後も、インド海軍では1984年まで運用されています。
 



[製作上の注意]

  中国製プラモデルは大変残念なことに、離型剤の油が強く付着していて、そのまま組み立てると 塗料をばっちりと はじき返します。トランペッターのキットを買ったら、まず最初の作業は?と言うと、組み立て前の全てのパーツから離型剤を洗い流さねばなりません。
パッドに濃い台所用洗浄剤を入れて ランナーごと1週間ほど 漬けて、離型剤の油をとります。「中国製プラモの漬物」と言っております。最近は、ウエキのオレンジングパワーという超強力な住居用スプレー洗剤を使っています。ただ強力なだけに、目に入れないよう充分に注意が必要です。
それでも落ちない部分は、耐水ペーパーで落とすしかありません。透明部品の離型剤は 筆にグンゼシンナーをつけて ごしごしと強引に落としております。 
 
 胴体は 胴体前半が上下分割、後半部が左右分割となっていて、写真のように、ジェットインテークも3枚の隔壁込みで一発抜きで再現されています。機首には鉛おもりを詰め込み、粘土で留めておきます。主脚庫部品は胴体を左右に貫き、胴体の補強を兼ねています。

胴体下部に主脚庫部品を接着して補強


コクピット

 計器板は計器が印刷されたフィルムと穴の開いたエッチングバーツを組み合わせる精密なものです。フィルムの後面を 白か黄緑で塗っておくのを忘れずに。
 サイドパネルは床と一体のバスタブですので、丁寧に塗りわければ 魅力的なコクピットが出現します。

 コクピット


胴体

胴体上下接着後の継ぎ目は 瞬間接着剤をパテがわりにして接着跡を整形します。


胴体前部と後部部品の背中のラインが滑らかにつながるように、整形しておく、これがこのキットの肝であります。






 主翼付け根のエアインテークは胴体と一体で、別部品の主翼外翼は折り畳み状態にもできます。フラップも上下に開いた状態に出来るよう別部品で用意されています。
 しかし、なんといっても、シーホークの滑らかな主翼のラインを表現したかったので、展張状態で固定しました。外翼と内翼間に補強のためにプラ棒を2本さしこんであります。
 主翼、尾翼とも後縁が相当厚いので、外面から金属ヤスリでガンガンけずり、できるだけ薄くします。翼はシーホークのイメージを左右する重要なポイントで、薄くするだけでオーラが出て来ます。
 翼端灯は透明部品が付属していますが、接着後 ラインがつながるように削り倒しておかなければなりません。

全面にサーフェーサーを吹いてキズ消しをした後、リベットを追加しました。ガネットのリベットルーラーを使い、ガイドには昔おなじみのダイモテープを用いています。



塗装

 完成

 標準の典型的なペンギン塗装パターン機をぜひとも モノにしたかったので、 上面グンゼ特色333 エクストラ(ダーク)シーグレー、下面26番ダックエッググリーンとしました。ツヤを出すために、乾燥後、コンパウンドで磨いておきました。
 脚庫内はホワイトです。
デカールを貼った後に、グロスクリアを吹いています。のっぺりとした艶のあるシーホークの雰囲気が少しでも出せればと思います。塗装図では脚柱もホワイトとされていますが、シルバーとしました。
 全体が曲線で構成され優雅そのもの。後ろ姿も綺麗で 美的センスにあふれています。イギリスジェット機の魅力を実感しました。 

 48インジェクションでシーホークが手に入る良い時代になって来ました。画一的な機種選択しかない日本メーカーでは有り得ない事を なんと中国メーカーが簡単に実現してくれる。プラモの世界も変わって来たものであります。我らが日本プラモメーカーには埋没しないように、奮起をぜひ望みたいと思います。









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Vol.10 2009 Nov.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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