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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第6回)

エレール1/72 JA37ヤクート ヴィゲン

by 鳥巣 Torisu           / 
   
<初めに>
 晩秋の季節になりモデラー諸氏は各地の展示会やイベント参加等に参加し多忙な休日かと思いますが上手い作品からパワーを貰い残りわずかな2009年モデリグ生活のモチベーションを高めましょう。

<実機解説>
1950年代に J35「ドラケン」を配備したスエーデン空軍は後継機として当時冷戦から熱戦へとエスカレートしつつあった世界情勢の中核攻撃を受け収主要な航空基地を破壊されても高速道や一般道に隣接した応急設備から運用可能できる高いSTOL性能と堅牢で農家の納屋やトンネル内に格納できるコンパクトな単発戦闘機として1964年に開発され1967年に初飛行した。
 STOL性能を追及した結果デルタ翼にカナード翼を追加した他国では前例のない機体形状になったがエンジンに取り付けられたスラストリバーサーと同時に運用することによって500メートルの滑走距離で止まることができ国土のどこにでも展開することが可能になった。
しかしコンパクトな機体として開発されたので当時の他国機より航続距離が短く1.080nm(約2000キロ)と短く最後まで悩みの種となり自衛隊のF-104後継機候補にも挙げられたが防空よりも地上(対艦)攻撃機としての能力が優先された設計と足の短さが災いしたのと遠隔地からのメーカーサポートの不安から脱落してしまった。
<JA37ヤクートヴィゲン>
 対地攻撃機として配備されたヴィゲンだが迎撃任務を中心とした派生型JA-37が1974年に初飛行し1980年から149機が配備されJAS39グリペンが配備された2000年代までAJ-37と共にスェーデンの国土を守り続けたのである。

スペック
全長16.4m
全高 5.6m
全幅10.6m
エンジンRM8AJT-8D低バイパス比ターボファンエンジン
最大速度:2,231Km/h
航続距離:2,000Km
実用上昇限度:18,000m
武装
30mm機関砲1門
ミサイル RB04E
     RB05
     RB75マーベリック空対地ミサイル



<キット解説>
 当初AJ-37として発売された従来製品にJA-37用の垂直尾翼やミサイルラックとガンパックを新規に作り起こしたパーツを追加したキットです。
 またこの製品は国内H社や某海外メーカーが試作型をキット化しているのに対して唯一実用型をモデライズ化した貴重な製品です。
(翼面形状が異なる)
 さらに説明書には記載されていませんが何と複座の練習機型や偵察型がバリーエーションで作れる部品一式が同封されていて一粒で3度美味しい内容になっています。
特に複座型は某M社の製品が入手困難なので貴重かも知れません
プラの材質はヨーロッパメーカーの特徴である非常に柔らかい物でキットのモールドはその柔らかいプラの影響でしょうか少し寝ぼけた印象を受ける凸モールドで再現されています。
 透明パーツは少し肉厚ですが透明度は良いです。デカールは発色が暗く滲んでいる印象を受けますのでアフターメーカーの物をチョイスするのも手でしょう。

         複座型も組める胴体パーツ
 箱絵


実用型の主翼形状


透明パーツとデカール

製作

<コクピット>
メインパネル・コクピットフロア・射出座席・ステックの4点からなるパーツで構成されています。
 メインパネルのメーター類はモールドで再現されていますがサイドコンソールは何も無いのでデカールストックの中からF-104の物を流用して再現しました。



 コクピット

<胴体と翼の組立>
 3タイプの機体を再現するために胴体後部が上下に分割されたりレドーム辺りが偵察用の機首と戦闘機型用に分かれている等接合時に隙間や段ズレが発生しますので仮組状態ですり合わせを入念に行いそれでも合わない個所にポリパテを盛り付けて処理しました
特に機首のレドームパーツは上下のサイズが合わないので多めにパテを盛り付けました。
 胴体の隙間や段ズレの修正を行ったら主翼を組み付けます
胴体下面と翼の間に大きな隙間が発生したので薄いプラ板を挟みこみその上にパテを盛り付けて修正しました。

 ポリパテによる胴体の処理


胴体下面のスキマの修正


<整形とスジ彫り>
 胴体や翼の接合部にパテ修正を施した為紙ヤスリでパテを削った後モールドの半分近くが消えてしまったので残った凸モールドを全て削り落し2000番の紙ヤスリで機体表面を磨いた後#1200のサーフエンサーを吹き付け一晩程置きサフが乾いているのを確かめてトライツールのテンプレートとモデラーズの細いマスキングテープを使用して大きなパネルラインのみP-カッタで再現しました
スケールが72と小さいので主要パネルラインを再現できれば十分と考えています
サフェーサー吹き


<塗装と細部パーツの取り付け>
 エレールの指定カラーはハンブロールですが
個人的に国内で入手し易いクレオスのカラーを多用していますので実機写真とボックスアートのイメージではF-16のカラーに近い塗装と判断しました。
 胴体上面の濃いグレーは306番、レドーム及び下面は338番の2色を基本色として使用し、パネルラインに40番ジャーマングレーを吹き付けた上に機体色を重ね塗りした後仕上げにエナメルでウオッシングを施してメリハリを付けました。
 ウオッシングを終えてまた一晩乾燥させたらデカールを貼ります
マーキングは1種類だけです。
 オレンジの機体番号の色が掠れ気味のような気もしますが 実機写真を見ると色調が合っているようなので深く考えずに貼りました。デカールの糊に不安を感じたので今回マークセッタを使用して補強しました。

塗装とマーキングが終わったら主脚や武装を取り付けます
ここで注意する所は主脚の取り付けです
取り付け用のダボや穴が無くイモ付け状態ですので食い付きの良い粘着性の高い接着剤を使用することをお勧めします
 武装としてサイドワインダーとスカイフラッシュ(F-4のスパローを流用しました)を取り付けましたがスカイフラッシュの取り付けランチャーが入っていなかったのでハセガワのウエポンセットからそれらしい形のランチャーを見つけて付けました。
 細部の塗り残しやパーツの付け忘れを確認したら仕上げに クレオスカラー「半光沢」を全体に吹き付け風通しの良い場所に2日間置いたら完成です。




脚と 武装


<最後に>
 今回エレールのヴィゲンを制作して
「外国製キットは箱を開けるまでは何が入っているか解らない」と久しぶりに体験できて楽しかったです。

エレールのJA-37ヴィゲンを作る機会を与えてくださった編集部に感謝です


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Vol.10 2009 Nov.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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