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by 田口 博通 Hiromichi Taguchi      /

Big プラモデルキット作り倒し (第10回) 
大和   ニチモ 1/500  


大和の雄姿


ニチモ 1/500 大和 箱絵

押入れを占領するプラモデルのBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。
 
 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 さて 今回は 本連載 初登場の艦船モデル、1/500 ニチモ 大和 であります。 今回も飛行機を期待されていた諸兄には、申し訳ありません。

 大和はこのスケールでもさすが超ド級戦艦、全長50cm以上あります。もちろん 箱も巨大です。 箱絵は、僚艦を従えて、仰角一杯 空を仰ぎ見る主砲が勇ましく、非常に魅力的です。
 先日のホビーショーで 今冬にフジミから1/500 大和が発売されるとアナウンスされていますが、おそらく精密な決定版でありましょう。その前にと ニチモの1/500の大きな箱を作り倒してみることにしました。
 実はこのキットは現役かどうか定かではありません。発売は40年くらい前のはずです。私は10年くらい前に 静岡ホビーショーの放出バザーで 500円で手に入れました。
 子供の時からの憧れで いつかは大和を作りたいと思っていたこともあり、500円だしと、つい手がでました。 おつりを渡してくれた方が、「うーん 苦労を買ったかも」と 励ましのお言葉をかけてくれました。ありがとうございました。
 船は専門ではないことと、箱の大きさに恐れをなし、作っても置き場所が無いことから、ずっと押入れの肥やしになっておりました。
 今回、作り倒してみると、インテリアにはちょっとインパクトのある 迫力ある大きさであります。飛行機モデラーには充分過ぎる程の巨大さです。 
 そして、押入れには ぽっかりと大きなスペースができました。同じように押入れの奥にひっそりと詰め込んで、存在すら忘れている読者の方もいらっしゃるかも。
 さあ、取り出して、一緒に 楽しんでみましょう。

全長50cmを超える巨大な大和


 このニチモの1/500キットは 最終的な菊水作戦の時の姿と、改修前の姿が 武装の違いで選択できるようになっています。
大和、零戦、玉子焼きと誰でも知っているものの代名詞になっていますが、有名すぎてこれといった資料が手元にありませんでしたので、昔からのモデルアートを紐解いてみました。1/200ニチモとか、1/350タミヤは 結構取り上げられているので、それを見ながら、取り掛かることにしました。
 
 こういう大物は部品をニッパーで切り出す前に方針を立てておかないと、袋小路に入って、絶対討ち死にします。
 艦船は専門ではないので、精密さは追わずに、とにかくキットの完成を優先し、時間をかけずに一気に作って、途中で投げ出さないようにすることに。そのため、 塗装も筆塗りでいくことにします。
 過去の模型誌に詳細追加などが掲載されているものの、全て無視。ストレート作りです。
手すりも省略します。40年前にキットに大枚はたいてエッチングの手すりを追加してもバランスが崩れるだけです。
空中線は省略することにしました。
また、モーターで4連のプロペラが回転するようになっていましたが、涙をのんで可動は省略してしまいました。

 塗装ですが、改修後のハリネズミのような勇ましい姿として、本当かどうか定かではありませんが、黒甲板といわれたイメージを再現することにしました。
 また、邪道かも知れませんが、現代的な作風として、AFVなみにウエザリングとドライブラシをかけてみることにいたしました。



製作

 船体
フルハルモデルですが、これだけ大きいキットだとユガミなども出ていますので、強引にタミヤの流し込み先着剤とワゴム、マスキングテープなどを使って、船体をくみ上げました。
 モーターライズを省略すると プロペラが最後に後付できるので、工作上 楽になります。

 甲板
甲板は 電池交換のために、3分割になっていましたので、接着してしまい、スキマはパテで埋めてしまいました。
甲板周囲に 手すりが壁上にモールドされているので、全て削り取りました。これで 相当すっきりしました。


艦橋、砲塔
 艦橋と武装はパーツが多いので、とにかく、ひたすら 全パーツを接着して行きます。ガラスを入れるなどの野心は持たないほうが完成が近いと思います。 主砲、副砲はもちろん回転するようになっていますので、それは生かします。後で ウインウインといいながら砲塔を旋回させると 楽しいものがあります。 後で思うと、ここを モーター回転に改造すればよかったと悔やんでいます。 
 
 マストなど構造物
 マスト類はいもづけですので、強度を増すために、要所に0.5mm径のしんちゅう線を仕込んでおきました。飛行機モデルの脚の補強の応用であります。
最終特攻時のため、零観が載っていることは無いだろうと、搭載を省略し、カタパルトだけ作ってあります。後部のクレーンがキットでは三角のマストについているので、そのまま作ってありますが、最新の考証では 後部の三角の構造物はアンテナで、クレーンはその横に別構造物となっているそうです。戦闘態勢としたため、同様にボートなど甲板から余計なものはできるだけ、はずしました。甲板上の機銃も 後でぼろぼろと取れるのもイヤなので、省略しました。



 塗装
 塗装前に飾り台を接着することがお勧めです。手塗りの場合は非常に作業がしやすくなります。

 塗装は 船体下部が グンゼNo29、船底色。
船体上部は No32日本海軍軍艦色、
甲板は木甲板色やリノリウム色でなく、黒甲板のイメージを追ったために  No116 ブラックグレーを使っています。
これらを筆塗りしました。
船体は縦、斜め、斜め、縦の4回塗り。艦橋などは2回塗りですが、筆のタッチはできるだけ縦になるようにしました。
筆塗りでも 塗り残しが無いように筆の太さを使い分けて、塗っていけば そう難しくはありません。
筆ムラを恐れる声をよく聞きますが、筆ムラとは 塗り重ねが足らず、下地が透けて見える時に目立ちます。ですから、しっかり何回も塗り重ねをすれば、大丈夫です。筆のタッチは多少残っていても 全く気にならないはずです。むしろ、筆のタッチを「味」として残す方が格段に難しいと実感しております。
 
 
 黒の喫水線はきちんと水平に塗る技術が無かったので、軽く省略させていただきました。(所属しているクラブのメンバーには黒の線を入れると バランスが崩れておもちゃぽくなるような気がして、バランスを優先したと言い訳しておりますが。)

乾燥後、タミヤエナメル黒で ウオッシングし、拭き取り後、船体側面の汚れを縦方向に書き込んで行きました。
艦橋や、砲などのエッジをエナメルのホワイトとグレーを混ぜてドライブラシしました。
 
 前後の旗ざおは アクセントになるために、ムシピンで作り変えてあります。もっとも、最近 教わったのですが、旗ざおは戦闘時は格納されていたはずとのことです。
 同様に複雑な空中線も、戦闘時は射撃の邪魔になるので、格納されていたはずと私は思っうのですが、いかがなもんでしょうか。


 とにかく でかいです。
全長50cmを越しますから、圧倒的なインパクトです。
飛行機モデラーにはB52を越す充分な大きさです。
子供の時からの憧れがやっと完成しました。
砲身が上下し、砲塔ごと回転します。
これがずっと 欲しかったんです。
大和はこんな形をしていたんですね。
というわけで、感動の完成となりました。

かなりの満足感が得られます。
これは絶対請合います。

 

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Vol.10 2009 Nov.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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