Home > グラビア >連載 世界の名作発掘 コンドル社1/72「Mig-29SMT」

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第8回)

コンドル社1/72「Mig-29SMT」

by 鳥巣 Torisu           / 
   
<初めに>
 明けましておめでとうございます
本年も光を当てられることのない世界の名(迷)キット達を発掘する当コーナーを宜しくお願い致します。
 読者の方達の見てみたいあのキットやこのキットの完成した姿をお披露目できるかも(笑)

<実機解説> <Mig-29 SMTについて>
 ミグ29は1970年代当時のソ連を含めて世界中の東側陣営に供給されていたベストセラー「ミグ21」の後継機としてアメリカのF-15やF-16に対抗できる戦闘機として開発された機体である。当初は簡易的な制空戦闘機として開発されたが当時並行して開発されていた大型のSu-27の空力データーを中央流体力学研究所から提供を受け西側の戦闘機を凌駕する戦闘機と成った。
 生産は1982年に開始されソビエト空軍には翌年の1983年から配備された。


 配備当初から航続距離の短さ(前線用戦術機だから当然)と西側に比べて劣る電子機器が指摘されていた。
 そのためミグ設計局では胴体後部を膨らませてそこに追加の燃料タンクと新型の電子機器を搭載し地上攻撃能力を持つMig-29Mを1986年に開発したが1993年に受領試験を中止になり配備を見送られた。
しかし1998年には中止になったM型の技術を用いて最新のアビニクスを搭載し(西側並みのグラスコクピット化等)空中給油用プローブを追加しMig-29SMTとして開発した。
ロシア空軍及び中東やアフリカ・南米諸国に売り込みを掛けているが未だに正式発注はない。但し近年アルジエリアが興味を示し採用したという未確認情報もある。



<キット紹介>
 ウクライナ発コンドル社の製品として販売されていますが実はイースタンエキプレスの製品にコンドル社が新規に作り起こした武装パーツを追加してコンドル社の名前で販売されている製品です
 翼と垂直尾翼は凹モールドで胴体部分が凸モールドと言う不思議なモールド表現で細部に湯が回ってなかったり、バリが非常に多く全体的にモッサリしている製品です。
キャノピーも透明度がイマイチですが細かいパネル表現等非常にやる気を感じられるキットなのでメーカーの技術向上に期待したいです。
箱絵 

胴体パーツ
主翼などのパーツ

組み立て

<コクピット>
まずコクピットから始めます
基本パーツはコクピットフロアー・座席・スティック・計器パネル(メーターはデカール表現)の4点構成です。
72のスケールなら十分な再現ですが座席が実機とは違うように感じますので気なる方はレジン製か他社の物を使用しても良いでしょう(作例はキットのままです)


<胴体と翼の結合>
コクピットを組んだら胴体の組立です
脚収納部の取り付けがちょっと悪いのですり合わせをしっかり行い取り付けます。
 取り付けた後胴体の上下を貼り合わせます。
ここで第一の問題が発生
ピンとダボ穴の位置が合わず胴体の上下が前後にズレて結合することが判明。仕方がないので思い切りカットし接着材を多めに塗り貼り合わせました。このような事例は東欧やユーラシア東方にあるメーカーのキットでは良く有るので初めの仮組を入念に行ってください。
 
 胴体の結合が済んだら主翼と水平尾翼の取り付けです
インストでは主翼と水平尾翼の取り付け角度が不明なので実機写真を参考に角度を決めます。主翼はF-16のような下反角が付いていないように見えたので(写真の角度ににもよりますが)水平気味に取り付けました。
 結合した個所にポリパテを盛り付けて修正です
パテ修正を削ると共に胴体の凸モールも削り落します
#400・800・1000・1500と番数を上げて磨いたら
クレオスの#1200の缶サフを吹き付けて乾燥させます
乾燥の間付属の各種ミサイルを組立てます。
ここもバリが多いのでデザインナイフで綺麗に整形したら多めに接着材を塗ります。
 はみ出した接着剤をパテ代わりに使い整形します
削った後のキズが目立つのでハンドピース用に希釈した#1000のビン入りのサフを吹き付けて整形しました。

<モールドの彫りなおしと塗装>
先ず胴体のスジ彫を行います。インストを見ると細かい所まで描かれていますが72ですと大きな直線部を彫れば十分と思いますのでハセガワトライツールのテンプレート準備し外側の直線部分をガイドにして彫ります。
大まかに彫ったら四角いアクセスパネルを彫りアクセントを付けます。胴体背部タンクのような曲面はモデラーズのマスキングテープを貼り一回で彫ろうとせず薄く何回かに分けて彫ると綺麗にできます。
 胴体が終わったら翼のモールドが薄いのでキットのラインをガイドにして彫直します。彫の前縁フラップ等の動翼はPカッターで深く彫直しました。

 
モールドの彫直しが終わったら機体の塗装です
 実機は通常のグレーベースの機体に緑をスプレーで吹き付けた迷彩機とデモ用の砂漠迷彩や3種類のグレーを用いた最近流行りのスプリッターパターン機等が見受けられます。
 インストが不明な点があったのと個人的な趣味で流行りの塗装を試したかったのでグレーを基調としたスプリッターパターン風のグレー迷彩機に仕上げました。
 塗装の順番ですが機体全体にクレオス308グレーを塗ります
次にタミヤの6ミリ幅のマスキングテープで塗り分けラインを作り
迷彩として同じくクレオス32番(米艦船用軍艦色)を塗りました。最後に手元に有った詳細不明のブレンドした明るめのグリーンを吹き付けました。
 マスキングテープを用いると境界線が厚ぼったくなったりテープのはしがギザギザになっていたりと見た目綺麗に塗り分けが表現できない場合があります。それを防ぐには
① 新品のテープを使う
② しっかりとテープを指で押さえて張ります
③ 塗料の濃度を薄めにして早く薄く塗る

この3点を行えば簡単に防ぐことが出来ます




<デカール貼りと脚や武装の取り付け>
塗装が終わったらデカールの貼り付けです
デカールは一部白が薄かったり糊が弱い個所がありますが大丈夫です。剥がれ防止のためマークセッターで補強しています。
 ロシア機らしく機体番号と国籍マークだけというシンプルなマーキングです。細かいコーション類もあまりなく時間の少ないモデラーには助かります。
 
デカールを貼り終えたら脚と武装の取り付けです
ここでも問題発生!
主脚の折りたたみ機構のアームの部分が長くてキットのままでは脚が前方へ投げ出した型になってしまい主脚が真っ直ぐに付けられません。アームの部分を少々カットして現物合わせで調整しました。ここも組立前に要チェツクです。
このキットでは細部の取り付け指示が曖昧な個所が多く作る前に有る程度の資料を準備することをお勧めします。
 武装は大型の空対地ミサイルと新鋭の空対空ミサイルを取り付けました。色はデモ機の傍に展示してあったミサイルの写真を参考に塗りました。
中型のミサイルをオレンジ色に塗りアクセントを付けてみました。
機首のピトー管や各種アンテナを取り付け完成です。



<最後に>
細かい個所では改良する余地のあるメーカーの製品ですが
垂直尾翼が実機通りに外側に傾けてある所や新型のミサイルを同封する等、とてもやる気のあるメーカーのキットです
これからの新製品に期待したいです。
今回もウクライナの新鋭コンドル社のMig-29SMTのキットを制作する機会を与えてくださった編集部に感謝です




Home > グラビア >連載 世界の名作発掘 コンドル社1/72「Mig-29SMT」 

Vol.13 2010 Jan.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE