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ショウキ (ハセガワ 1/32) 

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi

8月にニューキット・レビューとしてスタートした ハセガワ1/32の ショウキ 2型丙
途中で一度投げ出しそうになりましたが、6ヶ月かかって やっと完成しました。
全編を まとめてリポートします。 



キットの印象

  
 モールドは最近のハセガワの1/32スタンダードで、端正なスジボリに 最低限のリベットがうたてれいます。
カウルフラップは 開閉選択式となっています。
部品で見るところ、主翼の翼端そりあがりが いい感じであります。胴体の絞りもグッドですが、印象は 1/48キットのスケールアップ。こういう方向性もあるのでしょう。一見、簡単に組みあがりそうですが。

資料
マルメカ No.9 ショウキ 
モデルアート プロファイル ショウキ
        箱絵


製作

コクピット 

 床板は 実機のように真ん中に 通し穴があいていて、前部にラダーペダルと操縦桿、右側床に操作棒、左床に副計器を取り付けるような構成になっています。
 また、前部隔壁部品に 主計器版と右側の副計器を接着するよようになっています。
 主計器板の両側スペースは 機銃の取り付け場所です。
 座席後部隔壁部品は2枚構成となっていて、前の隔壁に座席レールをとりつけます。
写真はまだ 座席を取り付けていません。
 下の作例のコクピットは グンゼMrカラー特色の中島コクピット色を基本にしています。計器板は グレーを混ぜた黒(タイヤブラック)に 計器は黒。メモリは銀に黄緑を混ぜて、夜光塗料風に塗装しています。赤、黄などをところどころに入れるとアクセントになります。

仕上げに輝きを消したシルバーで軽くドライブラシして、金属感を出すと映えるようです。


胴体 

 機銃の弾装扉は 説明書と違い、この段階で接着してしまいましょう。  
また、胴体右の計器を接着し、塗装しておきます。

胴体左のスロットルレバー類、塗装は 説明書の指定の通り赤、黄色、シルバーなどで塗り分けます。
 先に作ったコクピットを組み込むと なかなか魅力的なコクピットが出現します。 この段階でバランスを見ながら、油彩のローアンバーなどを使ってウエザリングしておきました。

胴体をはりあわせたところです、気になっていた垂直尾翼の形状もいいようです。


主翼

 上半角が出るように、補強部品がついているのは親切な配慮です。形状は非常に良く、タミヤの流しこみ接着剤を使って上下を貼り合わせます。コクピット床の穴から下面部品が見えますので あらかじめ内部色を塗装しておきます。
乾燥後、エルロン後縁は注意しながら 薄く削っています。
翼断面もこんな感じでしょうか。
 主要部品


胴体と主翼を歪まないように接着し、機首機銃を装備させ、機首上面カバー部品をとりつけます。
部品の合いは良く、ここまではストレスなく進みました。
胴体のカウリング後部のしぼりこみ形状ですが、操縦席のところでぐっと絞られています。


エンジン

  
 エンジンは よくできていますが、前後2列14気筒のシリンダーのモールドは前面のみ。カウリングをはずして エンジンを飾ることは残念ながらできません。
それゆえ、カウリング前穴から見えるエンジン前面のディテールに凝った方がいいようです。
プラグコードを細いソフトワイヤー(0.3mmハンダ線)で追加しました。
集束環にドリルで0.7mmの穴を開けて、ソフトワイヤーを二つ折にしてはめこみます。
シリンダーの方は0.5mmの穴を2個 プラグコード位置に開け、
ソフトワイヤーを差込み、瞬間で接着します。(下写真)
今回は 塗装をアルミ銀色とし、エナメル黒でスミイレしました。下写真

カウリング

  
 今回は 開状態のカウルフラップを選択しました。
すり合わせて、スキマのないように接着します。
 カウリング上部のエアスクープは別パーツになっています。すり合わせをしながら、傾かないように取り付けます。顔に当たる部分だけに、左右に傾かないように十分な注意が必要です。
下面のオイルクーラー空気取り入れ口も別パーツとなっていますので、丁寧に整形します。

組みあがった胴体に エンジンとカウリングを仮組しています。
さすが、ハセガワの1/32は カウリングから尾翼までのバランスが巧みです。


主翼下面 主脚収納部とリンク収納部、 蝶型フラップの内部がモールドされています。
機銃の薬きょう排出パネルも接着してしまいます。


カウリング

  
  ショウキの実機は無塗装銀の機体が多く、実機表面はリベットや汚れ、外板のうねり、へこみなどのテクスチャーの情報量が非常に多い。それが、ショウキという飛行機の実感を醸し出しているのだが、残念ながらハセガワキットの表面はシンプルそのものです。ここはひとつリベットを全面に打つことにしました。

 方法ですが、まず 下塗りを グンゼ1000サーフェーサーで行います。その上に図面を見ながら鉛筆(シャープペン)でリベットラインを下書きしていきました。サーフェーサーを塗っておくと、鉛筆がすべらずに 下書きしやすいのです。定規には透明プラ板を1cmくらいの幅に切ったものを使っています。
その下書き線上にリベットを丁寧にうっていきます。
リベットルーラーとカルコを併用していますが、リベットルーラーは作業が早くて快適でした。
機体全面にリベット打つのに、4時間くらい必要で忍耐が必要な作業です。しかし、ここは 完成目指して これも楽しみと 心を切り替えると 作業が多少は楽しくなります。





塗装

マーキング

  
 ハセガワのキットは残念ながらリベットを打っても、基本的にはツルツルで、実機のぼこぼこのジュラルミンの雰囲気はありません。リベットのまわりを彫ればいいのでしょうが、それも大変な手間。マーキングはキット指定の全面銀塗装では、なんとも弥生土器か、瀬戸物のようになってしまいそうです。

 表面彫刻が目立たない つや消しの茶塗装にするか斑点メロメロ塗装にするかと思い悩んでいました。
 色々と資料をあさった結果、飛行第47戦隊 震天制空隊 赤のマーキングにすることにしました。古くは40年前のMA1968年9月号に塗装図があります。
全面銀の胴体の赤のラインに加えて、垂直尾翼マークと先端が赤の派手な機体です。日の丸の白バンドもアクセントになります。(下写真)
キットのデカールにはありませんので、マーキングはいずれにしても全て 手書きとなります。手書き塗装の手順を紹介します。

飛行第47戦隊 震天制空隊 塗装が完了した状態



塗装の手順

 実機どおりに、銀塗装まで済ませた後、その上にマーキングを行う方法と、先にマーキングを済ませておいて、銀塗装を最後に行う方法の2種類が考えられます。
今回は後者の 先にマーキングを済ませておく方法でやってみることにしました。
 銀を先に塗装すると、マスキングテープを何度も使う過程で、どうしても表面密着性の悪い銀の粒子が禿げて行くので、銀塗装を最後にした方が有利だと思ったわけです。

マーキングの赤と日の丸の赤は色味を変えることにしました。
胴体赤ラインはグンゼのNo.68モンザレッド。日の丸はNo.3赤を使っています。
おおまかな塗装の順序の計画を立てます。

1)下地と白バンドを兼ねて白を塗装
2)主翼前縁 黄橙警戒色を塗装
3)マスキングして胴体と尾翼の赤を塗装
4)マスキングして日の丸の赤を塗装
5)機首上面 黒を塗装
6)マーキング部をマスキングして全面を銀塗装

1)白バンド部分、黄色部分、赤の部分に白を必要場所に塗装します。白は色どまりのより、ホワイトサフェーサーを用いました。
その後、白バンドの部分をテープでマスキングします。



2)主翼前縁に黄橙警戒色を塗装します。



3)黄色部分をマスキングして 胴体と尾翼の赤(MrカラーNo.68モンザレッド)を塗装しています。明るい赤です。
 4)マスキングして日の丸の赤(MrカラーNo.3 レッド)を塗装
赤は真紅に近い濃い赤です。日の丸のマスキングには位置あわせの楽な透明のマスキングフィルム(画材店で売っているもの)を使っています。
5)マスキングして機首上面の黒を塗装します。


銀塗装前に一度、各部のマスキングを剥がした状態。
まるで、アカベコであります。



尾翼マークの塗装

(1)キットのデカールは黄色。しかし、震天制空隊は赤マークですので、このデカールを型紙に使います。

(2)デカールの上に トレーシングペーパーをかぶせて、シャープペンか鉛筆で写し取ります。濃さはHBくらいがいいでしょう。
(3)マスキングテ-プをその上に貼ると、鉛筆の粉が転写します。
(4)そのマスキングテープを尾翼に貼り付けます。
(5)今回は大きなマークなので、機体の上でマスキングテープにナイフを入れて、切り取っています。尾翼先端の赤は別にテープでマスキング。






小さなマークの場合は、(3)で写し取ったマスキングテープを一度、アクリル板などの上に貼り、マークにナイフを入れてから、機体に貼り付けるようにすると、手書きマークは簡単に実現できます。

胴体の赤帯は 細切りしたマスキングテープを使って、マスキングしてゆきます。



銀塗装

  
(1) 銀塗装は、まず下地として、全体に黒銀を吹き付けます。 
(2)下地の黒銀を残すようにパネルの真ん中に銀を吹き付けてゆきます。



銀は不思議な色で、全面を均一に塗装するよりも、下地の黒部分がムラに見えるほうが、光沢を感じます。
金属感を感じるには コントラストが必要なようです。
マスキングテープを剥がしていくと、全体が現れます。

マスキングを剥がしたら、しばし乾燥。その後、細部塗装とタッチアップを行います。
吹きこぼし部分があるので、丁寧なタッチアップは必ず必要です。
また、表面のリベットが凹のため、リベット部分が異様な光沢をはなっています。
この異様さが好きという場合はそのままに。
もう少し落ち着いた仕上がりが好みの場合は、リベット部分にスミイレを行います。



完成へ

コクピットの頭当て、計器板覆いなどをつや消黒で丁寧に塗装します。
主脚には エンジンに使ったのと同じソフトワイヤ(糸ハンダ)でブレーキラインを追加しました。
プロペラは裏表とも暗褐色。アンテナ柱は黒としています。
完成しますと、1/32にかかわらず、ころころと可愛い機体の出来上がりとなりました。

広角レンズで撮影しているので、頭でっかちが強調されて写っている


蝶型フラップは赤で塗装すると目立つ。日の丸と胴体マークの赤の色味は変えてある。


 完成しますと、どうも 飛行機モデルというよりは、ころころとしたプラスチックの塊りの佇まいとなってしまったのが最大の反省点です。6ヶ月の格闘をしたにかかわらず、実機を彷彿とさせるものが自分の作品の中に感じられません。BF109Gと同様にリベットの追加をしたのですが、それだけでは 何か足らなかったようです。

1/32はその昔のレベルに始まり、ハセガワ、最近のタミヤと多く発売されるようになりました。気がつけば、日本機では五式戦を残して、全て発売されています。大きいだけに 表面テクスチャーと機体の大きさのバランスが重要なように思います。
ハセガワの最近のシンプルなスジボリだけのコンセプトを否定するわけではありませんが,それでは 1/48の単なるスケールアップに感じるのも事実。
個人的な好みでいうと疾風の時の表面モールドが最高だったように思います。
 
 実機では外板の不ぞろいの継ぎ目の重なり、パッチの当たった部分の盛り上がり。別体の点検口扉など。 表面を丹念に眺めるだけでも飽きることがありません。しかして、モデルでは単調になりがち。どうやって実機を彷彿とさせる佇まいを持たせるか、考えて行きたいと思います。




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 Vol.15 2010 Mar.      www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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