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懐かしのB級キット(第3回)
ドーントレス (アオシマ 1/72)

by 田口博通 
  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。
このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指したいと思います。

  
第3回目は 米海軍機特集にちなんでアオシマの1/72 シリーズから SBD ドーントレスです。ダイブフラップ、主脚とキャノピーが可動。元気で現役で販売されています。


  今回は 米海軍機特集にちなんでアオシマの1/72 シリーズから SBD ドーントレスです。特徴的なダイブフラップが可動で、上下にバタッとひらきます。もちろん穴はあいていませんので、自分で開ける必要があります。また、主脚とキャノピーが可動。主脚は多少グラグラしますが、小さい機体ながらギミック満点のキットでした。スタイルはドーントレスかなという程度で、キャノピーとカウリングがデフォルメされていて頭でっかちでした。
    
現在でも現役で販売されているのはご立派。押入れのキットを持ち出すのもよし。一緒に楽しんでみたいと思います。

箱絵は 赤い増加燃料タンクがついていますが、その理由は? キットには代わりに小型爆弾が2個ついているので許しましょう。第2次大戦中期の標準3色カモフラージュとなっています。

箱絵


製作

  キットは凸リベットと凸ラインが全面にモールドされています。コクピット内はこれといって何も無いに等しいのですが、風防の透明度が悪く、ほとんど見えませんので、機体内部色で塗っておくだけで充分だと思います。エンジンは一枚板です。 
胴体の左右接着部の整形は、特に目立つカウリングを中心に行います。
 翼ですが、ダイブフラップは別部品のうちに、ピンバイスでチマチマと穴を開けますと、可動なだけに後で楽しめます。
主翼は主脚が可動で、上下接着前に脚とフラップを仕込みます。胴体との接着にはスキマ、段差がでますが、この程度、さらっと許して差し上げましょう。
水平尾翼は接着部が心もとないので、流し込み接着剤で接着した後、瞬間接着剤でガッチリ固めておく必要があります。



  胴体下面のエアインテークは ナイフで開口するのも大変なので、黒く塗ってごまかすことにします。排気管も作り直さずそのままです。B級キットの雰囲気が出たでしょうか?
プロペラは太いので、翼断面になるように 楽しみながらヤスリで削りました。小さい機体ですが、存分に工作を楽しめます。
爆弾もこの段階で接着してしまいました。

塗装

 下面はMrカラーNo.62つやけしホワイト。上面シーブルーには一段明るくして、No89青15号を使ってみました。箱絵の洋上で太陽を浴びたシーブルーのイメージにぴったりです。側面色はインターミディエイトブルーMrカラー72を使いました。
いずれも筆塗りで、境目のぼかしは両色を混ぜて、細筆で書いてぼかし風にしてみました。
 マーキングデカールはエアフィックスの残りを使用。国籍マークだけマイクロから持ってきました。最後に3色の艶をあわせるために、デカール保護も兼ねて、つやけしクリアーをエアブラシで吹いておきました。
脚注はシルバー。プロペラはブラックとしています。
フラップ内側はつやけし赤です。


完成

   ピトー管はシンチュウパイプと0.3mm洋白線の組み合わせで自作し、アンテナ柱も金属線で自作しました。後部をにらむ連装2機銃はシンチュウパイプで付け替えましたが、多少カッコよくなったでしょうか。
 2010年に こういうキットを改めて製作してみますと、つくづくと正確さだけを追う時代は終わったんだなと感じました。ハセガワからもアイドルマスター塗装のキットが発売されるような時代です。
 このドーントレスもオリジナルの雰囲気を大切にするため、外形には一切手を加えていません。手を加えようにも、風防の透明度はどうしようもありませんし、全体のスタイルも直しようがありません。でも、実機のカモフラージュ塗装をすればなんとなくドーントレスらしく見える。可動部満載の楽しいプラモ。それで いいんだと思います。
 また B級キットコレクションに一機加わりました。おつきあいいただき ありがとうございました。




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Vol.17 2010 May.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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