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懐かしのB級キット(第7回)
ヘルダイバー (アオシマ 1/72)

by 田口博通 
  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。
 学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。

 このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指したいと思います。




 この連載 7回目になりました。
今月はすでにこのコーナーに登場した アオシマ1/72のアベンジャー、ドントーレスに続き、 アオシマ 約1/72 ヘルダイバーを取り上げてみたいとます。これで、NAVY 3羽ガラスがそろいました。
 発売は他シリーズと同様、1960年代です。当時は、ヘルダイバーというと、リンドバーグ、エアフィックスとアオシマしかなく、NAVY大戦機を揃えようとすると、国内で一番入手がしやすいキットだったため、それなりに貴重な存在でありました。
 最近は、残念ながら、入手難になっています。スポット生産になっているのか、カタログ落ちしたのか不明ですが、健在を祈りたいものです。
そのため、今回は、10年程前に作った旧作を持ち出してきました。
 
 このキットの売りですが、翼が実機同様に上方に折りたため、また、脚が折りたたみ、キャノピーが可動となっています。
 しかし、今回は 語る資格が全くありません。若気の至りで、何を血迷ったのか、ガタガタの翼可動部を全て固定してしまい、翼形状を実機に近くと整形した上、スジボリを施してしまっていたのです。 今から考えると、つくづく もったいないことをしたものであります。
 このため、今回紹介する作品の写真は オリジナルキットの雰囲気とはかなり異なったものとなってしまっています。皆様の参考にならないやもしれず、申し訳ありません。
 



キットについて

 アオシマのアベンジャーは 同社1/72精密シリーズの中の一機なのですが、このシリーズ自体、プラモデル店で探しても、見かけなくなりました。店頭在庫のみとなっているのかもしれません。 興味のある方はお近く店を探してみてください。
 また、押入れに在庫されているオールドファンも多いと思いますので、模型クラブに入っている方は、先輩モデラーに聞いてみるとよいでしょう。冥土までもっていくよりは、組みたてようという若い人の意気に感じ、もちろんタダで放出していただけることでしょう。
 さて、スケールは1/72となっていますが、少し小さく、デッサンはかなりにラフ。まー、なんとかヘルダイバーには見えるかなといった程度の外見です。
箱絵
 今となっては、スケールモデルとしての価値は ほとんど無いのですが、所詮、50年前のB級プラモデルにスケールモデルの価値を求めようとしても無理というものであります。
 デッサンばっちりのスケールモデルを求める向きには、現在は アカデミーから決定版が発売されております。
 
 このアオシマのキットは、昔のプラモデルの雰囲気を味わいつつ、難しいことを忘れて、子供のように無心に組み立てるところに 現代の存在意義があるのではないか と思います。

組み立て説明書は 1枚で 簡単にまとめた内容です。
しかし、これだけで、充分 完成に持ち込むことができます。

           折りたたみ可動翼の部品
 
説明書



製作 

 説明書どおりに 各部を接着して行けば、とりあえず、確実に形になります。
 胴体は カウリングが一体となっています。カウルフラップのモールドも甘いので、お好みで 少し深く掘っておくと、いいかもしれません。エンジンはラフながら一枚板でついております。
  操縦席の中は 全体が組み立てられた後、筆をさしこんでインテリアグリーンで塗ったので充分です。

 前述の通り、翼の可動機構があり、外翼が上方に折りたためます。可動はガタガタで 仮組みした時に外翼が下がってしまったので、1.2mmプラ板を芯に入れ、固定してしまったものと記憶しています。
 また、翼後縁も厚いので薄くし、フラップの無数の小穴をピンバイスで開けています。 作った当時は「よかれ」と思ったのでしょうが、こんな按配で オリジナルキットの雰囲気から どんどんかけ離れていってしまったようです。
 主脚柱と車輪はそのまま使えますが、脚カバーは厚かったので、0.5mmプラ板で新造しています。
 機首排気管と主翼機銃は シンチュウパイプで置き換え、主翼下面レーダーと 左翼端の上に曲がったピトー管は金属線で作りました。アンテナ柱もシンチュウ線を削って 自作しています。
プロペラとスピンナーはバリ整形だけして、使いました。
 
 このように今回のヘルダイバーは 方向が定まらない 支離滅裂なモノとなってしまっています。



塗装

 1960年代雰囲気で、筆塗りとしました。
いずれも Mrカラーを使い、下面は つやけし白。
上面は インターミディエイトブルーと ミッドナイトブルーの代わりに青色15号(No.89)の3色迷彩です。
 各色の境目は 2色を混合した色を 細筆で塗って 見た目ぼかしています。
キャノピーは枠が多いので、マスキングゾルを使って、塗りわけています。
主翼付け根のフットゾーンは黒つやけしです。
 脚庫内部や脚柱は インテリアグリーンとしました。
後は、小物をチマチマと面相筆で丁寧に塗り分ければ、完成となります。
 デカールですが、キット付属のものでなく、別売りのマイクロデカール在庫があったので、惜しげもなく、おごっています。
冥土までマイクロを持っていっても しょうがないですから、貴兄も ここいらでパーと散財しましょう!

 尾翼のホワイトはラダーの溝にかかるため、マスキングゾルを使って丁寧に塗りわけました。多少、シャープに見えるでしょうか。
 最後に保護のために 全体につやけしクリアを吹きますと、筆ムラも消え、「おっと これが筆塗り?」と 仲間にプチ自慢が出来る いい感じの塗装となります。


完成

 アンテナ線を張って、前方から眺めますと、ヘルダイバー(に近い) 60年代当時のプラモデルとしてのそれなりの雰囲気が味わえるのではないかと思います。
 キットをお持ちの方は、ぜひ 翼の折りたたみメカを生かして、可動でお作りください。完成後の楽しみが倍増します。
 筆者も、また 入手できる機会がありましたら、折りたたみメカをそのまま作って、再びご紹介できればと思います。
 このアオシマのヘルダイバーは デッサンが今二つで 実機とあまり似ていませんが、プラモ作りの醍醐味が充分に味わえる面白いキットです。今回はラフな中に 自作レーダー、ピトー管、はたまたスジボリ主翼が混じるという支離滅裂な作品のご紹介となってしまいました。
 
 またまた B級キットコレクションに一機加わりました。
おつきあいいただき ありがとうございました。




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Vol.22 2010 October.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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