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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第19回)

 エアーフィックス1/72「Bv141非対称偵察機」

by 鳥巣 Torisu           /    



<実機解説>

 1937年ドイツ空軍省は「短距離偵察及び直協機として使用でき単発三座で視野がすぐれている機体」として航空メーカー2社(アラド社とフォッケゥルフ社)に開発を指示した
高翼単葉のAr社案は失敗し仕様にない双発双胴の機体で応じたFw社(Fw189)案が採用された。
これで新型短距離偵察機はFw189に決定するところではあったが
 当局から開発指示を受けなかったブローム・ウント・フォス(以下Bvと表記)社は何故か自主開発で双ブーム式の機体から片方(右側)のブームを取り去り、主翼の位置をオフセットさせた「非対称偵察機」Bv141を提案した
この機体形上の利点はコクピット右側の視界は通常の機体より限りなく広く、大きく左側へシフトした水平尾翼のお陰で後部射手は後方へ気兼ねなく射撃することが出来た。

この非対称の形上はBv社のフォクトー博士が空軍省の要求を満足させることが出来ると強く主張し会社側が受け入れたものである。
空軍省としてはFw189の採用を決定したのでBv社案は不要であったが技術部長のウーデット将軍が応援してしぶしぶ開発を命じた。
試作機(Bv141v1)は1938年2月に初飛行しその奇妙な形にも関わらず搭載したエンジンの出力が低かったことと油圧系統に問題は抱えていたのを除けば飛行試験は良好であったので引き続き開発が続行された。エンジンを出力アップしたBMW801に換装し機体構造を強化したBv141B-1が1941年に初飛行したが既にFw189が配備されている中ではその特異な機体体形上の優位性は見当たらず1942年の春開発中止を命ぜられた。
 飛行機は左右非対称でも飛ぶことが出来ることを実証した航空機史上に残る名(迷)機である



<ブロームフォントス社>

 ドイツ北部のバルト海に面したハンブルク市クーヴエルダー島に所在する造船会社で125年もの間に客船からドイツ海軍のフリーゲート艦まで幅広い艦船を製作している。 1930年から1945年までの間は航空会社ルフトハンザやドイツ空軍向けに航空機を製造しBv141やBv222「ヴィーキング」輸送飛行艇等を製作した。


<キット解説>

 初版は1960年代に発売されたもので全面リベット表現のモールドです
パーツ構成はコクピットとエンジンの付いた胴体部そして翼と行った内容で殆どの部品が翼とエンジンの付く胴体部品です。
キャノピー部品の透明度は良いですが一部窓枠が再現されておりません
 デカールは新規に起こされた物が同封されています
 発色は良いです
デカールと透明パーツ 

箱絵


胴体パーツ

制作

<コクピット>

コクピットフロアー・座席・パイロットの3点で構成されています
計器パネルはありません。キャノピーの窓枠が多いく中が良く見えないのでこれで十分でしょう。
コクピットフロアー内部と座席をクレオスカラーNo116で塗ります
 パイロットをタミヤエナメル「フイルドブルー」で塗り座席に取り付けたらコクピットの制作は終わりです。

<胴体と翼の制作>

<サフ吹き>

胴体と翼のパーツを張り合わせます。
胴体の張り合わせ時に段ズが生じますのでポリパテを盛り付けて段ズレを直しました。
 翼とエンジン胴体及びコクピット間の合わせが一番の難所です
ここはまず翼側のつば部分が大きくてコクピット側の穴に入らないので半分ほどカットした後上下を金ヤスリで削って調整しました。
 調整後ポイリパテで隙間を埋め整形します
ポリパテを#400・800・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削っていきます。
 最後に#2000番で全体を整えたらクレオス#1200グレーサーフエンサーを吹き1日乾燥させたら工作作業は終了です

<モールドの再現>

大根おろし金のようなごっつい全面リベットモールドでしたのでポリパテと共に全て削り落しました
サフ吹きが終了した後モデラーズのマスキングテ
ープとトライツールのテンプレートを用いて動翼部や大きく目立つタテヨコのパネルラインだけを再現しました。72のスケールだとこれぐらいでお手軽に充分感じが出ます。


<塗装>

インストにはスプリッター迷彩と試作機用のRLM65カラーの2種類が載っています。
今回は手軽に塗れるRLM65カラー単色を選びました(1944年にこの色が使われていたかは個人的に疑問ですが)
 
クレオスカラー「RLM65」を全体にハンドピースで吹き付けたたら動翼部やパネルパネルラインにクレオスNo40「ジャーマングレー」でシャド吹きを施した後再度RLM65をオーバースプレーして全体にメリハリを付けました。
仕上げにエナメルの黒と茶色をブレンドした色でウオッシングを施しました


<キャノピーとデカール貼り>

 障子の枠のようなキャノピーです
一部再現されていないのでインストや実機資料を見て筆塗りで再現しました。
マスキングせずフリハンドで窓枠を筆で塗りました。はみ出した個所は乾燥前にツマヨウジでほじほじと地道に削り落しました。
 
デカールの発色は良いのですが糊が弱いのでマークセッターを塗り補強しました。ここでの注意することは翼下面のバルカンクロイツの端の部分がフラップのアクチュターに被りフイットしません。ここはカットして塗装することをお勧めします。




<完成>

 デカールを貼ったら最後に機体上部のアンテナと主脚と尾輪・ピトー管を取りつけてクリアーを吹いて完成です

今回は10数年ぶりに再販された航空機史上に残るエァーフイックス社「Bv141非対称偵察機」を作る機会を与えてくださった編集部に感謝です
参考資料

佐貫亦男著「続・飛べ飛行機」
インターネット検索サイトから機体解説を入手





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