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イギリス博物館めぐり(その24)
ウェストランド・ライサンダーMK.III
Westland Lysander MK.III

小柳 篤司    コヤナギアツシ       . 

 ウェストランド・ライサンダーとは、第二次大戦で活躍した直協機です。
1935年4月にイギリスの航空省は、ホーカー・ハート系のヘクター複葉機の後継機として、弾着観測、対地攻撃、連絡等、陸軍の軍事作戦を支援する直協機の仕様書A.39/34を提示した。
イギリスのウェストランド社が開発したライサンダーは、下方視界を確保する為に高翼単葉機で、低速飛行と短距離離着陸の為に主翼前縁にスラットを配し、降着装置は前線で運用する為に頑丈な固定脚とした。原型機は1936年7月15日に初飛行し、量産機は1938年6月から配備され、第二次大戦が始まった1939年には6個飛行隊がヨーロッパに派遣された。

1939年7月から1940年5月までフランスに174機派遣されたが、約半数の88機が撃墜され鈍足のライサンダーは餌食になる事が多かった。ダンケルク撤退後は救難、掃海等に用いられた。
 ライサンダーは鈍足でも短距離離着陸性能が優れていた為、1941年にスパイ潜入、レジスタンス支援等の特殊任務用のMK.IIIが開発され、ドイツ軍がフランスから撤退する1944年迄に約400回の任務を実行した。
撮影時期:2010年7月 撮影場所:ロンドンRAF博物館
http://www.rafmuseum.org.uk/
撮影時期:2010年7月 撮影場所:ダックスフォード戦争博物館
http://duxford.iwm.org.uk/

写真(1)機体の左側面。後部胴体は羽布張りです。


写真(2)機体の斜め前。スパッツの前方に着陸灯が装備されています。


写真(3)機体の真正面。カウリング下にキャブレターの空気取り入れ口が有ります。


写真(4) ロンドンRAF博物館で静態保存されている機体のエンジンカウリング。


写真(5) フライングレジェンド・エアショーで飛行した機体のエンジンカウリング。
 ブリストル系空冷星型エンジンは、シリンダーからの排気をカウリング前面
のコレクターリングに集め集合排気管から後方に吐き出します。カウリング前
面は排気管の一部で、動態保存されている生きた機体のカウリング前面は、赤
茶色と青黒に焼けた金属の色です。身近な例では自動車の排気管や、台所の
ガス台の色です。実際は銅製でないのに関わらず資料によって銅色と表記され
る場合も有りますが、赤茶色に焼けた金属色と言う意味では間違いでは有りません。


写真(6) 特殊任務に従事した機体は、コクピット後方に補助燃料タンクが装備されました。


写真(7)後部胴体の左側面。


写真(8)機体の斜め後方。



写真(9)主翼下面。主翼前縁のスラットが見えます。



(写真10)前部胴体の右側面。集合排気管はカウリング右側です。


(写真11)ダックスフォード戦争博物館の展示機
 ライサンダーは前線で運用される為、スパッツ内に草や泥等が入る事が有るので、
スパッツ側面のカバーを外す事例が有りました。


(写真12)フライングレジェンド・エアショーのデモフライト。主翼平面形の特徴が分かります。



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