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 青島プラモ日記(その1)
 F-89J スコーピオン (アカデミー 1/72)

by 田口博通 

 
 ここ中国、山東省青島に1月に赴任して5ヶ月。久しぶりに プラモデルを作りました。
アカデミーのF-89 スコーピオンです。
 スコーピオンといえば、その昔 レベルのノンスケールを作ったことがありますが、あれはあれで面白かったものでした。
 
 青島のただ1軒のプラモ店はその名もタイガー模型といい、新市街を貫く香港中路のど真ん中、書城の角を曲がった所にあります。狭い店ですが、トランペッター、ドラゴンなど中国メーカーキットの他、アカデミー、タミヤの戦車、ハセガワの飛行機なども置いてあります。塗料はMrカラー、タミヤカラーも基本色ならば置いてあります。若いおとなしそうなお兄ちゃんがいつも店番をしていますが、彼は店主?
 青島は中国の東北部、山東半島の先端にあります。気候的には湿度が低く、涼しめ、梅雨が無く、冬は雪はないが凍えるほど寒いので、北海道の気候に似ているかもしれません。第一次大戦末まで、ドイツの本拠地だったことは皆様ご存知のとおりです。ドイツ人にとっては故郷の気候に似ていて過ごしやすかったので、青島を選んだのかもしれませんね。
 青島はドイツの伝統を受け継いでドイツ系の地ビール発祥の地。旧市街にはビール博物館もあります。現在では青島ビールという中国NO1ブランドの有名ビールがあり、初夏になってきた最近はやはり夜はビールで乾杯! ウメー~
 もとい、話を戻します。 現在の青島はその良好な湾を生かして中国海軍の本拠地になっていて、私の住んでいる山東路を北に1kmほど行くと なにげに潜水艦学校があったりします。
 海軍博物館もあるそうなので、それはまた別の機会にリポートしましょう。
 

 さて、本題のスコーピオンですが、59元で買い求めました。日本円換算で1000円弱というところでしょうか。
 道具も何も日本から持ってきていないので、とりあえず、カッターナイフと安いニッパー、 タミヤの流し込み接着剤を買い込み 休日の午後 製作を開始です。
コクピットは全ての部品を組み付けてみました。ここまでで30分。
日本にいたときは、コクピットは塗装手順を考えながら組み込みに時間がかかることが多く、実はシート作成前に放り出してしまうことが多かったもの。
今回はシートまで組み込んでしまいました。
(無塗装なので当たり前なのですが)
いきおいで、操縦桿も接着してしまいます。

機首は錘を入れる必要があります。青島市内中心のデパートといえばジャスコやマイカルです。日本ではスーパーショッピングセンターですが、ここ青島では立派なデパートとなっています。
この中に 釣具コーナーがあるはずもなく、鉛のオモリは当然手に入りません。
で、結局 ランナーの切れ端を入れてみましたが、さすがに重さが足りません。で、半分には 道路わきの工事現場の廃材置き場に木ねじやボルトがささっていましたので、それを拾ってきて詰め込んでいます。
青島は現在、超バブルの真っ只中。新市街には上海の浦東のような超近代的なビルが立ち並びまして、マンション転がしで しこたま儲けた中国人のベンツやらBMWやら、やたら高級そうな車が市内いたるところに乱雑に路駐しております。その脇では、市内中、建設ラッシュで、さらに田舎から出稼ぎに出てきた汚れた服のおっちゃん達が道路を掘り返している工事現場がいたるところにありまして、ここはソドムかゴドムか、やはり中国の田舎都市か・・。 中国の貧富のダイナミックレンジの広さを痛感する毎日であります。
いたるところ廃材の宝庫。質素な日本人はもったいない精神を発揮し、何でも拾ってまいります。

 胴体左右にコクピットと脚収納庫、排気口などをはさんで流し込み接着剤で接着。さすが、現代のキット。まあ難しいことをいわなければ 合っているといえるでしょう。 機首と翼をつけなければ、案外とふっくらとしたイメージです。 胴体下面は別部品になっていますが、合いはさすがに悪し。目立ちますので、普通ならば、ここは接着後、ペーパーで段差を消すところなのでしょうが、耐水ペーパーも手に入らず、そのままで進行します。昔 ハセガワのA-6イントルーダーで同じ経験をしたことを思い出しました。

主翼は後縁も薄く、流し込み接着剤で上下を接着。
胴体との組み付けは ぴたっとまではいきませんので、上面優先で合わせ,下面の隙間は無視することにします。
機首と機首両サイドのジェットインテークも接着します。
普通ならば、この状態でペーパーで整形して、下地にサフェーサーを吹き、
塗装に臨むところですが、ここでは、また、そのまま進行します。




尾翼、翼端タンクを接着し、脚、車輪、脚カバー、爆弾パイロンなど細かい部品もさっさと全て取り付けて、一応の本体完成です。
あとはデカールを貼って、キャノピーを取り付けるのみ。
半日の作業でしたが、プラモ組み立てを充分 堪能しました。

惜しむらくは、モールド色がグレーなので、実感が今一つ。
これが昔ながらの銀モールドならば、塗装せずとも、これでも立派に見られることでしょうに。 銀モールドのキットが懐かしい!

 今度日本に帰ったら、押入れの底から 銀モールドの代表 モノグラム48 P-38Jを取り出して、無塗装でもこんな風に形にしてやりたいと思っております。 結局作れずに墓場まで持っていくより、たとえ無塗装でも 形にしてあげれば、プラモはどんなに 幸せなことでしょう。
というより、すごくすごく贅沢な作り方かも。
 それでは、来月また、 再見!



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Vol.30 2011 June..      www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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