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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第22回)

エッシー1/72「F-100Dスーパーセィバー」 

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

<ヴェトナム戦争とF-100D>

 F-86の成功を収めたノースアメリカン社は次にF-86の超音速化を検討していた。
当初はF-86D(セイバードック)の主翼と尾翼45°の角度にした物であったが1950年に勃発した朝鮮戦争でMig-15と遭遇すると急きょこれを超える性能を持つ機体の開発が急がれた。
当初のF-86の設計を流用した機体とは全く異なり当時最新鋭の空気力学に基づいた低翼配置の細いクサビ型の胴体を採用した機体として開発され1953年5月25日YF-100Aとして初飛行した。
アメリカ空軍初の超音速戦闘機としてF-100Aとして1954年9月に採用されたがダイブ中に操縦不能に陥る事故が多発し一時飛行停止になるも改修を施され203機生産された。
F-100Aは20mm機関砲4門で機外搭載能力は無しと言う限定的な制空戦闘機で有った為エンジンをパワーアップし翼下に6つのハードポイントが取りつけれたF-100Cが1955年に初飛行しA型と随時更新されていった。
C型の成功後、戦術核兵器を搭載できる本格的な戦闘爆撃機型であるF-100Dも開発が進められていて1956年1月に初飛行した。当時の米ソ冷戦時代を反映してこの機体がF-100Dの主力生産型となりアメリカ空軍・フランス・デンマークに採用され西側陣営の戦術機の一翼を担った。


アメリカがベトナムの内乱に介入する以前にすでに隣国のラオスで共産軍に対する秘密軍事作戦が行われており空軍も輸送や地上攻撃などの支援活動を行っておりタイに配備されていたF-100もラオスへの航空攻撃に参加していた。
1964年に「トンキン湾事件」により北爆が開始されると爆撃ミッションのF-105をエスコートする名誉あるミッションに就くがF-100のエスコートを潜り抜けたMig―17によりF-105が撃墜されると言う屈辱を浴びた以降エスコートミッションから外され主に南ベトナム内の共産軍攻撃に当てられた。地上部隊のへの航空攻撃支援と言う当時の空軍としては最も危険なミッションではあったが共産軍の攻撃から孤立する地上部隊からは大変な感謝を受けた。F-100の南ベトナムでの地上攻撃ミッション(南爆)は南ベトナムで活動する攻撃機の中では最多のミッション回数を誇りアメリカの地上部隊がベトナムの地を離れる最後の時までその任務を全うしたのである。

F-100D諸元

全幅:11.83m
全長:15・04m
全高:4.93m
全備重量:15.445kg
エンジン:J-57-P-21
推力   :          4.627kg
アフターバーナー推力:      7,258kg
最大速度:1,465km(高度10,700m)
戦闘半径:860km
装備品:Mk39・20mm機関砲×4
ハードポイントに1,810kgの爆弾及びミサイル



<キット解説>

エッシー社後期の製品で全体に凹モールドが施され繊細な印象を受けるキットです。
細部パーツは少々細いので取り扱いには注意してください
装備品はサイドワインダーAAM
ブルパップミサイルと言ったミサイルオンリーです
デカールは
ベトナムに参戦した481TFS
SEAスキームのアーカンソANG
シャークマウスのフランス空軍
デンマーク空軍
の4が入っています
サービスてんこ盛りです(笑)
透明パーツは透明度が良い物です


箱絵


胴体パーツ

制作

<コクピット>

バスタブ型のコクピットフロアーに計器パネル・ステイック・座席の4点構成です
コクピット内部はクレオスの「エアークラフトグレー」を塗った後計器パネル・ステイック・座席の順に取りつけます
サイドコンソールのデカールが何故か入っていないのでジャンクデカールでそれらしく表現しました。
座席が残念な形なのですがシートベルトのデカールを貼ってそのまま取りつけました。


<胴体と翼の取り付け>

クピットが組み上がったら先に錘(六角ナット)を機首に入れて胴体に取りつけます。
次に翼を胴体に取りつけます
翼の上下を張り合わせる前に必ずパイロンと給油プローブの取り付け穴を開口してください。これを怠ると最悪の事態を招きます
パイロン穴をあけて上下の翼を張り合わせたら胴体に翼を取りつけます。
胴体と翼が干渉し合うので胴体後部下面を削ってすり合わせをして取りつけます。

<パテ修正とサフ吹き>

胴体と翼を結合したらスキ間と段ズレを修正します
スキ間は胴体の貼り合せ部で段ズレは胴体とエアーインティクの結合個所に発生しました。
それぞれタミヤのプラパテを盛り付けた後紙ヤスリの#400・800・100・1500と削り上げて仕上げにグンゼの#1200缶サフを吹いて基本工作は終わりです




<消えたパネルラインの掘り直しと下地塗装>

サフの乾燥後消えたパネツラインをインストや資料集を見ながら掘り直します。
細かいところまで再現しようとするとキリが無いので大きいラインだけ掘り直します。
今回はシルバー塗装の作例なので下地「黒」を塗りました。
下地の黒としてガイアカラー「ピュアブラック」を使いました。





<塗装>

シルバー1色の機体ですが3種類の銀を使い分けて単調にならないように塗りました。
基本塗装・Mrカラー「8番」シルバー
動翼と胴体後部Mrカラー「スターブライトシルバー」
前年フラップ・カラー名不明(笑)
   多分銀と白をブレンドした物
以上3種類の銀を使い塗装しました。
エンジン部の汚れにはMrカラー「ダークアイアン」をハンドピースで細く吹き付けた後乾いてから麺棒でこすりつけて汚れを施しました。
基本塗装後エナメルの「黒」でウオッシングを追加で施しました




<デカール貼りと仕上げ>

塗装が終ったらデカール貼りです
エッシーのデカールは経年劣化が激しいのでお湯に浸したときにバラバラにならないように先ず保護剤を塗って乾かしてからお湯に浸します。
使用した保護剤はマイクロスケールから発売されているデカール保護剤です。海外製品を取り扱う大きい専門店で入手可能です
文字やマークの縁ギリギリにカットしてお湯に浸しデカールを貼り付けます。ここはゆっくり慎重に台氏から剥がしてください。力を入れてしまうとデカールが切れてしまいます。
ゆっくり時間を掛けて作業してください。
デカールを張り終えて乾燥している間に脚や細部部品の組立や塗装を済ませます。



<仕上げ>

今回装備品はMk-82爆弾4発と外部燃料タンク2個とシンプルな物にしました。
Mk-82はジャンクパーツのフジミA-6から持ってきました。
Mk-117でも良かったのですがこれはF-105用にストッックしてあるので手を出しませんでした。
デカールの感想が終ったら塗装を済ませた細部部品を取りつけます
ピトー管が折れやすいのでここは一番最後に取りつけましょう
制作中にピトー管を折ってしまいイタレリのF-100Fから急きょもぎ取りました(苦笑)
細部部品を全て取りつけたら半光沢クリアー吹いてデカールの剥離を防ぎます。
仕上げにクレオス「MrスーパークリーUVカット」を吹いて完成です。



今回も今は無きエッシー社1/72「F-100Dスーパーセィバー」を作る機会を与えて下さった編集部に感謝です





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Vol.30 2011 June    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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