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 青島プラモ日記(その2)
続 F-89J スコーピオン (アカデミー 1/72)

by 田口博通 
 
 先月の第一回で、ここ中国は山東省青島に1月に赴任して5ヶ月。久しぶりに プラモデル アカデミーのF-89 スコーピオンを作ったことをお話しました。 今月はその続きです。


写真は青島湾の海軍博物館に浮かぶ 中国海軍の駆逐艦
 
  先月書きましたが、青島は 現在はその良好な湾を生かして中国海軍の本拠地になっていますが、その昔 第一次大戦末まで、ドイツの本拠地だったことがあり、ドイツ風の教会や洋風建物が旧市街いたるところに、たくさん残っていて、それが異国情緒を醸し出しています。
 実はあまり日本では 知られていないことなのですが、 青島が第2次大戦後 アメリカ海軍の本拠地だったことがあるのです。1945年から1949年6月までの約4年間 青島には、東アジア最大のアメリカ海軍基地がありました。後に第七艦隊となる西太平洋海軍部隊の総司令部が置かれ、青島がその母港だったのです。それで、アメリカ海軍基地時代の施設が多く残っています。1949年に国民党支援を断念して撤退し、横須賀に第七艦隊の司令部が置かれた以降は皆様ご存知のとおりです。 

F-89J スコーピオンの続き



 さて、本題のスコーピオンですが、59元で買い求め無塗装で組んだものの 欲が出ました。
 6月のある土曜日 勤めの帰りにバス(中国語では公共汽車といいます。では 鉄道の方はというと、こちらは火車といいます。なるほど、なるほど)を書城で降りて、青島で唯一の模型店 タイガー模型 に行き、シルバーとつやけし黒、赤、オリーブドラブの4色のMrカラーを買って帰りました。実はこの模型店の名前 はしょって書きましたが、 本当は 飛虎模型店 つまり フライングタイガーというのです。中国ではシェーン ノートのP40の思い出がこんなところにも 生きているようです。
余談ですが、この模型店の隣に リッチベーカリーという韓国系のケーキ屋さんがあります。ここのチーズケーキが モロゾフのチーズケーキと似た味で 大変美味。タイガー模型を覘いた帰りに 忘れずに、買って帰ります。
これも 青島の生活の数少ない楽しみの一つでしょうか。
で、ケーキ屋の帰りに書城の4階に立ち寄り、習字用の細筆1本と面相筆を3本買いました。次の日曜に塗装開始です。

 全面シルバー塗装にするために、まず、全体をつやけし黒で筆塗りしました。ありあわせの習字用の細筆ですが、それなりに塗れてゆきます。多少 筆ムラがあっても大丈夫としましょう。コクピット内もグレーで塗装すべきでしょうが、グレーがありませんので、つや消し黒を筆をつっこんで塗っておきました。これで 闇夜のカラスとなりました。おっと忘れるところでした。ジェット排気口の中、 脚とタイヤもつや消し黒で塗りつぶします。

 次の工程は 機首のアンチグレア部と翼端タンクの主翼側につやけし黒を残して、シルバーに塗ります。といっても、マスキングテープや マスキングゾルなどといったしゃれたものが売っているわけもなし。ここは、近くのコンビニでセロテープを買ってきまして、それをエンビタッパーのふたの上で 細切りにし、マスキングしました。機首先端の黒部も同様にセロテープでマスキングしておきます。
 

 で、安心して、全面を シルバーで筆塗りしました。4回くらい筆の方向を変えて 塗り重ねると、ほぼ筆ムラが見えなくなりました。翼端タンクのREDになる部分にも下塗りをかねて、シルバーを塗っておきますと、発色がよくなります。ここで、この日曜日は時間切れと相成りました。
 で、その夜は、筆を包丁に持ち替え、ジャガイモとたまねぎ、豚肉を切り、肉じゃがの夕飯に取り掛かりました。 肉じゃがと 青島ビールの組み合わせの簡単な夕飯ですが、毎日 社食で 中華を食べ飽きている身には 存分のご馳走でありました。

 次の日曜日、全面 同一シルバーを見ると、いさかか単調。 主翼のところどころを 適当にセロテープでマスキングしまして、銀に少しつやけし黒を混ぜたカラーで塗り分けました。
最後に面相筆の方向をそろえて、こすり気味に金属表面のヘアラインタッチをつけまして、シルバー塗装、完了です。
 コクピットの計器部分を先に塗ったつやけし黒の上から、シルバーでドライブラシすると、おっと、計器類がそこに浮かびあがりました。
 手抜きですが、なかなか楽しい一瞬でした。

 翼端タンクは赤をやはり数回、筆で塗りムラが見えなくなるまで塗り重ねました。ヘッドレストも赤に塗ると、シートがそれらしく見えるようになりますから、不思議なものものです。
 キャノピーも細切りセロテープでマスキングし、つや消し黒で下塗りした上にシルバーを丁寧に塗ります。

さてさて、マスキングのセロテープをはずしますと、立派に隙間から塗料がはみ出しておりますが、なんのその。最後に、面相筆で、各部のはみ出しを修正しまして、今日で塗装完了です。




 また、次の日曜日、今日は 一日 雨。お家に こもって 半日デカール貼りです。皿に水をはり、デカールを浸水し、それっと貼り出しましたが、アカデミーのデカールは糊が薄く 貼ったそばから剥がれて行きます。
 ウーン。 しかたなく、雨の中 コンビニに。日本と同じように文具も売っており スティック糊くらいならあるのではないかと期待をせずに行ったところ、いいものがありました。液体糊(LIQUID GLUE)です。
これを面相筆で塗りながら、デカールを貼ってゆきますと、問題なく 貼れました。 液体糊さまさまであります。
最後に キャノピーを乗せ、完成。

夕食は、出来上がったばかりのF-89を眺めながら、缶ビールで 乾杯です。やったね!




アカデミーのスコーピオンですが、なかなかいいスタイルです。
すみ入れをしていませんが、昔はすみ入れなどしていなかったんですよね。懐かしい仕上がりとなりました。 そういえば、なんでもかんでも 凹彫り、エナメルすみ入れでなければ、飛行機モデルとはいえない などという風潮があることを思い出しましたが、そんな狭い話 どうでもよくなりました。自分で満足して完成を楽しめば それに勝るものはありません。

 お金をだせば なんでも揃うのが当たり前となってしまっている日本のプラモシーンですが それも考えてみれば なんだか日本だけの異常なお話。そういえば 最近 スミイレ専用エナメルが発売されたそうですね。プラモ作りも工夫を必要としなくなったようで、 いつのまにか飽食の時代に入っているようですが、日本にいると気づきにくいこと。
異国の地で、ありあわせのもので プラモデルの完成を目指すのも また楽しいものでした。
 それでは、来月また、 再見!



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Vol.31 2011 July..      www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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