Home >今月のハイライト> Photo特集 イギリス博物館めぐり(その26)グロスター・グラジエーターMk.2 Gloster Gladiator Mk.2


イギリス博物館めぐり(その26)
グロスター・グラジエーターMk.2
Gloster Gladiator Mk.2

小柳 篤司    コヤナギアツシ       . 

 グロスター・グラジエーターはイギリス最後の複葉戦闘機で、第二次大戦初期に活躍しました。
1930年イギリス空軍省は次期戦闘機に、最大速度400km/h以上、7.7mm機銃4丁装備し上昇力と運動性に優れた戦闘機を求め要求仕様F.7/30を提示した。
スーパーマリン、ウェストランド、ブラックバーンの3社が試作機を受注した他、ブリストル、ホーカー等の6社が自主開発した。グロスターは現役のグロスター・ガントレット複葉戦闘機の発達型SS.37で応じ、原型機は1934年9月12に初飛行した。グロスター社以外の試作機はどれも要求を満たさなかった為、1935年に空軍省はグロスター社の複葉戦闘機を選び、新たな要求仕様F.14/35を提示して23機を発注し、1935年7月1日に量産型はグラジエーターMk.1と命名された。
 グラジエーターの機体構造は全金属製のフレームで前部胴体はアルミ板張りだが、後部胴体、主翼と尾翼は羽布張り、セミモノコック構造が普及する前の標準だった。翼間支柱はガントレットの片側4本から2本に減り、主脚は1本の片持ち式、イギリスで初の密閉風防を装備等、最後の複葉戦闘機らしく洗練されていた。エンジンは空冷星型ブリストル・マーキュリーIX(830HP)で、排気炎でパイロットが目が眩まない様、エンジン・カウリング前面のコレクター・リングから集合排気管を通して胴体下面で排気した。
 
1934年のイギリス空軍戦闘機は未だ複葉のブリストル・ブルドッグが第一線機で、1935年から1936年には複葉のグロスター・ガントレットが最後の複葉戦闘機になる筈だったが、ナチスの台頭で風雲急を告げる世界情勢を受け、空軍省は一刻も早い戦力増強の為、単葉戦闘機のハリケーン、スピットファイアが実用化される迄の繋ぎとしてグロスター・グラジエーターを発注し、1937年終わりまでに180機を引き渡す様要求した。ヒトラーとチェンバレン両首脳間のミュンヘン会談が開催された1938年9月30日には、ハリケーンの実戦部隊は2個飛行隊のみ、2個飛行隊は訓練中。他の25個飛行隊は、未だ複葉戦闘機のグラジエーター、ガントレット、フューリーを配備していた。徐々に後継のハリケーンと交代し、第二次世界大戦が始まった1939年9月1日にグラジエーターは、114機が8個飛行隊に、38機が予備飛行隊に配備されていた。グラジエーターは既に旧式化していたが直ちに実戦に投入され、ヨーロッパ戦線、北アフリカ戦線で活躍し、1940年のマルタ島攻防戦では「誠実:Faith」「希望:Hope」「愛:Charity」と命名された3機のグラジエーターが活躍した伝説を生んだ。グラジエーターは第二次世界大戦前に、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ベルギー等の世界各国に輸出され、フィンランド空軍機は1939年から1940年まで、ソ連とフィンランド間の冬戦争で活躍した。イギリス空軍最後のグラジエーターは1944年に退役した。
撮影時期:2010年7月
撮影場所:ロンドンRAF博物館
http://www.rafmuseum.org.uk/

写真(1) 機体全景、左斜め前から。


写真(2) 3翅プロペラとエンジンカウリング左斜め前。


写真(3) エンジンカウリング下部。


写真(4) エンジンカウリング開口部。


写真(5) エンジンカウリング右斜め前。


写真(6) 固定脚と主車輪。


写真(7) 水平尾翼と尾輪。


写真(8) 主翼内側支柱とコクピット。


写真(9) 胴体右側面。前部胴体は金属製です。


写真(10) 翼端と主翼外側支柱。


写真(11) 主翼下面と機銃のフェアリング。


写真(12) 機体全景、右斜め前から。


写真(13) 羽布張りの後部胴体と尾輪。


写真(14) 主翼と後部胴体の上面。


写真(15) コクピット。



Home >Photo特集 イギリス博物館めぐり(その26)グロスター・グラジエーターMk.2 Gloster Gladiator Mk.2

Vol.32 2011August..   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について

資料記事

TOTAL PAGE