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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第25回)

エアーフイックス1/72「F-4Dスカイレイ」

by 鳥巣 Torisu           /    



 

<実機解説>

WW2末期に日本軍の特攻機の恐怖にさらされたアメリカ海軍は機動部隊や艦船を守る高速の迎撃戦闘機を求めていた。
1947年海軍機メーカーの老舗の一つであったダグラス社にも艦隊防空要撃機の開発指示が海軍から出され当時社内で開発中だったD-571と呼ばれるデルタ翼機を提案した。
この提案を受けた海軍当局は1949年に正式にXF-4Dとして発注した。
試作機は1951年1月21日にエドワーズAFBで初飛行を行った。しかし当初から搭載しているウエスチングハウスJ40ジエットエンジンの推力不足やデルタ翼機特有のピッチアップ癖で実戦配備は大幅に遅れ推力のアップしたP&W社J57エンジンに換装しピッチアップ癖をある程度治し火器管制装置も信頼の置ける物に交換した量産型が配備されたのは1956年4月であった。
海軍と海兵隊に配備されたスカイレイは持ち前のスピードと上昇力で艦隊や海外基地の防空任務に就き海軍基地のみならずアメリカ本土の各地にローテンション配備されソ連の爆撃機から本土を守る任務に就いた。
惜しむらくはレーダーを搭載し全天候能力を持つにもかかわらず装備したミサイルが短射程の目視誘導式のサイドワインダーであった事である。
(性能)
全幅・10.21m
全長・13.93m
自重・7.270Kg
最大速度・1,118Km
航続距離・1.930Km
武装・20mm機関砲×4
   外部パイロンに
1.814Kg



<キット解説>

おそらく1970年代後半に作られたエアーフイックス社の製品で実機に近いパネルラインが凸モールドで表現されています。
脚収納部やコクピット内部はメリハリの付いたモールドで再現されていて好感が持てます

箱絵

制作

<コクピットから>

フロアーと前脚収納部を兼ねたパーツとメインパネル・サイドパネル・隔壁・座席の5点のパーツで構成されています。
惜しいことに計器パネル類は全くありません。
ジャンクデカールを流用する事を考えましたがパイロットを乗せてキャノピーを占めるとあまり見えなくなるのでパネル面を黒く塗りつぶして済ませました。
座席は実機に近いデテールが入っており良い感じです



<胴体と翼の組立>

<パテ処理>

コクピットが出来たら胴体を組みます。
機首に錘を入れ、主脚格納部・エアーインテークの内側の整流板・エンジンノズルの順番に取り付けます。
機首部を上向きにして3点姿勢を取る機体なので、尻もちを着かないように多めに錘を入れました。
錘を入れたら左右胴体の貼り合わせを行います。胴体を輪ゴムで縛り1晩程置いたら主翼を取り付けます。ここでこのキット最大の隙間が胴体と主翼の接合部に発生します。
その他にもエアーインテークの取り付け部やレドーム周囲にも隙間が発生しました
発生した隙間にタミヤのポリパテを盛り付け1昼夜置きました。
パテが乾燥したら紙ヤスリ#400・800・1000・1500と番数を上げて整形します。
仕上げに#2000番で全体を整えました
ついでにエアーインテークの縁が厚かったのでリューターで削り薄くしました。




<サフ吹きとモールドの掘り直し>

今回はガルグレー塗装の艦載機だったのでMrカラーのグレーサフを使わないでタミヤのホワイトサーフエンサーを使用しました。
グレーサフよりはガルグレーの発色が少し明るく見えました。
サフが乾いたのを確認してからペパー掛けで消えたモールドをトライツールのPカッターとテンプレートで大きな直線部分のみ掘り直しました。機首周りは細かいパネルラインがあるのですが国籍マークや機番のデカールを張ると見えなくなりそうだったので掘りませんでした。



<塗装>

先ず機体全体をMrカラー69番「グランプリホワイト」を塗り動翼と機体下面をマスキングテープで覆いMrカラー315番「ガルグレー」で塗り分けました。
全体塗装が終わったらレドームと機首のアンチグレー部をMrカラー40番「ジャーマングレー」で塗り分けました。

レドームはアクセントとしてセミグロスブラックやカウリング色で塗り分けても良いでしょう・
最後にエアインテークの縁をMrカラー「RLMレッド」で塗り分けて基本塗装は終わりです。


<ウオッシングとデカール貼り>

塗装が終わったらウオシッシングを施して塗装のメリハリを付けます。ウオッシングにはタミヤ「スミ入れ塗料ブラック」を全体に塗り付けエナメル溶剤を含ませたティッシュで拭きとりました。
ウオッシングが終わったらまた1昼夜置いてからデカール貼りを行います。
デカールは経年劣化が危惧されたのでスーパースケール社のデカール保護剤を塗りました。
デカールの縁ギリギリにカットして使用しました。
やはり経年劣化で糊が悪くなっておりなかなか機体にフイットして貼ることが出来ませんでした。
そこでクレオスMrマークセッターを上から塗り軟化させて貼りました。特に背中の赤いひし形のデカールをフイットさせるのに苦労しました。
貼った後のデカールの発色は思ったほど悪く無かったです
マーキングは現在F-18Fに改編し厚木基地に在住するVF-102「ダイヤモンドバックス」です
背中のレッドのダイヤモンドが映えます




<細部パーツの取り付けと仕上げ>

キャノピー・脚と脚カバー・ドロップタンク・ミサイル(サイドワインダー)を取り付けます
キャノピーはちょっと高さが有り過ぎるのと合いがイマイチですが実機の特徴を良く捉えています。
脚を取り付けるダボ穴が小さいのでピンバイスで大きく開口しました。
サイドワインダーは72サイズにしては細すぎたのでフジミのA-7の物と交換しました。
細部パーツを取り付け終わったら仕上げのクリアーコートを行います。
今回はツヤを出したかったのでクレオス「MrスーパクリアーUVカット」を吹き付けて仕上げました。
タミヤからスカイレイのキットが発売されてお役御免となったエアーフイックス社のスカイレイですが発売当時としてはなかなか良くできたキットだと言う事を再認識させてくれました。
今回エアーフイックス社のF-4Dスカイレイを作る機会を与えて下さった編集部に感謝です
参考資料
文林堂・世界の傑作機No12「ダグラスF4Dスカイレイ」
文林堂・「アメリカ軍用機1945~1987海軍/陸軍編」







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