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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第27回)

マッチボックス1/72「F6F-3ヘルキャット」

by 鳥巣 Torisu           /    



 

<実機解説>

1939年9月に勃発したWW2当初アメリカはまだ参戦していなかったが欧州での航空戦の情報を入手しておりその時判明したことは海軍で実戦配備に付き始めたグラマンF4Fの性能ではこれからの空中戦では勝てない事であった。
そこでアメリカ海軍はF4Fを上回る速度と火力そして充分な防弾装備を持った戦闘機を求めて新戦闘機としてチャンスボート社に2000馬力の大型戦闘機「コルセア」を開発させた。
しかしコルセアは非常に大胆な機体設計だったのでその開発に危惧を覚えた海軍はグラマン社にバックアップとしてF4Fに1600馬力のエンジンを搭載した改良型の開発を指示した。
これが後のF6F「ヘルキャット」の誕生である。
当初F4Fの改良型として開発したF6ではあったが試作機のXF6Fの評価は太平洋でゼロと交戦したパイロットからは不評で「単なるF4の改良ではダメだ」と言われゼロを凌駕する性能を求められた。ここにきてグラマン社はコルセアと共倒れになるのを嫌い採用を躊躇っていたダブルワスプエンジン(2000馬力)を搭載しコルセアよりパイロット視界を良くしたXF6F-3を1942年初飛行させた。
グラマンの狙いは的中し多くのパイロットから好評を得て先発のコルセアを押さえて一躍海軍の主力戦闘機となった。1943年に始まった太平洋におけるアメリカ海軍の反攻作戦の先兵となり終戦まで闘い続けた。
(FAAのヘルキャット)
イギリスは海軍航空隊の所属機として武器貸与法によって送られたF6F-3をそれまで使用していたシーハリケーンの代わりとして1943年春に採用した。
初陣は43年ノルウェーの沿岸の艦船攻撃でその後44年の戦艦ティルピッ攻撃の上空援護や45年の太平洋スマトラ島の日本軍攻撃に参加し終戦まで極東や太平洋方面で使用され続けられた。

緒元
全長:13.06m
全幅:10.24m
全高:3.99
翼面積:31.03㎡
全備重量:5.163Kg
エンジン:R-2800(2000HP)
最大速度:605Km
航続距離:1750Km
武装:12.7mm×6



<キット解説>

1976年にイギリス「マッチボックス」社より発売されたキットです。
表面のモールドは俗に言う「運河掘り」と言われている太い凹ラインが翼に掘られています。また、胴体は凸モールドと言う変則な表現です。
機体のアウトラインはちょっとオモッチャぽく見えますが特徴を上手く捉えています。
部品数は少なくビキナーでも簡単に組み立てられそうです。

箱絵

制作

<コクピットから>

座席とコクピットフロアーが一体化されたパーツとパイロットフィギアーの2点のみで構成されています
計器パネルやスティック類は全く有りません
パイロットを乗せてキャノピーを付けると中はあまり見えなくなるので追加工作をしませんでした
コクピット内部とフロアーを昔ながらのクレオスNo27「機体内部色」(連合軍機用)で塗り座席は銀で塗り分けました。


<翼の組立>

主翼は上面と下面に分かれていて両面を張り合わせて組みます
私の入手したキットは主翼左側の外翼部分が変形していたので指で治しました

<胴体と翼の取り付け>
コクピットとエンジンパーツを胴体右側に取り付けて左右胴体の張り合わせをします。
貼り合わせたらカウリング先端部分が別パーツ化されているので忘れずに取り付けます
胴体の貼り合わせが済んだら主翼の取り付けを行います
翼の取り付けツバをヤスリで削って微調整すれば綺麗に取り付けられます。
主翼を取り付けたら水平尾翼を取り付けます
ここもツバの部分をヤスリで削り微調整しました。
これで基本組立は終わりです

<パテ修正>
機首部分から尾翼手前まで段ズレが生じたのでタミヤプラパテを盛り付けて整形しました。






<ペーパー掛けとパネルラインの掘り直し>

パテで整形した個所を紙ヤスリ#400・800・1000・1500と番数を上げて削ります。
ペーパー掛けが終わったらクレオス#1200グレーサーフエンサーを吹きつけ機体全体を整えます。
一晩乾かしてキズが無いことを確認します
キズが無ければ消えた胴体パネルラインをトライツールのP-カッタでタミヤの6mm幅のマスキングテープをガイドにして掘り直しました。



<塗装>

定番のアメリカ海軍ではなく毛色の変わったFAA(英国海軍航空隊)仕様機にしました。
インストや箱絵では色が解らなかったのでハセガワから限定で発売されていたグラマンF4F「マートレット」のインストを参考に塗りました
機体基本色
上面・クレオスNo331「ダークシーグレー」
下面・クレオスNo26 「ダックエッググリーン」
迷彩・クレオスNO38 「オリーブドラブ」
       No42「フイルドグレー2」
をブレンドした緑
の3色で塗り分けました。
72サイズでこのFAA塗装をする場合ダークシーグレーよりニュトラルグレーで明るく塗った方が良いでしょう。
 塗装が終わったらタミヤ・スミ入れ塗料「ブラック」を全体に塗り、溶剤で拭き流して全体のトーンを落ち着かせました。



<脚周りとプロペラの組みたて>

<デカール貼り>

基本塗装が終わったら主脚とタイヤホイールを銀で塗り 
タイヤをクレオスNo40「ジャーマングレー」で塗ります
塗装が済んだら主脚パーツを取り付けます
ダボ穴がチョット広めなのでしっかりと接着します。
脚が完全に固定出来たらプロペラを取り付けます
ブレード全体はMrカラーNo40「ジャーマングレー」で塗りました。先端にはRLMイエローで塗分けました。

マーキングはイギリス海軍空「インドミタブル」
に配属されたNo1832飛行隊です。
経年劣化でデカールが使えず国籍マークはジャンクデカールから寄せ集めて貼りました。
どうしても機体に描かれているNoやWの文字は見付けられなかったのでキットオリジナルの物を使用しました。



<仕上げ>

デカール貼りが終わったらアンテナ支柱とピトー管を取り付けて
クレオスMrカラー「半光沢」を吹き付けて完成です。

マッチボックスと言えばエアーフイックス社に並びイギリスを代表する模型メーカーですが日本では発売されているキットがイギリス機に偏っていたりその子供のオモチャのようなキットの出来に不満足な方も居られて評価は高くありません。
今回製作してみて中々実機の特徴を旨く捉えていてビキナーにも組み立てやすい配慮がされているように感じました。
今回も貴重なマッチボックス社のキットを作る機会を耐えて下さった編集部に感謝です。





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