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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第29回)

イースタンエキスプレス(フロッグ)
1/72「E・EキャンベラB(I)MK.8」

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

1944年イギリス空軍当局は「ジエットエンジンを搭載し複座でレーダ爆撃を行うことのできる機体で搭載量はモスキートと同等で航続距離はランカスター並み」と言う爆撃機の開発仕様を当時発足して間もないEE(イングリッシュ・エレクトリック)社に開発を指示した。初めてのジエット爆撃機と言う事も有り基礎研究に時間を割き当局から正式に原型機の製作指示が出されたのは1946年であった。
試作機製作を開始してから3年後の1949年5月に初飛行し1951年1月に量産型が初飛行し随時配備されていった。配備されたキャンベラはその平凡な形態に拘わらずWW2時のモスキートと同様に多用途性を発揮しジエット軽爆撃としては使い勝手が良かったのでアメリカ空軍やインド空軍でも多くの機体が使用され実戦にも投入された。
他にも偵察機や各種試験機等様々な用途に長きにわたり使われ2006年まで使用された平凡な形態ながら長寿を全うした偉大な機体である。
(B(I)MK.8)
キャンベラの派生型の一つで冷戦が熱戦に転じた時に西ヨーロッパに侵攻してくるワルシャワ条約機構の機甲部隊を阻止するために開発された阻止攻撃機である
胴体下部に20mm機関砲を搭載し主翼にはロケット弾パックや爆弾を搭載できるラックを追加した。

キャンベラB(I)MK.8諸元
乗員数:2
全長 :19,96m
全幅 :19,50m
全高 :4.75m
総重量:25.515kg
エンジン:エイボンRA7(推力3、402kg)×2
最大速度:960km
航続距離:5.472km
搭載量 :2.772kg



<キット解説>

往年のフロッグ社のキットで「イースタンエキスプレス」「ドイツレベル」と流転の人生を歩んでいるキットで2000年に入りレベルブランドで発売されて以来行方不明のキットです。
キットパーツはランナー2枚に収められていて大雑把な印象を受けますが必要最小限のパーツでビキナーでも易しくキャンベラが組み上がる配慮がされています。
モールドは凸ですがフラップなどの動翼の一部は凹モールドで再現されています。
キットパーツ

デカール

制作

<コクピットから>

コクピットフロアーの底板・座席の背もたれ・ステイック・パイロットの4点で構成されています。機首部の爆撃手席は再現されておりません。空っぽです(笑)
キャノピーパーツの透明度がイマイチなのと少々歪んでいるので追加工作をせずそのまま行きます
機体内部をMrカラー320番「博松葉色」で塗った後底板・背もたれ・ステックを取り付け塗分けます。
塗装が乾いたら胴体に取り付けます。
コクピットを取り付けた後に錘を入れるのですが今回は機首部が爆撃手席と言う事もあってあえて入れませんでした。
入れる場合はコクピット下部辺りが良いでしょう。


<胴体と翼の組立>

コクピットが終わったら胴体と翼を組みます
胴体にガンパックの部品を取り付けますがここが最大の難所です。
デザインナイフやヤスリで削って胴体に合うように調製しましょう
これを怠るとパテ盛りの山となってしまいます。
胴体の組み立ての次は翼の組立です
翼の上下の貼り合わせは良いですがエアーインテークとエンジンノズル個所には大きな段ズレが生じますのでパテを盛り付けて整形します。
翼と胴体結合部に隙間が有ったので多めに接着剤を塗りはみ出した接着剤を削り修正しました。

<パテ盛りのヤスリ掛けとスジ掘り>

胴体上下とガンパック・そしてインテーク・エンジンノズル部に盛り付けたパテを#400・800・1000・1500の紙ヤスリで削ります。
仕上げに#2000の紙ヤスリで全体を整えて#1200の缶サフを吹き付けて基本工作は終わりです。
サフが乾いたらペーパー掛けついでに消した凸モールドをP-カッタとマスキングテプを用いて掘り直します。
インストや資料本を見ながら掘り直しますがキヤンベラは「ツルツルお肌」のイメージを持っているので必要最小限の掘り直しで留めました。(笑)


<塗装とデカール貼り>

典型的な戦後のRAFカラーです
機体下面:Mrカラー334「バーリーグレー」
上面:Mrカラー331「ダークシーグレー」
迷彩  :Mrカラー「日本陸軍機用緑色」と309番を適当にブレンドしたもの
の3色で塗装しました。
迷彩はハンドピース用に希釈した塗料を筆でアウトラインを書き内側がら塗りつぶすように塗装しました。
エナメルの黒でウオッシングして全体のトーンを落としました
塗装が終わったらデカール貼りに進みます
  
デカールは黄色が発色が悪く透けているのを除けば概ね良好です
お湯に浸した時の粉砕を危惧しましたが大丈夫でした。ただし糊が弱いのでマークセッタを塗り定着させました。
マーキングは1952年当時のNo16Sqnのつもりですが胴体に書かれている番号がオーバースケールなのとシャークマウスの目が漫画チックなのは御愛嬌と言う事で許して下さい
デカールが定着したらキャノピーと脚等のパーツを取り付けて仕上げです。     


<仕上げ>

脚と小物パーツ・キャノピィーを取り付けます
脚は脚柱が太くダボ穴も大きめなので繊細過ぎる今のキットと比べるとしっかりと取り付けられます。
その反面脚カバー類はイモ付けですので注意してください。
キャノピーを取り付けて仕上げの半光沢クリアーを薄く全体に吹き付けて完成です。

今回も貴重なフロッグ社の「キヤンベラ」を製作する機会を下さった編集部に感謝です。

参考資料
文林堂 
世界の傑作機No146「EEキャンベラ/BマーチンB-57」
参照





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