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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第31回)

P-39エアラコブラ(エレール1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

設計者にとっては「アイアン・ドック」と呼ばれるのは不本意ではあるがこの機体を一言で表す言葉としてはこれ以上適切な言葉は無い。
本来排気タービンを搭載し大口径の機関砲で高高度を来襲する敵爆撃機を迎撃するコンセプトで作られたのにアメリカ陸軍当局の作戦思想の変更で低空を飛ぶ鈍重な戦闘機になり果てたのは設計者やメーカーの責任ではない。
排気タービンを積んだ高速戦闘機としてP-39は1939年4月6日に初飛行し高度6100mで水平速度624kmを記録した。
当局からの仕様変更や搭載エンジンの変更そして防弾装備を施されると一気に自重が増加しおまけに低空専用のエンジン換装ではとうてい高速戦闘機としては使えず試作機の好性能に目を奪われ採用したイギリスでは実戦投入後早々と戦闘任務からは引き上げられてしまい後にアメリカから送られたP-39の殆んどをソ連へ押し付けた。押し付けられたソ連はこの機体の持つ37mm機関砲と12.7mmと言う武装に目を着けドイツ軍戦車への地上攻撃機として使用し多大な戦果を挙げた。
目を転じて太平洋戦線ではガタルカナルを巡る激戦においては日本海軍のゼロ戦には歯が立たず多くの損害を出しながらもアメリカ軍の一番辛い時期を支えた戦闘機として航空戦史に残る戦闘機でもあった。
 


<キット解説>

フランスのエレール社から数十年前から発売されている古参のキットですが凸モールドでありながら繊細な印象を受けます。
主翼のエアーインテークが再現されているなど細かい個所の再現性も良くできています
古参のキットであるのでマーキングも自由フランス軍で使用したものからガタルイカナルでゼロにボロ負けした物まで色々発売されました。
実機も連合国に多く供与されたのでカラーバリエーションを楽しむのも良いでしょう。

 箱絵


 凸モールド、銀モールドのキット
 
 透明部品とデカール

製作

<コクピットから>

コクピットフロアーの床と座席とステックそしてメインパネルの4点で構成されています。サイドパネル類は有りません。
胴体内部とコクピット部品は昔ながらMrカラー機体内部色(水性)で塗りました。いつも使うラッカーと違い伸びが良くて塗りやすかったです。
メーター類をエナメルの銀でドライブラシを施してメリハリを付けました。
座席は銀・ステックの上部をジャーマングレーで塗り分けて取り付けたらコクピットの組み立ては終わりです。

<胴体と主翼の組み立て>

<パテ盛りのヤスリ掛けとサフ吹き>

コクピットが出来たら胴体に取り付けます
実機同様3点姿勢の機体なので機首部の空きスペースに錘を入れます。錘を入れたらコクピットを胴体に取り付けて主翼を取り付けます。
胴体フレット部と主翼の合わせは良いです。今回は隙間を埋めるなどの作業はしませんでした。
但し胴体の貼り合わせ部に隙間が生じたのでタミヤプラパテを盛り付け修正しました。
胴体に盛り付けたパテを#400・800・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削りクレオスの缶サフ1200番を吹き付け基本工作は終了です 



<塗装>

今回使用した色は
胴体下面・Mrカラー「ニュートラルグレー」
胴体上部・Mrからー「オリーブドラブ」
機首全部と胴体後部・水平・垂直尾翼
     Mrカラー「グランプリホワイト」
機体内部・Mrカラー「機体内部色」
脚・Mrカラー「銀」
プロペラ・タイヤ。Mrカラー「ジャーマングレー」
プロペラ先端・Mrカラー「RLMイエロー」
以上です・
先ずは胴体後部と機首部そして主翼翼端にグランプリホワイトを塗ります。
塗料が乾いたらマスキングテープでマスクをして胴体と主翼下面をニュートラルグレーで塗ります。
下面の塗料が乾いたら機体上面をオリーブドライブで塗り分けます。
この3色で基本塗装は終わりです。
基本塗装が終わったらオリーブドラブに白を混ぜて色を薄くした物をパネルラインの内側に吹き付けアクセントを付けました。



<デカール貼り>

<デカール貼り>
マーキングは太平洋戦線おそらくガタルカナル方面に展開した部隊のマーキングだと思われますがガタルカナル方面の陸軍機マーキングで国籍マークの淵を赤く塗った機体はあまり見たことがありません。
とりあえずインストの指示通りにデカールを貼りました。
国籍マークの白がちょっと透けている気がしたのですがそのまま使用しました。
エレールのデカールも糊が弱いのでマークセッタを塗り定着させました。



<細部パーツの取り付けと仕上げ>

脚収納庫と脚とプロペラを塗ります。
細部パーツの塗装が済んだらパーツを所定の位置に取り付けます。
このキットではプロペラと機首の銃口が開口されていなかったのでピンバイスで開口しました。目立つ場所なので効果てきめんです。
キャノピー・ピトー管と無線アンテナ・ガンパックを最後に取り付けて最後にクリアーを吹き付けて完成です。
今回もエレール社のP-39を作る機会を与えてくださった編集部へ感謝です。
諸元
全長:9.14m
全高:3.75m
全幅:10.30m
自重:2.573km
全備重量:3.466kg
エンジン:アリソンV-1710(1200hp)
最大速度:616km
航続距離:1040km(外部タンク付で約2000km)
実用上昇限度:10.605m
武装:37mm×1・12.7mm×2

参考資料
文林堂 世界の傑作機No36「ベルP-39エアラコブラ」
インターネットサイトから実機写真を収集



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