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  『プラモ・ガイド』執筆者が選んだ1970年の「推せん」キット

by 加藤 寛之

 『名キット』・・・。「Webモデラーズ」のこのユルさが嬉しい。そんなもの、人によって時代によって違うに決まっている。“それを超えたものが名キットだ”っていう考えは認めるものの、新製品が出れば心が揺れてしまうモデラーの性はどうしようもない。 「航空情報」別冊『プラモ・ガイド』1970年版に、執筆者らへのアンケートによる「あなたが現在のプラモ・キットの代表として推せんされるものを1つあげてください」というコーナーがある。出版から40年が経過し、推せんされたキットたちは時間とそれだけではない洗礼を受けてきた。いま改めてそれらをみることで、「名キット」のヒントを感じられるように思う。
推せんされたキットは、次の通りだ。

W氏:      ハセガワ  1/72 ボーイングB-47
0氏: フジミ  1/50 マクダネル・ダグラスF-4E
K氏: フジミ  1/50 マクダネル・ダグラスF-4E
S氏: LS  1/75 飛龍
K氏: モノグラム  1/48 ノースアメリカンP-51B
T氏: フジミ 1/50 マクダネル・ダグラスA-4E
M氏: レベル 1/40 マクダネル・ダグラスA-1
K氏: タミヤ 1/100 ベルUH-1B
U氏:  フロッグ 1/72 ホーカー・ハリケーン
A氏: タミヤ 1/100 ロッキードF-104J
S氏:  レベル 1/72 リパブリックP-47
T氏: フジミ  1/50 マクダネル・ダグラスF-4E
A氏: モノグラム  1/48 ロッキードP-38
A氏: ハセガワ 1/72 ロッキードT-33A
S氏: レベル  1/32 ベルUH-1D
Y氏: フジミ  1/50 マクダネル・ダグラスF-4E
I氏: レベル  1/40 マクダネル・ダグラスA-1


 フジミの1/50マクダネル・ダグラスF-4Eは、同社のダイナミックスケールシリーズの第11弾。新製品であるうえに航空自衛隊次期主力戦闘機として期待大という時期でもあり、4名が挙げている。
まだ日本的スケールのキットが元気だったことから、フジミからは1/50マクダネル・ダグラスA-4Eも挙げられ、タミヤの1/100ミニジェット機シリーズも2つ入っている。「国際スケール」と称した商品展開で日本的スケールはすっかりダメ扱いされたが、キットが独自性ある製品かどうかは、本来、縮尺とは関係ない。
そんな代表でもあるレベル1/40マクダネル・ダグラスA-1を2人が挙げている。「飛ぶこと以外はなんでもできる」とメーカーが豪語した精密可動キット。
これを全可動で組んでみたい思いは当時の腕に覚えがあるモデラーでも夢だっただけに、完成品はほとんど見なかった。
日本的スケールであるLS1/75飛龍も可動満載で、さらに透明キットが予定されていただけに胴体内部まで作り込んでいる。
一方で、国際商品になりうる1/72で新製品を提供していたハセガワからは、2点が推せんされている。特にロッキードT-33Aは、出来に対しての価格の安さも重要な推せん理由になっている。
タミヤの1/100、レベルのリパブリックP-47が推された理由もまた同様である。


スケールの考え方といい、可動や造りこみ、価格など、この時代はキットの商品性が多様だったことが分かる。つまり、モデラー自身の購入動機や評価の基準が多用だったということだろう。そう、「私が選らんで・私が作りたい」品々なのだ。 それから40年。1970年の推せんキットは、いまや殆んどが絶版か限定生産品、あるいは扱い店が限られた商品となっている。だが、それらのキットに感じた熱い想いは今も鮮やかだ。


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Vol 45 2012 September.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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