Home> 連載 世界の名作発掘(第34回)「スーパーマリン スイフト」(ホーク1/72)

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第34回)

「スーパーマリン スイフト」
(ホーク1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

WW2後の戦闘機開発おいて当時のイギリスは大戦後の経済的疲弊と労働党政権の国防政策によりジエット戦闘機開発はおざなりにされ戦時中に作られたミーティアやバンパイアーの改良機の配備を続けていた。
このような漫然としたイギリスに対して1950年に勃発した朝鮮戦争の登場した後退翼を持っ運動性の優れたMig-15は大きなパニックを引き起こした。
イギリスには直線翼で性能の劣るミーティアしか持っておらず次期高性能機は開発途上とした有様だった。急遽当局はホーカ社とスーパーマリン社に対しミグに対抗できる戦闘機の開発を指示しスーパーマリン社は1946年から開発していたタイプ510(スイフトの原型機)の発展型で応じた。1951年にタイプ541(後にスイフトF.1と改名)として初飛行し1954年に実戦配備となった。
イギリス初の高性能後退翼として期待されたスイフトであったが部隊配備を急ぐあまり多くの欠点を直さないまま配備された。大きい欠点としてはバッフェングによる操縦性不良・高マッハ時における修正不可能なピッチアップとウイングドロップ(これは当時の後退翼ジエット機の持つ共通の問題点)を抱えていた。
その欠点を克服しようとして水平尾翼にボーデックッスジェネレータを追加したりエンジン改良をしたりしたがもともとホーカー社が開発していたハンター機のバックアップとして保険の意味合いの強かった本機なので1954年当局はこれ以上の改良でスイフトの欠点を直すのは不可能と判断され戦闘機としての運用を断念した。
しかし運動性は低いが低空でのダッシュ能力は他機を超えていたので戦術偵察機として新規と改修機合わせて94機作られ1961年まで運用された。
諸元(スイフト F1)
全幅:9.9m
全長:12.8m
全高:4.1m
総重量:9.380kg
エンジン:RRエイボンMk114ターボジエット×1
推力:4.287kg(AB使用時)
最大速度:1,147kg
航続距離:1.015km
上限高度:13.960m
武装:30mm×2



<キット解説>

パッケージはアメリカ「テスター社」の箱ですが中身はプラモデル黎明期に誕生したイギリス・ホーク社のキットです。
ビキナー向けと思われる必要最小限の部品で構成されており全体は凸モールドで再現されており丁寧にもラウンデル・機体No・部隊マークまでモールドされている驚愕のキットです。
同封されているデカールは一種類のみです。
オマケに飛行姿勢用のスタンドも付いてます
今回は使用しませんでしたが持っておくと何かと後で便利なのでストックしましょう。
キットは多分戦術偵察機を再現しているらしいのですが資料を見ているとプロトタイプなのか量産型なのか判りません。
とりあえずスイフトの形をしているので何も弄らず作ったほうが精神衛生上良さそうです(苦笑)
胴体部品

 

箱絵
 デカールとキャノピー



 

製作

<コクピットから>

<胴体と翼の結合>

と言ってもコクピットはムク状態で人生ゲームのコマの人型をしたパイロットの生首が鎮座しているだけです(恐怖!)。開口してコクピット内部を再現する方法もありますがこのコーナーの趣旨に反するのでなにもせずパイロットの顔とヘルメットを塗り分けるだけにしました。 胴体は左右分割です。エンジンノズル等は無くガランドウです(笑)ナットを流用した錘を機首に入れて貼り合わせて終わりです。エンジンノズルの淵が肉厚なのでデザインナイフで薄く削りました。ここはジャンクパーツのノズル部品を仕込めば見栄えがする場所です。
翼は上下一体整形でしかもラウンデル(国籍マーク)とメーカー名や製造年が彫らています(爆)。これらのモールドを削るのが普通の作り方ですが記念としてそのままにして残しました。
胴体と主翼を取りつけたときに隙間が生じたのでタミヤラッカーパテを盛って埋めました。
胴体と翼を組みつけたら工作は終わりです



<整形とスジ堀り>

胴体と主翼を取りつけたら隙間にラッカーパテを盛り付け乾燥後に#400・800・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削ります。仕上げに2000番で軽く磨き#1200の缶サフグレーを吹き付けて工作は終了です。 サフが乾いたらペーパー掛けで消えたパネルラインを彫り直します。
いつものように大きなパネルラインを数本堀直して終わりです。



<迷彩>

典型的なWW2以降のRAFカラーで塗りました。
下面・MrカラーNo335「ミディアムシーグレー」
上面・MrカラーNo331「ダークシーグレー」
迷彩・MrカラーNo120「RLM80オリーブグリーン」
脚・ MrカラーNo8「銀」
上下のカラーを塗った後にパネルラインに沿ってジャーマングレーを吹き付けてシャドウー表現を施しました。
緑の迷彩はRAFの場合塗り分けラインがはっきりしているので筆でガイドラインを書いてその内側をハンドピースで塗りつぶしました。
基本塗装が終わったらエンジンノズルの淵を銀で塗り分け、全体にエナメルの黒でウオッシングを施して全体のトーンを抑えました。



<脚とキャノピーの取り付け>

脚を胴体と翼に開口されたダボ穴にはめて終わりというシンプルなものです。脚収納庫は有りません只のイモ付けです。プラモデル黎明期の製品はこの手の物が多く見受けられます(笑)
脚の脇にカバーを取りつけるのですが位置の指定がなくパッケージの完成写真やネットで拾った写真を見ながら取りつけました。
最後にキャノピーを取りつけました
キャノピーの淵はペペッと手軽に筆で塗りました。



<デカール貼り>

デカールはテスター社が新規に起した物が入れられています。
発色はまずまず良いのですが糊が弱いのでマークセッタで補強して貼り付けました。
ちなみにラウンデルと部隊マーク等は親切にモールドされているのでその上から貼れば位置を間違わないように配慮されています。

<仕上げ>

<参考資料>

デカールが完全に乾いたら仕上げにビシャビシャに薄めた半光沢クリアーを3~4回に分けて軽く吹いて完成です。

今回も日本では知名度が低いホーク社の「スイフト」を製作する機会を与えてくださった編集部に感謝です。
航空フアン連載記事:エアープレーンダイジェストNo30
「スーパーマリン スイフト&シミター」
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