Home> 連載 世界の名作発掘(第35回)「V-22 オスプレイ」(ホビークラフト・カナダ1/72)

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第35回)

「V-22 オスプレイ」
(ホビークラフト・カナダ1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

ヘリコプターの長所と飛行機の長所の良いとこ取りをした航空機史上の夢の機体「MV-22オスプレイ」が実戦化されて10年以上が経つがその歴史は1955年のティルトローター機XV-3の初飛行に始まる。XV-3は1962年まで250回以上の飛行をしティルトローター機の可能性を実証した。
その後NASAが寄せ集めで作ったXV-3に代わり新しいトランスミッション及び双発タービン搭載の新型機XV-15を1973年に初飛行させ実用レベルでの試験飛行を行った。その比類ない飛行性能に目を付けたアメリカ国防省は1981年に3軍統合の垂直離着陸機V-22の試作をベル・ボーイング共同チームへ指示した。
開発が進み1989年3月19日に試験飛行が始まった。
試験飛行を進める過程で従来のヘリに比べると速度が2倍で航続距離が3倍そして搭載量も相当に大きい事が実証された。
テストが進む1990年代には経費が掛かり過ぎるとの理由で何度も開発中止が発注元の国防省から言われるがその都度議会が反対をして開発が続行され1997年には前期量産型の生産が始まり2012年11月現在では空軍と海兵隊では無くてはならない貴重な作戦機として運用されている

オスプレイとは「ミサゴ(猛禽類)」の意
機体概要(試作機)
エンジン:アリスンT406-AD-400×2基
最高速度:583Km
航続距離:3900km
搭載量:9.072kg



<キット解説>

実機が初飛行した後の多分1990年代初頭にホビークラフト・カナダ社から発売されたキットです。
部品数は比較的に少なく初心者にでも組める配慮がされています。全面に大雑把な凹モールドが施されています。
機首形状や垂直尾翼の取り付け位置が後の量産型と違うのでおそらくプロトタイプをキットにしたのではないかと思われます
透明部品はちょっと肉厚です。
デカールは滲み感じられ発色もいま一つです。
箱絵
主翼部品


 
胴体部品
 デカールとキャノピー

製作

<コクピット>

コクピットフロアー・計器盤・サイドコンソール・ステック・座席の5点で構成されています。
フロアーをMrカラー72番「エアークラフトグレー」で塗り計器盤やコンソールを40番「ジャーマングレー」で塗り分けます。
計器盤の液晶モニターは銀を塗った上にクリアーグリーンを塗アクセント付けをしました。
ステックも72番で塗った後上部の握り部を40番で塗り分けました。座席は只の椅子の形状です(笑)多分射出座席だと思うんですが形状を調べるのを忘れたのでマスキングテープを細く切った物をベルトとして追加工しました。座席部分は52番「オリーブドラブ」で塗り横は40番で塗り分けました。
座席には適当なヘリパイロットを乗せるのも良いアクセントになります。


<翼と胴体の組み立て>

胴体は左右分割式で中はカラッポです(爆)窓の透明パーツを着けるようになっていますが取りつけても中が見えないのでコクピットを取りつける機種部のみ72番で塗りました。
先に塗り分けと組み立てが済んだコクピットを胴体に取りつけます。このキットはかなりのティルヘビーですので錘を多く機種部に入れたい処ですがコクピット部分には空きスペースが有りません。コクピットフロアー後部隔壁の裏に錘を仕込みました。今回の作例では錘が足りなくて尻もちを着いてしまったので胴体後部につっかえ棒を差して4点姿勢の形にしました。
右側にコクピットを固定したら貨物扉(ランプ)を取りつけます。
ここも仮合わせをして当たる部分をデザインナイフで削り調整しながら取りつけました。

翼は上下2分割です。ニッパーでカットした後のゲート処理を丁寧に行えば綺麗に貼り合わせる事が出来ます。
主翼両端に付くエンジンは上下可動式に組むことができますが強度や搬送時を考慮してキットのダボを切り飛ばして3mmの真鍮線を差し込み固定しました。
エンジン部にポリキャップを仕込んで可動式に作り変えるのも一つの方法ですね。
残りの水平尾翼と垂直尾翼を取りつけます。実機とは垂直尾翼の取り付け位置が違うのが気になり所ですが20年前のしかも実機が初飛行した直後の情報不足の中での発売だったので多めにみましょう。
これで基本工作は終わりです。
最後にローターブレードを組み立てます。
ブレードの取り付け角度が決めにくいのと隙間が空くので実機資料を見ながら時間を掛けて組みましょう。




<整形>

<サフ吹きとスジ彫り>

胴体接合部・エンジン貼り合わせ部・に隙間が生じたのでタミヤのラッカーパテを盛り付けて乾燥後に#400・800・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削ります。仕上げに#2000の紙ヤスリで軽く撫でました。 白の下地塗装を兼ねてタミヤのホワイトサーフェンサーを吹きます。
タミヤのホワイトサーフェンサーはクレオスの物より若干薄く垂れやすいのでパッパッと全体に薄く繰り返して吹き付けました。
サフが乾燥したら全体の傷の有無を確認して紙ヤスリのペーパー掛けで消えたパネルラインを彫り直します。
胴体やエンジン部の消えた大きなパネルラインのみモデラーズのマスキングテープをガイドにしてトライツールのP-カッターで彫り直しました。



<塗装>

試作1号(初号機)としてのテスト機カラーで塗装しました。
今回使用した色は
クレオス・GX-1「クールホワイト」
Mrカラー
No・?「シャインレット」
No40「ジャーマングレー」の3色を使用しました
他には
No8「銀」
No・?「機体内部色」
機体全体とキャノピーをクールホワイトで塗装します
薄く3回以上重ね塗りをしました。
クールホワイトが乾燥したらマスキングをして垂直尾翼と機首部を「シャインレッド」で塗り分けます。
最後にキャノピーの前と主翼前縁と垂直尾翼前縁及びローターブレードを「ジャーマングレー」で塗り基本塗装は終わりです。
前脚と主脚を「銀」で塗り脚収納部は「機体内部色」で塗り分けました。
アクセントとしてキャノピーの淵の一部を黄色で塗りました。



<細部部品の取り付け>

脚類は銀で塗りタイヤはジャーマングレーで塗り分けて脚収納庫に取りつけます。主脚は取り付け方向が有りので注意してください。
脚を取りつけたら脚カバーを着けます。
取り付けダボが少し大きいのが気になりますが接着面積が多く取れるのでしっかり取り付けられます。

機体後部の背にブレードアンテナを付けて先に組み立てたローターブレードを取りつけて組み立て作業は終了です。
蛇足ですが機首部上部に付くアンテナは取り付け用の穴が無いので開口して取り付けました。



<デカール貼り>

マーキングをテスト機にしたのでキット付属のデカールは使用しませんでした。
尾翼の数字は48のF-15J
国籍マークはフジミのE-2「ホークアイ」
マリーンの文字とエンジン部の赤いマークはスーパースケール「A-6イントルダー」からそしてネービィーと他のコーションマークはハセガワのイントルダーからのジャンクデカールの寄せ集めです。。
寄せ集めですがそれなりのマーキングを施せました。
ジャンクデカールの有りすぎるのも困りますが国籍マークや数字(文字類)は最小限持つのが良いでしょう



<仕上げ>

<参考資料>

デカール貼りが終わったらクレオスのMrカラー「スーパークリアー」を薄く重ね吹いて完成です。
今回も世間では忘れられているホビークラフト・カナダ社のV-22のキットを製作する機会を与えてくださった編集部に感謝です。
キット付属のインスト
エアーワールド誌「エアーモノグラフ・ティルトロータ機の系統」
インターネットHPより実機写真を収集
以上」


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Vol47 2012 November   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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