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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第37回)

「フイアットG-91R-1」(エアーフイックス1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

1953年NATO軍司令部はNATO軍統一の軽量戦闘攻撃機を計画した。この計画には当時の西ユーロッパ航空機メーカー7社が競争試作に参加し1955年イタリアのフイアット社が開発したG91が採用された。
発注元のNATO司令部の意に反して採用したのはイタリア空軍と西ドイツのみで(後にポルトガルも採用)当初の目論見は外れたがWW2で疲弊したイタリアと西ドイツの航空機産業の再生に大きく貢献した。
G-91はその外見がF-86に類似していると言われているが当時アメリカから供与されていたF-86Kからいくらかのヒントを得ているかもしれないがイタリアのオリジナル設計の機体である。
特筆する点は固定武装がモジュラー交換できる事で機体サイドのアーマーメント・ベイごと交換でき機関砲から2インチまたは2.75インチロケット弾への換装が可能であった。(実際には機関砲を固定装備にして運用された)
イタリア空軍と西ドイツ空軍では長きに渡り小型近接支援機として運用された他偵察機型からアクロバットチーム用に改造されたG.91PANが「フレッチェ・トリコロール」に採用され1964年から世界中のエアーショーに参加し小型機ならではその機敏なエアーショーで多くの航空フアンを魅了した。
攻撃機よりはアクロチームでの使用機としてその名声は世界へ長きに渡り轟いたイタリアの名機である
概要
乗員:1名
全長:10.30m
全幅:8.56m
全高:4m
重量(本体)     3.3t
最大重量(爆弾等含む)5.6t
エンジン:BSオルフエイス80302(推力2.268kg)
最大速度:1。086km
戦闘行動半径:外装タンク2本・ロケット弾ポット装備で高度1500mを巡航し10分間対地攻撃ミッションで同じ高度で帰路に付くと片道約276kmまで作戦可能。



<キット解説>

エァーフイックス社が全面リベット打ちから凸モールドに移行した初期のキットと思われます。大雑把なパネルラインとビキナーでも簡単に組める少ないパーツ構成となっております。
爆弾等の装備品は有りません。
キャノピーは肉厚な感じがしますが透明度は良いです。
デカールはイタリア空軍仕様1機種のみです。
デカール
箱絵

胴体と主翼部品

 

製作

<コクピットから>

発売当時のスタンダートなのかはっきり言って何も有りません(笑)L字型の座席らしき物とパイロットのみです。逆に一からコクピットを作りこむ楽しみもありますが今回はキットのまま素組みで済ませました。座席をクレオスNo40(ジャーマングレー)で塗りパイロットは服はカーキグリーン・メットはグランプリホワイトで塗り分けた後座席に乗せてエアークラフトグレーで塗装した胴体に右側に取り付けました。
少しティルヘビー気味なのでコクピットの後ろにM6のナットの錘を2個程入れて3点姿勢をとれるようにしました。

<胴体と翼の組み立て>

コクピットの組み立てと取り付けが終わったら胴体左右の貼り合わせを行い翼を取り付けます。
胴体左右の貼り合わせは意外とすんなり出来ます。あまり大きな隙間は発生しませんでした。エンジンノズル部に何も無いのでタミヤの透明プラパイプを短くカットした物を流用してノズルのつもりで取り付けました。
胴体を貼り合わせたら翼を取り付けます。
左の主翼の合わせは良いのですが右翼はガタが生じ隙間ができました。ここはタミヤのラッカーパテを盛り付けて隙間を埋めました。
水平尾翼は胴体のダボ穴に当たるツバの部分を微調整しながら削って取り付けました。
機首部が別パーツになっていますが、ここの合わせが一番酷くて機首部の内側のフチをナイフで削り胴体に取り付けた後パテを盛り付けました。これで基本工作は終わりです。


<ペーパー掛けとサフ吹き>

主翼と機首部に盛り付けたパテを#240・400・800・1000・1500の紙ヤスリで削り仕上げに#2000の紙ヤスリでひと撫でしてペーパー掛けは終わりです。
仕上げにクレオス#1200のグレーサフを吹き付け一晩乾燥させました。

<細かい修正>

<スジ彫り>

エアーインテークの淵が肉厚だったので丸棒の金属ヤスリで削って薄くしたのとコクピット横の12,7mm機銃がらしく見えなかったのでウオーターラインの高角砲の砲身をカットした物を流用して取り付けました。
実機では機首部にカメラが装着されている関係上四角に成型されているのですがキットでは先端が丸く成型されているのでここは平らヤスリで四角く削り実機のラインに近づけました。
キットには大雑把に凸モールドが施されていますが盛り付けたパテと一緒に削ります。
吹き付けたサフが乾いているのを確認したら胴体と主翼の大きなパネルラインをモデラーズのマスキングテープとPカッターを使い彫り直しました。



<塗装>

今回はインストに近い色で塗りました。
機体下面:ガルグレー
機体上面:ダークシーグレー
迷彩:ロシアングリーンNo2
先ず機体下面をガルグレーで塗ります。
乾いたら上面のダークシーグレーを塗ります
機体上下の基本塗装が済んだら迷彩のロシアングリーンを塗ります。
迷彩は先に境界ラインをエアーブラシ用に希釈した塗料で筆塗りしてその内側をエアーブラシで中心から外側へ薄く吹き付けながら塗りました。
機首部上面はジャーマングレーで塗り分けました。
脚収納部はクレオス機体内部色で塗り主脚類は銀で塗タイヤはジャーマングレーで塗り分けました。
仕上げにエナメルのセミグロスブラックでウオッシングを施して塗装作業は終了です。



<デカール>

経年劣化が激しくデカールが台紙から剥せず全く使えなかったのでジャンクデカールからエッシーのF-104Gとイタレリのベル212から流用してイタリア空軍に見えるようにしました。
そのため今回の作例は嘘つきです。



<キャノピーとその他の部品の取り付け>

キャノピ枠を筆塗りで塗った後取り付けます。胴体に良くフイットします。
脚柱の取り付け用のダボ穴が小さいのでピンバイスで開口して広げて付けました。
次に脚カバーを付けますが主脚カバーの取り付けがインストでは判りにくいので実機写真等を見て取り付けました。主脚柱の根元に付くカバーは外側に開いて取りついているようです。
最後にウエポンラックを取り付けます。実機では主翼に4つのパイロンが付いているのですがキットには内側の2箇所のパイロンしか入っておりません。気になる方はプラ板で自作するか他キットから流用するのが良いでしょう今回は追加せずこのキットの部品のままにしました。
ラックに銀で塗装した燃料タンク(ドロップタンク)を取り付けて再上げの半光沢クリアーを吹き付けて完成です。
発売から数十年経ったキットですが世界にフイアットG91の存在を広めたその功績は偉大な物です。
今回もエァーフイックス社のフイアットG91を製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。



<参考資料>

キットのインスト
航空フアン・連載記事エアープレーンダイジエスト
      No105「FIAT・G91」
インターネットより実機写真資料を入手


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Vol49 2013 January   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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