今回の「懐かしのB級キット」で、取り上げるのは 青島の瑞雲です。
瑞雲といえば、高速、対戦闘機戦闘、急降下爆撃も可能として欲張った構想で開発された水上偵察機です。しかし、欲張り過ぎはあぶはちとらずで 結局成功しなかったのか、超マイナーな水上機となってしまいました。
青島のキットは水上機でありながらオール可動で、主翼が折りたため、フラップ、エルロンが可動となっていて、キャノピーは可動しませんが、開閉の2状態の透明部品付属しており、選択式となっています。また、立派な置台もついていました。
水上機というだけでもマイナーなアイテムであり、それが1960年代当時の少年雑誌にも登場しないような 瑞雲という知名度の高くない複座機なのですから、あまりセールスの方は芳しくなかったのでは と推察されます。それでか、フジミ 1/72が90年代に登場するまで「唯一もの」であり、希少価値があるキットでした。 |
|
さて、キットの出来はというと、オール可動に力が入り過ぎたのか、それとも昭和30年代設計当時の実機資料が少なかったのか、「デッサンが残念でした」の部類で、平面形だけがちょっと実機に近い程度です。
1972年発行の航空情報別冊 プラモガイド49頁の評価によりますと『カウリングから前部胴体が細く、キャノピーが高く透明度も悪く、垂直尾翼の形も違い、主翼のフィレットも小さくと、実機のイメージからは ほど遠い出来』ではありました。
また、後部フロート支柱の長さが2mmほど長すぎて、 胴体がフロートに対して、前のめり気味になってしまいます。
とはいうものの、キット発売当時の時代背景のお約束でオール可動の貴重なキットです。主翼がガタガタではありますが、きちっと折りたため、フラップなど動翼も可動し、素直に組む分には プラモ工作の楽しさを堪能することができます。
瑞雲のキットは絶版ではないようですが、最近 模型店ではあまりみかけなくなり、今回は 2年ほど前に WEBMODELRSの読者の方から譲っていただいた貴重なキットを使わせていただきました。 ありがとうございました。
メーカーの青島さんにはこのシリーズをまた市場に流通させていただきたいところです。 |