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マイルズ・マスター 3
(ノボ(旧フロッグ)1/72)

by 加藤 寛之


 マイルズ・マスターとはどんな飛行機か。『イギリス軍用機の全貌』(航空情報別冊、昭和39年)を参考に記すと、そもそもの原型は1937年に初飛行、その改修型が1939年から納入されたという練習機で、日本的にいえば99式高等練習機といったところ。  バトル・オブ・ブリテンでは、機銃をつけて飛び立とうとさえした。構造は木製骨組み合板ばりで、エンジン違いで3タイプある。フロッグは、こんな地味な飛行機を何種類もキット化してくれた会社だった。



コックピットは前後2枚の四角い床板に椅子が載るだけ。いたってシンプルだ。この床板は胴体接着後に入れられるから、まず左右胴体を接着する。左右の形が多少違うけれども、パテを薄く盛ればごまかせる範囲だ。次は逆ガル形の主翼。後縁はドロ~ンとした曲線で上下から絞られ、その後端はとても厚い。フラップの上面側にあたる部分は、表面をガリガリと削ってそれなりの感じにする。フラップがある下面側は翼幅方向の厚みの変化が不自然で、後ろから見ると曲線で胴体へつながっている。 実機を考えると、逆ガル翼は真っ直ぐな外翼と真っ直ぐな内翼を曲がった構造物でつないでいるわけだから、曲線で胴体につながるのは不自然。これは真っ直ぐに胴体へつながるように、それなりに削る。主翼につけるエルロンは、お餅のようなボヨ~ンとした断面形をした前後同じ厚さの謎の物体で、かつ大きなヒケがある。エレベータもほぼ同じ感じ。これは厚みを半分くらいに切り落としてから削り込んで、それなりの感じにする。これでまあOKだろう。ラダーは多少厚い感じではあるが、そのまま使えた。 



胴体と主翼は、多少のズレや調整は必要だが意外なほどよく合う。主翼下面パーツと胴体下面後部に段差が生じるように見えるが、ここはしっかりと上反角がつくように仮おさえしながら接着すれば段差はつかない。胴体と風防パーツの合いは、この時代のキットとしては良好。風防パーツにはちょっと奇妙な段差処理があるものの、気になるほどではない。
 エンジンはちょっときゃしゃな感じ。胴体への接着位置が示されていないけれども、カウリングの内径を考え「ここだろう」という場所に置けばOKだ。カウリングは、カウルフラップが全開位置で造られている。後ろ側はムクで、分厚くなっている。これを削ってフチだけにするとカウリングが接着できなくなってしまう。前から見るかぎりそのままでも支障はないのだから、厚み部分は黒く塗りつぶすだけでオワリとした。
 
左翼にある着陸燈の透明パーツは翼とまったく合わない。2枚重ねのセロテープを貼って代替する方法をとろうかと思ってはみたが、実行せず。マジマジと見なければ許容範囲、と自分を納得させる。脚柱は3本1組で作るのだが、どれも実感のない棒状。これも近くで見ないことにすればよい。タイヤは昔懐かしい焼き止め方式。これは軸を切り詰めて接着した。プロペラは根元に錘の形をつけてみたが、実機写真を見ずにつけたので正しい位置や形かどうかは分からない。ピトー管は省略されている。さすがは元フロッグである。それに応えてナシのままとした。



塗装は今回も水性塗料の筆塗りで行った。塗装図は箱の裏面にカラー印刷されている。下面はタミヤのフラットイエロー。赤みがあるので、ちょうどよい雰囲気だ。上面の茶色っぽいところはカーキ。本当はダークアースにしたかったのだけれども、持っていなかった。「これでイイや」でカーキにしたが、ちょっと粗雑な考えだった。緑はダークグリーン。デカールは全面ヒビだらけで使えなかった。そこで、余っているデカールを適当に貼って代替した。つまり完全ウソのマークなのだが、べつに気にならない。最後にトップコートの半光沢を噴いて完成とした。  完成品を机の上に置いて眺めれば、なんとものどかな飛行機で、しかも柔らかい造形のキットである。箱絵も昭和の子供雑誌の付録のようで、ほのぼのとした温かさを感じる。これで良い。


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Vol 52 2013 April.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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