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アクアラングオート
(イマイ サブマリンシリーズ No.2)

by 田口博通 Hiromichi Taguchi



 今は亡きイマイの大昔のSFシリーズには サンダーバード、キャプテンスカーレットなどの他にサブマリン707シリーズ、そして 007ジェームスボンドをテーマとした?サブマリンシリーズがありました。大昔といっても1960年代ですから、レベルの32戦闘機名作シリーズと同世代です。中学生時代、サンダーバードなどは心ときめかせてよく作りました。
 一方 サブマリンシリーズは 地味すぎて当時はサンダーバードに先鋭化した中学生だった小生には見向きもされませんでした。成人した後、1970年代後半から80年代にかけて、当時 横浜駅ビルにあった横浜模型の売れ残りセールで見つけた時に購入したものの、そのまま作ることなく、押入れにしまっていました。
  今回紹介するこのアクアラングオートは そのシリーズのNo2です。(200円) ダイバーとオート(昔は海中オートバイといいましたね)から構成され、 ゴム動力で潜航でき、ミサイル発射ギミック付のモデルとなっています。これは 007サンダーボルト作戦に登場したメカデザインでした。
 今回のイマイバンダイ特集に合わせ、何か作ろうと思っていたところ、我が家の押入れの段ボール箱の底に この類のプラモデルが一杯あったことを思い出し、取り出して作ってみました。 メーカーも消滅した大昔のプラモキットですが、作ってみると、意外と大人向けの内容でした。

(箱絵1)サブマリンシリーズ No.2 アクアラングオート


(箱絵2)サブマリンシリーズNo1 海底バギー  ちなみにサブマリンシリーズのNo1は海底バギーで オリジナルデザインは007サンダーボルト作戦に登場した海に沈んだイギリス空軍の爆撃機から水爆を奪って運ぶスペクターのバギーです。(箱絵2)
ゴム動力で潜水し、2発の核魚雷発射ありという、ギミック満載のプラモデルでした。(200円)


製作

 部品は下のような4色の成形で、ダイバー(もっと昔は潜水夫、フロッグメンといいましたね)の人形と オート部からなります。
ビニール袋の中には ミサイル発射メカ用の金属部品とゴム、接着剤が入っていました。オートのスタンドは金属製で錘もかねています。
白い部品はミサイルとプロペラです。

 無塗装で素組をすると、下の写真のように カラフルな出来上がりになります。ダイバーとオートのプロポーションもよく なかなか魅力的なキットでした。
潜航用プロペラとゴムは下写真の素組をした状態にはまだつけていませんが オートの棒の先にプロペラがつけられるような構造で、上手にダイバー人形で隠れるようなうまい設計になっています。おそらく 1960年代、70年代当時の小学生、中学生は テレビゲームもなく、プラモデルが遊びの中心でしたから、この状態で風呂で潜航させて遊ぶことを想定して商品化されたことと思います。

部品一式


素組をした 状態


オートの内部は下の写真のようで、潜航舵と ミサイル発射用のメカが内臓されます。
発射メカはスプリングとピアノ線部品で構成されていますが、簡単で確実に作動しました。
各部は潜水のために うまく、水密部の浮きと全体の重さでバランスがとれるように 非常に巧妙な設計がなされています。「潜航深度は自由になります。」と箱絵に描かれていますが、きっと その通りの性能だったのでしょう。



説明書  (ぶひんづというひらがな表記が子供向けでほほえましい)


 実感満点の箱絵を見ながら、バギー上面をMrカラーの銀色で、また下面を黒で塗り分け、錘も目立たないように黒にしました。ダイバーの潜水服は特色の日本機カウリング色で塗装し、ゴムバンドやサンソマスク部は素材と色調の微妙な違いを表現するため タイヤ色を使っています。
潜航舵と酸素ボンベの赤がアクセントになりました。
動力部ですが、糸ゴムがさすがに経時変化で固まり使えなくなっていたため、プロペラとゴムはつけておらず、手持ちのタミヤ潜水モーターをつけられるように下面を少し加工しています。

風呂場での潜航実験も大成功。童心に帰って少し遊んでみました。我が家は長男ももう30歳を過ぎて独立しており、風呂に一緒に入ることはなくなっていますが、購入当時に作っていたら、きっと親子で 楽しく風呂で遊べたことでしょう。残念なことをしました。



 スケールモデルとして見てもダイバーとバギーのプロポーションもよく、見事にオモチャ的要素とスケールモデル的要素が高い次元でバランスしていて、再発見しました。
  なぜ、こんな魅力的なプラモデルと、そんなシリーズを数多く発売していたイマイというメーカーの価値に気づくことができなかったのか、反省しきりです。作ることなく押入れの隅に何十年もしまいこんでしまい、つくづく もったいないことをしていました。
 この特集がなければ、作られることなく そっと墓場まで持って行かれるはずだったわけです。
 学生時分ならば子供のおもちゃとバカにしていたイマイのモデルですが、自分自身がそれなりに歳を重ね、成熟したからこそ、その魅力の片鱗に気付けたのかもしれないと感じています。
そういう意味では こんな 「成熟した大人のプラモデル」がたくさんあるのかもしれません。
 もっとも 当時 イマイでこのプラモデルの設計を担当された技術者の方々は きっと 「子供をターゲットに風呂で楽しんでもらおうと 設計したんだ」と おっしゃることでしょうし、事実 その通りだったと思います。

 あなたも 在庫の隅にこの手のプラモデルがたくさん転がっていることでしょう。整理方々ちょっと取り出して 気軽に作ってみるのも 新たな発見があったりして、新鮮に面白いプラモデルライフを味わえるかもしれません。



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